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歯。

子どもの頃、虫歯だらけだった。
昭和50年代が子ども時代だった。
まだ歯磨きが重要視されず、仕上げ磨きなどが言われていなかった時代。

母は私が虫歯になるのはおばあちゃんがチョコを食べさせるからだと言った。
その頃の歯磨きの健康上の立ち位置は低かったのだ。
小学生のほとんどの子が歯科検診で引っかかった。私ももれなく虫歯の常連だった。
毎日の歯磨きはイヤイヤ歯ブラシを突っ込むだけだった。虫歯でない歯のほうが少なかったと思う。

23歳頃、親知らずが傷んだ。
その時に行った街の歯医者さんが私の歯磨きの常識を塗り替えてくれた。

親知らずは倒れて歯茎に埋まっていたので大学病院で抜歯し、その後、虫歯の治療でその歯医者に通うことになったのだ。

「今のうちにすべて治しましょう」とその歯医者は言った。治療に入る前に1ヶ月ほど毎週のように歯磨きとフロスの使い方を歯科衛生士さんに特訓された。歯茎から血が出ないようにしてから虫歯の治療をするという。
すべて治すと6万円だと言う。その時はすごく高く感じたが、それ以外のお金はかからないと保証してくれた。私は6万円払って歯医者に通い始めた。

私は最初、この歯医者さんにボッタクられているのではないかと疑った。
すぐに歯の治療に取り掛からず、まずは歯茎をしっかり磨いて歯茎の状態を良くしてから治療をするというのだから無知な私は疑った。ネットなど無い時代だ。情報が無い。

毎回ピンクの液体で歯垢を染めてからピンクが無くなるまで綺麗に磨くのは大変だった。
そしてフロスの使い方も習った。
2週間後には歯と歯茎は見違えるほどキリッとした。歯茎の腫れもなくなり、薄いピンク色の歯茎になった。
歯茎が歯にぴったり沿ってツンと尖っているのが良い状態だと教えてもらった。
フロスは毎日するものと教わった。

1ヶ月半後、歯茎の状態も良くなりようやく虫歯の治療に取り掛かってもらえた。1回に3本くらいずつ治してもらい、歯茎からの出血も少なく、歯の治療は1ヶ月で終了した。

そして、治療の最後の日に「もうこれから歯医者にかかることが無いように、1本も歯を抜くことが無いように歯磨きを頑張ってください」と花向けの言葉?を頂いた。

それから私はようやく手に入れた「歯磨きの常識」を守り、40歳で反対側の親知らずを抜くまで虫歯もなく歯の状態は良好だ。

結婚して住所が変わったので、今は40歳のときに反対側の親知らずを抜いたあとにお世話になった歯医者さんに半年ごとに歯のクリーニングで通っている。

歯石はどうしても溜まるし、半年ごとに歯周病が無いか歯茎の深さを測ってもらえる。小さな虫歯を見つけてもらえるし、歯についた茶渋も綺麗にしてくれ、1年毎に歯のレントゲンを撮ってもらっている。

23歳の歯医者通いから毎日フロスをかかすことは無い。

いつも、歯磨き(水のみ)→フロス→歯磨き(歯磨き粉)→デンタルリンスの順番だ。

風邪を引きにくいのは外から帰ったらとりあえずシャカシャカ歯磨きをしてからうがいをするからではないかと思っている。
喉も大事だが、バイ菌は歯にも付くのだ。

最初の歯医者さん曰く、きちんと磨けば歯磨き粉は毎日必要では無いと言われた。
歯磨き粉で磨いた気になるのではなく、水だけでツルツルになるまで磨くのが肝心なのだそうで、その教えを守っている。

歯周病は認知症にも関係があるとかないとか。私は大いに関係あるのではないかと思っている。あらゆるバイ菌が歯茎から全身に侵入するのは本当だと思っている。

私にはストレスがある。
夫が寝る前に歯を磨かないことが多いのだ。
フロスも使わない人である。
歯磨きが1日1回とか私にとっては有り得ない話だ。
自分は歯が丈夫だからと豪語しているが、お菓子を常に食べてるし、よく歯の詰め物が取れたり、ついでに虫歯を見つけられたりしている。
歯が丈夫だと?よわよわじゃないか。
歯茎が弱るから詰め物が取れたりするのだ。
歯磨きをせずに私に近づいてくるとは何事か。歯磨きをしない人とはチュウしたくない。歯磨きしない人とは2度とHせーへん。
歯磨きせずに私に触るな。と、冷たくと言い放つべきか真剣に悩んでいる。
どうにか夫の意識を変えたい。
夫のためではない。すべては私のためだ。
私にとってストレスが無い世界は夫がきちんと歯磨きをする世界なのである。
このままでは転生したら歯ブラシだった。とか、歯磨きスキルで異世界生活。になりかねないほど私は歯磨きと異世界ものに囚われている。いや、なんの歯なしですか?


歯磨きの話だった。
今日も私の歯はツルツルである。

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