「プレミアムフライデー」を忘れない一人として
俳優、アナウンサー、アイドル、スポーツ選手、作家など……。
いわゆる有名人を自分の目で直接見た経験は僕にもある。それは何かしらのイベントであったり、あるいは道端であったり。遭遇した時、どのくらい有名かという規模の大小に関係なく、「オーラ」のようなものを感じていた記憶がある。たとえ目立たない格好をしていても目立つ。立ち姿を見るだけで、そのオーラを浴びたようになる。「あ!〇〇さんだ!やっぱり違うなあ!」と胸の高まりを抑えるのに必死な状況になる。オーラの根源が何かは分からない。自分自身が勝手に作り出したものかもしれない。ただ、プレミアムな記憶として自分の中に残り続けるのは確かだった。
新潟市の北書店で、ある「気鋭のライター」のトークイベントが開催されるということで申し込んだ。今年の6月にその方の本を読んだのをきっかけに、パーソナリティを務めているラジオ番組を聴き始めた。
淡々とした語りにユーモアを交えたトーク。心にチクッと刺さるような物事の捉え方。「そこまで調べているんですか?」とゲストの方から言われるほどの情報収集力。いつの間にか惹き込まれている自分がいた。毎週金曜日の夜はradikoに耳を傾けるのが習慣になっていた。
会場に着く。聞き覚えのある少し低めの声が店内から聞こえる。180cm超の長身だが、若干猫背気味でイメージほどの高さは感じない。
それが、今回のゲスト、武田砂鉄さん。
「あれっ?」と不思議な感覚になる。実は「オーラ」のようなものは全く感じなかった。これまで有名人を見た時の非現実的なものではなく、仕事の同僚や学生時代の友人に会った時のような感じだろうか。(大変失礼な言い回しで申し訳ございません)
そういったのもあるのだろうか、なにか安心感のようなものがあった。有名人を見てそのような感覚を味わったのは記憶にないかもしれない。
佐藤店長とのトークは、何時間でも聴き飽きないものだった。まるでラジオの公開放送を聴いているかのよう。さらに、より踏み込んだ内容についてもお話しされていて、プレミアムなものとして目に焼きつけた。
トーク終了後のサイン会。僕は、ラジオで呼びたいと思っているゲストについて質問した。武田さんは寺田心くんを呼びたいが、まだ18歳になっていないので時間的に難しいとおっしゃっていた。寺田心くんが18歳になるのが2026年、つまり3年後だ。その時まで番組が続いているのかは分からない。でも、今回イベントに参加して、僕も「プレミアムフライデー」を忘れないようにしようとの思いがわいてきた。
日本政府と経済界が毎月最終金曜日に向けて提唱していながら、今やすっかり聞かなくなってしまった「プレミアムフライデー」という言葉。いつの間にかなかったことにしているような気さえする。それを廃れさせまいと、しつこく述べているのが砂鉄さんだ。とはいっても、僕はSNSで継続的に発信するわけではない。しつこく、ではないにしてもピンポイントで思い出せるような、すぐに引き出せるような。そんな一人として『武田砂鉄のプレ金ナイト』を今週も楽しみにしている。
サイン、ありがとうございました!