見出し画像

東インドのアチャール-天然の保存食-

東インドのアチャール文化

東インドは、その豊かな自然と複雑な歴史の影響を受け、各地に独自のアチャール文化が息づいています。広大なブラマプトラ川流域から、肥沃な平野や丘陵地帯に至るまで、土地ごとに異なる食材と手法が生まれました。各家庭で受け継がれ、地域ごとの風土を映し出すアチャールは、地元の味覚と共に生き続けています。以下に、西ベンガル、オリッサ、ビハール、ジャールカンド、アンダマン・ニコバル諸島のアチャールについて簡潔にご紹介します。


西ベンガル
 西ベンガルでは「テートゥル(タマリンド)」や「ニンブ(レモン)」のアチャールが特に親しまれ、辛さや酸味が効いた複雑な風味が特徴です。10年前ですがコルカタの「バラ・バザル・ピックルマーケット(Bara Bazar Pickle Market)」には多様なアチャールが並び、地元民と観光客を魅了していました。「チャールタ(Chalta)」というエレファントアップル(象梨)のスイートなアチャールもあり、種類も豊富です。また、「シュトキ・マッチ・バタ(Shutki Machh Bata)」は、伝統的な干し魚(シュトキ)を使ったアチャール風の一品で、強い香りと独特の風味が特徴です。特に初めて干し魚を試す人にとって、清潔に加工されたベンフィッシュ(Benfish:西ベンガルの水産部門)からのシュトキは、手軽に始められるおすすめの選択肢です。

2014年8月8日コルカタ(ベンガル語で書かれたアチャール)

(Google Transalate)
বাঁশের আচার (Baash-er Achar) - 竹の子アチャール
কাঁচালংকা (Kaancha Lonka) - 青唐辛子
জলপাই (Jolpai) - オリーブ
আমবড়া (Aamra) - ホウライハマボウ(木の実)
মধু কমলালেবু (Modhu Komola Lebu) - 蜂蜜とオレンジ
আমের আচার (Aamer Achar) - マンゴーのアチャール
মশলা বেতুড় (Moshla Betur) - スパイシーベトルのアチャール
আমলকী (Aamloki) - インドグースベリー
ডালিম (Dalim) - ザクロ

コルカタのストリートで食べたチャナマサラとチャパティ
スプーンの上にはマンゴーのアチャールがあった 2014年8月8日

オリッサ州
 オリッサでは、「アムラ(Amla)」や「バラ・コリ(Bara Koli)」といった特産の果物を使ったピックルが特に人気です。アムラはビタミンCが豊富で、消化を助けるとされるインドスグリで、酸味が特徴。スパイスとともに漬け込むことで発酵が進み、暑い夏にぴったりの清涼感が味わえます。一方、バラ・コリは甘酸っぱいインドのプラムで、夏の日差しを利用してじっくり発酵させることで独特の深い風味を生み出します。お酢やタマリンドは入れずプラムの酸味を利用します。どちらもオリッサの気候を活かした伝統的な発酵法で作られ、地元では「アチャーラ」として親しまれています。

ビハール州
 ビハール州は、仏教と深い関わりを持つ地域であり、ゴータマ・ブッダが悟りを開いた場所として知られています。特にブッダガヤやラージギル、ナーランダなど、仏教に関連する多くの聖地が存在します。仏教の教えには直接的にアチャールや保存食に関する言及はありませんが、仏教僧の生活様式やインド亜大陸の保存食文化が影響を与え合ったと考えられます。

ビハール州の伝統的なアチャール文化を象徴するひとつに、オール(ヤム)とスラン(ヤムの一種)のアチャールがあります。このアチャールは、ビハールやジャールカンドで特に人気があり、地元の食卓に欠かせない保存食として親しまれています。11月から2月頃の冬季にまとめて作ります。フェヌグリーク、カロンジ、ヒングなど北〜東インドっぽいスパイス使いですが、タマリンドの果汁で酸味を加えるのは特徴的です。

ジャールカンド州
 ジャールカンド州は、インド東部に位置し、丘陵と森林が広がる自然豊かな地域で、ランチやジャムシェドプルといった主要都市があります。この地域では、地元の自然資源を活かした伝統的なアチャール(漬物)文化が根付いています。この地の特産品として、竹の子を使った「サンドナ・アチャール(Sandhna Achar)」が知られています。竹の子は、ジャールカンドの豊富な森林資源から得られる食材であり、伝統的な保存食としてアチャールに加工されます。以下の動画ではターメリックと筍のシュレッドをマスタードオイルで炒めて、市販のアチャールマサラを加えて天日で干して乳酸菌発酵させるというシンプルな作り方をしています。


 アンダマン・ニコバル諸島は、インド洋に位置し、豊かな海洋資源に恵まれています。特に魚やエビを使ったシーフードのピクルスが人気です。以下の動画のアンダマンスタイルのマッチ・カ・アチャール(魚のアチャール)はマリネした魚をあげて、ニンニクと油とお酢で作ったソースを合わせるインドでは一般的な作り方です。スパイスは結構粗めに引いてあってそれが美味しそう。エビも同じ作り方。


アートオブピックルについて

アートオブピックルは、広島県尾道の島で地元の食材を使ったオリジナルピックルをお届けしています。自分の目で直接みて、信頼できる人から仕入れた質の良い素材で作っています。瀬戸内のレモンを使ったピックルやライムのピックルを以下のサイトから注文できます。ぜひお試しください。


いいなと思ったら応援しよう!