北インドのアチャール
こんにちは、アートオブピックルです!今回は、北インドの各州ごとにユニークなアチャール(漬物)をご紹介していきます。インドは広いので、地域によってアチャールの味も風味も全く違います。ちょっと個性が強すぎるかもしれませんが、それぞれの州ならではの味の冒険を楽しんでみてください。ちなみに、私もアチャールの知識は勉強中ですので、ぜひ一緒に楽しんでいただけるとうれしいです。
ジャンムー・カシミール連邦直轄領(जम्मू और कश्मीर)
この州は、ヒマラヤ山脈の麓にあり、寒暖差が大きい地域です。ここで作られるアチャールには、なんと「肉」が使われることがあります。そう、寒い地域なので「ゴシュト・アチャール」(गोश्त अचार)と呼ばれる肉のピックルが親しまれています。マトン(羊肉)やチキンをスパイスとともに漬け込んで、しっかりと塩気を効かせるのが特徴です。まるで保存食のビーフジャーキーに似ていて、スパイスが効いた深い味わいが楽しめます。
材料)マトン(羊肉)のアチャール
骨抜きマトン(羊肉):1/2kg
1 テーブルスプーン フェンネルホールフェンネルシード
ティースプーン1杯 クミンシード
1 テーブルスプーン マスタードシード
1 テーブルスプーン コリアンダーシード
2 テーブルスプーン カシミールレッドチリパウダー
1 ティースプーン ターメリックパウダー
ニンニク:約10片
タマリンド:50グラム
マスタードオイル:1/3カップ
ホワイトビネガー 3テーブルスプーン
塩:お好みで
ヒント:カシミールチリ
ジャンムー・カシミールでは、香り高いことで有名なカシミールチリの産地。独特の鮮やかな赤色が特徴です。
ヒマーチャル・プラデーシュ州(हिमाचल प्रदेश)
ヒマーチャル・プラデーシュは、ヒマラヤ山脈に囲まれたインドの山間地域。この地域では野菜や果物を使った爽やかなアチャールも有名ですが、ひときわ注目を集めているのが、ノンベジ(肉系)のアチャールです。特に人気店「Walia Pickles」では、ここでしか味わえない豊かな風味のノンベジアチャールが揃っており、地元の人々だけでなく観光客にも愛されています。骨付きチキンのアチャールやマトンアチャールが人気です。
パンジャーブ州(ਪੰਜਾਬ)
パンジャーブといえば、スパイシーで味が濃い料理で有名です。アチャールも例外ではなく、「アム・アチャール」(ਅੰਬ ਆਚਾਰ)というマンゴーのアチャールがよく食べられます。大きなマンゴーの果実を切って、マスタードオイルやマスタードシード、フェヌグリークとともにじっくり漬け込みます。日本でいうと奈良漬けのように風味豊かで、酸味と塩味がたまらない一品です。
以下の動画ではマンゴーを天日干ししてから作る伝統的な作り方です。使われているスパイスに「カロンジ」があるのが特徴的です。他にはフェンネル、マスタードシード、メティ、ターメリック、レッドチリが使われいます。オイルはマスタードオイルですね。ホールのスパイスが効いておいしそう。
ウッタラーカンド州(उत्तराखंड)
ウッタラーカンドのアチャールは、「काफल」(カーファル)という、この地特産の小さな果実を使ったピックルが有名です。カーファルは酸味と甘みが絶妙に混ざり合ったベリーのようなものです。これを唐辛子や塩で漬け込むことで、さわやかな酸味のあるアチャールができあがります。山岳地帯ならではの酸味が楽しめます。以下のレシピでもカロンジやアジョワンなどを使ったオイルを作成してカーファルと和えるという調理方法をとっています。
ハリヤーナー州(हरियाणा)
ハリヤーナーはパンジャーブと似た風味のアチャールが多いのですが、「アダラク・アチャール」(अदरक का अचार)、つまり「しょうがのアチャール」が特徴的です。インド風のガリのような感じで、食事が進むこと間違いなしです。インドのサイドディッシュでは一際存在感のある一品です。パンジャビスタイルのしょうがアチャールのレシピで特徴的なのはスパイス不使用であること。塩とレモン汁だけで漬け込んで仕上げていました。
ウッタル・プラデーシュ州(उत्तर प्रदेश)
ウッタル・プラデーシュ州でファルッカバードの中心部、特にチョーク地区の主要道路沿いにある約70年間続くアチャール専門店のマンゴーを使った甘いアチャールが有名で、マンゴーの果肉を細かく切り、ドライフルーツやスパイスと組み合わせて作られます。この甘いアチャールは、エネルギー補給にも適しており、特に地元の人々に親しまれています。
ビハール州(बिहार)
ビハール州では「ミルチ・アチャール」(唐辛子の漬物)が非常に有名で、特に人気があります。辛味が強く、唐辛子の風味を生かしたアチャールは、ビハールの伝統的な食卓で親しまれてきました。そのため、「ビハールのアチャール」と聞くと、多くの人はまず「ミルチ・アチャール」を思い浮かべることが多いです。北インドアチャールらしいスパイスにアムチャール(ドライマンゴーのパウダー)を入れてマスタードオイルでペースト上にしたマサラをタネを抜いた唐辛子の中に詰めます。
材料
まず、赤唐辛子を洗い、茎を取って、1日天日干しにして水分をしっかりと抜きました。それからアチャールのスパイスを用意します。以下の材料を使用します:
フェンネルシード - 大さじ3
黒マスタードシード - 1カップ
メティ(フェヌグリークシード) - 大さじ2
クミンシード(ジーラ) - 大さじ2
カロンジ(ニゲラシード) - 小さじ1
塩 - 味に合わせて
ブラックペッパー - 小さじ1
ターメリックパウダー(ハルディ) - 大さじ2
岩塩 - 大さじ3
アムチュールパウダー(ドライマンゴーパウダー) - 約50g
作り方
スパイスをロースト:すべてのホールスパイスを弱火で1~2分ほどローストし、湿気を飛ばします。ローストしたスパイスは少し冷ましておきます。
マスタードオイルを加熱:アチャール用のマスタードオイルを約0.5リットル温め、煙が出るまで熱したら火を止めます。アチャールを作る際はオイルを熱することで保存性が向上します。
スパイスを混ぜる:冷ましたローストスパイスをボウルに入れ、マスタードシード、アジョワン(キャラウェイシード)、ターメリックパウダー、岩塩、アムチュールパウダーを加えてよく混ぜます。アムチュールの代わりにレモン汁を使用することもできます。
唐辛子に詰める
唐辛子の種を取り出す:ナイフやスプーンの背を使って、唐辛子の中から種を取り除きます。
スパイスを詰める:用意したスパイスミックスを唐辛子に詰め、最後に軽く油をディップして、スパイスが唐辛子全体に行き渡るようにします。
瓶詰め:唐辛子をガラスの瓶に入れ、上からマスタードオイルを注ぎます。
8~10日間天日干しし、年間通してお楽しみいただけます。
こうして見ると、北インドだけでもアチャールには驚くほどのバリエーションがあることが分かります。それぞれの地域で味わえるアチャールは、家族の歴史と共に伝えられてきた宝物のような存在です。これからも北インドの続きや、西・南・東インドの各州についてご紹介していきますので、お楽しみに。
アートオブピックルは、広島県尾道市の島で地元の食材を使ったオリジナルピックルをお届けしています。自分の目で直接みて、信頼できる人から仕入れた質の良い素材で作っています。瀬戸内のレモンを使ったピックルを以下のサイトから注文できます。ぜひお試しください。
次回は西インドのアチャールをご紹介します。お楽しみに。