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1000日チャレンジ 956日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 36 Wonder Drugs

ゴールまで44日

★BMI:22.8

「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)

◎CHAPTER 36 Wonder Drugs
★主な内容
19世紀、科学者たちは細菌が人間に起こす悪影響について明らかにしていった。そして、1930年代半ばには、 ドイツの薬理学者ゲルハルト・ドーマク( 1895-1964)が硫黄を含む「プロントジル」という化合物を創り、それが連鎖球菌による発熱や猩紅熱、産褥熱などに薬として効果があることがわかった。彼はこの功績によりノーベル賞を受賞する。1945年のノーベル賞は、スコットランド出身のアレクサンダー・フレミング(1881-1955)、オーストラリア出身のハワード・フローリー( 1898-1968)、ドイツ出身のエルンスト・チェイン(1906-1979)の3人に贈られた。授賞理由は世界初の抗生物質ペニシリンの発見である。ペニシリンは細菌が賛成し、他の細菌を死滅させる自然界にある物質で、自然界の仕組みを病気の医療に使う道が開かれたのである。ペニシリンは第2次世界大戦中にアメリカの製薬会社によって生産され、兵士や一般人を肺病や傷口からの感染症などから救った。さらに、セルマン・ワクスマン( 1888-1973)とその教え子たちが、放線菌「 ストレプトマイセス」の分離に 成功 し、この菌から薬「ストレプトマイシン」が 創ら れ た。この薬は結核にも効果を示した。その後、多数の抗生物質が発見され、多くの感染症から人類を救うことになったが、現在では、その乱用により出現した多剤耐性菌が問題になっている。
1920年代 から糖尿病の治療に使われるようになった「インスリン」は糖尿病患者の生活を改善したが、治癒させることができるわけではなく、コントロールは必要だった。このように人類は新しい特効薬の開発によって、多くの感染症や疾患を克服できるようになったが、貧富の差によってそれらの薬を使えない人々もいる。

★単語
rubbish
;くず、がらくた、quest;探求、冒険の旅、amputate;(手足の一部を)切断する、antibiotic;抗生物質、spore;胞子、tuberculosis;結核、eradicate;(病気などを)全滅させる

★フレーズ
magic bullet
;特効薬、life-threatening;生命を脅かす、cat-and-mouse game;いたちごっこ

※アレクサンダー・フレミング;「スコットランド生まれのイギリスの細菌学者.ロンドンの工芸学校(Polytechnic)の商学科で学んだ.卒業後,4年間商船会社に勤務したのち,ロンドン大学St.Mary's病院医学校に入学して医学を学んだ.1906年同校の有名な細菌学者A. Wrightの助手となり,1928年細菌学教授となった.鼻の分泌液がある種の細菌を溶解することから,生体中に抗菌作用をもつ酵素リゾチームを発見した(1922年).1928年培養基に生えたアオカビが,まわりのぶどう状球菌を溶解することに気づき,アオカビよりペニシリンを抽出した.オックスフォード大学のH.W. ForeyとE.B. Chainは,ペニシリンを精製する技術を開発し,その結果,ペニシリンは化学療法剤として広く用いられるようになった.この業績により,1945年Forey,Chainとともにノーベル生理学・医学賞を受賞.晩年はエジンバラ大学の総長を務めた.」(森北出版「化学辞典(第2版)より引用)

※インスリン;「insulin、ホルモンの一種。膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌され,糖質の代謝に重要な役割を果す。 1921年に F.G.バンティングと C.H.ベストが発見し,34年に D.スコットが亜鉛添加によって容易に結晶化することを発見するに及んで,純度の高いインスリン製剤が広く供給されるようになった。インスリン製剤は糖尿病の特効薬である。現在,糖尿病に用いられる製剤を大別すると,(1) 血糖を低下させる作用は迅速であるが,効果の持続時間が短い正常インスリン,(2) 効果の発現は遅いが,長時間作用する持続インスリン,(3) 作用時間がその中間の中間インスリン,などがある。インスリンの含有量も 1ml 中に 20,40,80,100単位など各種のものがある。近年,ヒト由来インスリンも開発され,製剤としての純化は完了した。今後は超速効型,水溶性,持続型の開発に関心が高まっている。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用)

◎20世紀の生命科学研究の発展と医薬品開発の進展は、多くの人類の命を救ってきた。新型コロナウイルスによる犠牲者も、かつての欧州を中心とするペストやスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザに比べれば少なく抑えることができたのも、その成果だと思う。一方で、交通機関の発達で、感染症は瞬く間に世界中に拡がる可能性を持っていることも、私たちは学んだ。たとえ、それが、cat-and-mouse gameであっても、克服する努力は永遠に必要なのだと思う。


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