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校内研究授業の成果と反省【校内研究の文脈×『学び合い』】


小学校教員のsmyle(スまイル)です。
今年度、6年生の担任をしています。

先日、校内の研究授業を行いました。


4月に異動し、半年間勤めてきた
現任校の「研究主題」に、どうアプローチするか。
 ・子どもたちのどんな力を高めたいか
 ・自身が高めたい「指導力」は何か
 ・学校組織を活性化できるか


4月から、特に算数において
様々な学び方を試行してきました。
 ①「学び合い」
 ②単元内自由進度学習
 ③単元内自由進度学習×グループ学習

私が授業を通して提案したいのは、
教師が「持ちすぎている」主導権
いかに、どんな塩梅で子どもたちに手渡すか、
というところです。

それは、あまりにも自己決定を恐れる(ようになってしまった)
目の前の子どもたちの実態からも、
提案の必要性を強く感じました。


ただ、「自由進度学習」で提案するとなると
私自身の実践へのさらなる深い解釈と
その解釈を伝える言葉がかなり必要だと感じました。
とどのつまり
伝えたいことが正しく伝わり切らないのではないか
という危惧が大きくありました。

そこで、私自身ある程度の経験値があり
また校内研究の文脈とも掛け合わせやすいと思われる
「学び合い」で授業を行うことにしました。


「課題」と「まとめ」は?


私が行っている「学び合い」の流れは
以前の投稿で紹介しています。


私の所属する自治体は、
「課題」と「まとめ」を書くことを重視しています。
ただ、ことさらに
「課題!まとめ!」と強調されてきた頃から比べると
だいぶトーンダウンしてきた印象です。
今年度の全国学力・学習状況調査の結果が
思わしくなかったからか、
方針・方策を模索しているようです。
今後はより「かかわり合い」?「居心地」?を大切に、
とかなんとか…

私は「課題」と「まとめ」は
「必要に応じて」書くという感じです。
書くことが目的にならないように、
必要だと感じたときに必要なことを書く。

今まで私が行ってきた「学び合い」の授業では
「課題」と「まとめ」は
はっきりと位置づけてはいませんでした。
ただ、当校の研究計画は、自治体に倣い
「課題」と「まとめ」を重視していましたので、
今回、ワークシートに位置づけることにしました。


具体的に言うと、
ワークシートで従来は「GOAL」として
教師から提示していた達成目標を、
「課題」に変え、文言も教師から提示せずに
子どもたちと共に考えることにしました。

本時のワークシート(表)「課題」は一番上

また、ワークシート裏面の
従来は「振り返り」の記述欄しかなかったところに、
「まとめ」を書く欄を加えました。

本時のワークシート(裏)「まとめ」は一番上


本時の指導案


6年〇組 算数科学習指導案(4/7)

1 単元名  円の面積

2 本時のねらい   正方形や四分円を組み合わせた複合図形について、既習の面積の求め方を組み合わせた面積の求め方が分かる。

3 板書計画

板書計画

<活動の流れ>
(1)前時の振り返り紹介。既習事項と前時の学び方を振り返る。
(2)前時とのずれをもとに、本時の問題の見通しをもつ。【手立て①】
(3)見通しをもとに課題を設定する。
(4)子どもたち同士で問題を解いていく。解答は配付する。わからない人は友達(か教師)に聞く。教師は巡視と助言。【手立て②】
(5)友達に説明し納得してもらったらサインを貰う。サインが貯まったら黒板のマグネットを動かす。全員達成を目指す。【手立て②】
(6)時間になったらランダムで指名し説明させる。説明できる且つ全員のマグネットが動くことを目指す。【手立て②】
(7)本時のまとめをする。
(8)振り返りをし、次時に繋げる。


4 本時の手立て

① 「課題把握」場面での手立てや働き掛けの工夫

・前時に、円や半円を組み合わせた複合図形の求積をしている。導入の「前時の振り返り」で、その既習を確認する。
・本時は四分円・正方形・直角三角形を組み合わせた複合図形であるが、前時以上に、既習の求積できる図形を見つけにくい。その困り感を全体で共有し、課題を設定する。自力解決やかかわり合いでの共通の着眼点として、どの問題の図形にも四分円が含まれていること、正方形や直角三角形の面積を用いれば求められそうであることなど、見通しをもたせる。
・また、三角形の求積公式が定着していないので、あわせて見通し段階で押さえておく。

② 「かかわり合い」場面での手立てや働き掛けの工夫
・自由な立ち歩きを認める活動を採り入れることで、一緒に考える、分からない人に教える、分かる人に聞くなど多様なかかわり合いを促す。
・「全員が分かる」を目標にする、友達に説明して納得させ3人以上にサインをもらう、最後にランダム指名した児童が全員の前で説明できなければいけない、などを課すことで、かかわる必然性を生む。
・「葉っぱ型」の図形について、複数の求積方法とその共通点を、他者とかかわることで見出させ、ワークシートに記述させる。


授業後の反省(研究便り)


1 授業者の振り返り
(私が書いたもの)

[手立て①]
◯本時に扱う図形の数値を「10cm」に統一したことは、児童の実態から、複数の考えを関連付け「考え方」の共通点に着目させる上で、有効であった。
◯問題に取り組ませる前に全員で見通しをもつ時間をとり、端的に公式を想起させたり、問題の図形に含まれる求積可能な図形を確認したりした。見通しをもたせずに解かせていたら「円」がどこにあるか見付けられない児童が多数いたことが予想された。また、補助線をあらかじめ引いてみせたこと(実態からみて補助線を児童が自力で見付け出すのは難しい)も含め、「考え方」に着目する手前でつまずくことを未然に防ぎ、学びを焦点化させる上で有効であった。

[手立て②]
◯自由な立ち歩きで関わらせたことは、授業を通して考え続け、意見交流していた児童の姿から有効であったと考える。自力解決と話合いの時間を一律で設定しないことで、個別最適な形で1人で考えるのか、複数で考えるのか、関わるなら誰と関わるのか、自らの学びを選択できていた。
▲複数の考え方の共通点を児童が見出せるように、ワークシートに共通点を書く欄を設けた。児童なりに様々な共通点を記述していたが、全員で学習のまとめをする際、十分にそれらの文言を引き出すことができなかった。それぞれが見出したものを交流させた上でまとめに繋げたほうがよかった。
▲「分からない」となったときにどう動くべきか、もっと経験を積ませていく必要性を感じた。というのも、悩んだときに一人や少人数で行き詰まる姿がいくつか見られたためである。自分から聞きに行く、かかわりが停滞したら他の児童とかかわる、解答や教科書を参考にする、など多様な方法、選択肢を獲得させるために、今後も学び合う活動を継続的に取り組んでいく。
 
 
成果と課題(参観された先生が書いたもの)

[本時の手立て]
①「課題把握」場面で、既習の求積できる図形を提示することにより見通しをもたせる。
②「かかわり合い」の場面で、複数の求積方法とその共通点を他者とかかわることで見出させる。

[手立て①について]
〇前時で学習した図形よりも円が見えにくい図形を提示したのはよかった。具体的に三角形を示すことにより全員が課題に取り組めた。また正方形の1辺を10㎝にしたことにより、計算の負荷を減らすことができた。
▲既習事項とのずれについては、今回提示した課題は課題意識を高めることはできたが、本時で解決したい課題としては曖昧さがあった。まとめが「かくれている図形を見付けて面積を求めればよい」となるような課題が必要だった。教師が狙っていた「共通点」が曖昧であった。
▲問題③で提示された図形が教科書と180度違っていた。教科書の解法を提示するのなら同じがよかった。
▲見通しのもたせ方については、児童が自分たちで気付ける程度の見通しでもよかったのではないか。児童の主体的な自力解決を促すようなものにすべきではないか。

[手立て②について]
〇児童がやりたい学び方を選択できたことはよかった。分からないことを「分からない」と言える姿や、自分から友達に自分の分かっていないことを聞きに行っている姿など、主体的に学ぼうとする様子が見られた。
▲まとめの際、ワークシートに書かれた共通点を十分に引き出せなかった。自由なかかわりの後の全体交流の場面における教師の役割が重要だった。ランダム指名によって説明された2つの考え方について、問い返し等で全体で確認し、共通点を見出せるような働き掛けがあると、2つの考え方の共通点を児童に気付かせることができ、まとめにつながったのではないか。
 
 
3 授業で明らかになったこと(参観された先生が書いたもの)

・「個別最適化な学び」は思考が大切である。方法に目が行きがちだが一斉でもできる。自分たちが見付けた解法の効率のよさに児童が気付き、練り上げていく方法もある。今回は自分が分からないことを堂々と言っていた。確実に学び合いのスキルが上がっていることがわかる。
・振り返りについては、内容・情意面・かかわり方を記述する必要がある.「何人とかかわれた」だけで評価はできない。
・課題とまとめが正対することが必要である。また、課題が解決できればよいのではなく、児童がどんな価値をもって学習していたのか明らかにしていかなければならない。
・かかわりの中で分からなかった時、どうすればよいか多様な方法を児童に獲得・選択なければならない。かかわりの方向化を示していく必要がある。


「いつでも見に来てください」


子どもたちはよく頑張りました。
とてもいい姿を見せてくれました。
私が「学び合い」に取り組んでいるのは
目の前の子どもたちに一番必要なのが「かかわる力」で、
誰とでもかかわり合えるクラスにしたいからです。

その点を、参観してくださった先生方に認めていただけたことは
子どもたちの頑張りの賜物であり、
今までの道のりを肯定してくれる言葉でもありました。

ただ、そんな子どもたちの姿に導くための
教師の役割・立ち位置・在り方について、
十分に伝えきれなかったことは、悔やまれるところです。

自由進度学習においても共通するところですが、
子どもたちに委ねる授業において肝要なのは
とにもかくにも徹底的な見取りとフィードバック。
今回の研究授業でも意識して行ったつもりでしたが
まだまだ足りませんでした。


それでも校長先生は、私の授業のエッセンスは
校内研究の文脈には必要だと感じてくださったようで、
「smyleさんの授業は、みんなに見てもらった方がいいね」
と言っていただきました。

「いつでも大丈夫です。
 研究授業だからって特別なことは何もなく、
 いつもやっていることは同じなので。」

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