大学教員・研究者の任期制について
1. 大学教員(研究者)の任期制とは?
今、大学で研究や教育を担う教員は、多くが任期制となっています。
その目的は、「教員の流動性を高めることで、教育研究の活性化を図るため」と説明されます。
全ては平成8年(1996年)の大学審議会の答申から始まります。
その後、平成9年(1997年)に、大学教員の任期制を可能とする法律が成立します。
この法律に基づいて、各大学では教員の任期に関する規則が策定されています。
職位によって任期の期間は異なりますが、助教クラスだと1~3年、准教授・講師クラスだと3~5年といったところでしょうか。
任期更新(再任)にあたっては業績の審査があり、当然、実績の乏しい教員(研究者)は雇止めとなります。
2. 流動性を向上させれば良いわけではない?
これまで、「大学教員の任期制の促進が研究人材の流動性を高め、教育研究を活性化させる」と無邪気に信じられてきましたが、最近では、そう単純な話ではないことがわかってきています。
2017年には、東京大学総長(当時)の五神真氏が、任期無し教員の減少が国際競争力低下を招いたと述べ、若手教員(研究者)の雇用の安定化を訴えました。
2019年には、早稲田大学の清水洋教授が半導体レーザー業界の調査に基づき、『人材の流動性が高まるとスピンアウトが増え、イノベーションが育たなくなり技術開発の水準が低くなる』ことを指摘しています。
同年、文科省からも過剰な流動性促進による弊害を懸念するような指摘がなされています。
『国立大学法人等人事給与マネジメント改革に関するガイドライン』(平成31年2月)では、留意点として以下のように述べられています。
ここから先は
1,576字
¥ 300
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?