むろう さとる

解剖学研究者/大学教員/医師/医学博士/解剖学YouTuber(Dr.ムック)| 医学部在学中に解剖学研究に興味→初期研修医→大学院→大学教員(研究者)|所属機関の意見・見解を代表・代弁するものではありません| https://researchmap.jp/satorumuro

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最近の記事

PowerPointのノートを出力

PowerPointの画面下部の「ノート」にメモした内容を、テキストファイルに出力するマクロを書きました。 Sub ExportNotesToTextFile()    Dim slide As slide    Dim notesText As String    Dim filePath As String    Dim pptPath As String        pptPath = ActivePresentation.Path        filePath

    • 解剖学的知見と外科手術との関係について

      解剖学的知見と外科手術との関係について、これまでの認識は(明確に言語化されていたかは不明だが)、解剖学で明らかにされた人体の構造の「地図」があり、その「地図」には「道」と「道ではない所」が記述されており、外科医はその解剖学的「地図」を把握することで、術中に適切な「道」を選択しながら進むことで目的(腫瘍の切除や、構造の修復・再建など)を達成する、といったものだったかもしれません。 しかし、最近、ちょっと違うのかな、と思っています。 というのも、人体の構造の中で特に結合組織(主

      • もしも解剖学の院生が他分野の院生に「有意差でた?」と聞かれたら

        1.解剖学の院生あるある解剖学の院生 「おつかれー、久しぶりー」 他分野の院生 「おつかれー。研究の進み具合どう?有意差でた?」 解剖学の院生 「えっと…有意差とか…そういう研究じゃなくて……」 という経験はありませんか? こんな時、何と答えれば良いでしょうか。 きっとシンプルに、こんな返答で良いと思います。 解剖学の院生 「いや、私の研究は記述研究だから」 こう答えて、もし他分野の院生がポカンとしていたら、その院生はきっと医学研究の種類を理解していません。 医学研究と

        • 【椎骨の基本構造】前で支えて後ろで守る!

          椎骨の基本構造を見ていきましょう。 人の体のまさに軸をつくっている脊柱。 これを構成するのが33個の椎骨です。 ここでは、第六胸椎を例にとって椎骨の基本構造を確認していきましょう。 椎骨をこうやって見てみると、前側と後ろ側で大きく形が異なっているのがわかると思います。 椎骨の基本構造、そのポイントは『前で支えて後ろで守る』です。 まず前側を見てみますが、この前側の部分というのは、こういうふうに円柱状で、丸太を切ったような形をしていますね。 この部分を椎体と言います。 こ

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        • Dr.ムックの2分で学ぶ解剖学
          28本
        • 論文紹介
          3本

        記事

          【十字靱帯】交叉するのはなぜ?

          膝関節の十字靭帯(前十字靭帯と後十字靭帯)の解剖を解説します。 まずこちら膝関節で大腿骨を半透明して見ていきます。 こちらが前十字靭帯です。 前十字靭帯、上の方は大腿骨の課間窩の外側壁に付着しています。 下の方は脛骨の課間領域の前方に付着しています。 横から見てみますと、このように靱帯が張っているので、脛骨が前方の方にシフトしてしまう前方偏位を防ぐ働きがあります。 ここでしっかりと突っ張るわけですね。 次に後十字靭帯。 今度は後ろから見てみましょう。 後十字靭帯は、上

          【十字靱帯】交叉するのはなぜ?

          【論文紹介】骨盤内臓を支える骨盤底筋、を支えるのは股関節の筋だった!?

          股関節の筋と骨盤底筋の解剖学的関係にについて報告した研究論文をご紹介したいと思います。 題しまして、『骨盤内臓を支える骨盤底筋、を支えるのは股関節の筋だった!?』 こちらの研究、どんな研究なのかといいますと、股関節の筋である内閉鎖筋と、骨盤底の筋である肛門挙筋の構造的関係を調べた研究です。 この二つの筋が、広い範囲で筋膜を共有しながら面状に接し、その筋膜が肛門挙筋の幅広い起始部となっていることがわかったんです。 この研究により、内閉鎖筋の動きが、肛門挙筋の機能発揮のための基

          【論文紹介】骨盤内臓を支える骨盤底筋、を支えるのは股関節の筋だった!?

          【論文紹介】直腸前方には何がある?骨盤底の平滑筋はただものじゃない!

          直腸の前方にある平滑筋構造に関する研究論文をご紹介したいと思います。 こちらの研究は、男性の直腸の前方の構造を調べた研究です。 平滑筋が腸管の壁を作るだけでなく、周囲に延び出し、特に直腸の前方の領域に三次元的に広がっている、ということがわかったんです。 この研究により骨盤底支持や排尿・排便機能において骨格筋と平滑筋が動的に協調しながら機能発揮するメカニズムが示唆されました。 まず、骨盤内臓の基本的な解剖として、直腸の位置を確認してみたいと思います。 このような形で男性の骨

          【論文紹介】直腸前方には何がある?骨盤底の平滑筋はただものじゃない!

          【小殿筋と中殿筋】間に分け入り支配する神経は?

          小殿筋と中殿筋の解剖を解説してみます。 小殿筋と中殿筋は、殿部の比較的浅層にある筋です。 大殿筋を取り除くとその下に中殿筋、さらにその下に小殿筋を確認できます。 小殿筋も中殿筋も、形は扇形をしています。 それぞれ起始停止を見ていきましょう。 小殿筋は、腸骨の拡張した部分、腸骨翼の上外側面から起始します。 このように起始した小殿筋の筋線維は下外側方向へ収束し、大転子前外側面の幅広い線状の面に停止します。 一方、中殿筋は、小殿筋の上に覆いかぶさっているような位置にあります。

          【小殿筋と中殿筋】間に分け入り支配する神経は?

          【肺間膜】呼吸運動にはゆとりが必要!?

          肺間膜の解剖について解説します。 肺の縦郭側を向いた内側の面、縦隔面といわれる面を見てみます。 ここに肺門がありますね。 そして、そこから胸膜のヒダが下方にのびています。 これを肺間膜といいます。 解剖学で『間膜』というと、上皮性の漿膜の二重膜のことを指します。 このヒダの部分では、胸膜が二重になっていますよね。 だから『肺間膜』。 このように、肺間膜は胸膜の垂れ下がりです。 例えるなら、着物の袖が垂れているような感じ。 気管支や血管、神経は、基本的に肺門の部分を出入

          【肺間膜】呼吸運動にはゆとりが必要!?

          【固有背筋】これこそ真の(深の)背筋である!

          固有背筋の解剖について、その概要を解説してみます。 固有背筋は、その名の通り、背中の領域、背部に固有な筋たちです。 どういうことか。 実は、この辺りの背部の浅い層の筋というのは、本来背中の筋ではなくて、腕の筋、上肢の筋なんですね。 で、より深いところ、深部にあるこれらの筋こそが、背部オリジナルの筋、固有背筋なんです。 もともと上肢の筋である、例えば広背筋や菱形筋などが脊髄神経の前枝に支配されるのに対し、これら固有背筋は背部オリジナルの筋ですから、脊髄神経の後枝に支配され

          【固有背筋】これこそ真の(深の)背筋である!

          【胃の静脈】Henleの胃結腸静脈幹をご存知?

          胃の静脈の解剖について、解説してみます。 まず大事なポイントの一つは、『胃の静脈はすべて門脈に還流する』ということですね。 胃の”動脈”が、小弯側と大弯側、そして右左で2×2の4本ありますが、”静脈”についても同じです。 小弯側、大弯側、右、左で4本あります。 まずは、右胃静脈から見てみましょう。 右胃静脈はこのように走って門脈に入ります。 今度は、左胃静脈を見てみましょう。 左胃静脈は、腹腔動脈の分岐部の前を通過していって、門脈に向かっていくんですね。 そして門脈に入

          【胃の静脈】Henleの胃結腸静脈幹をご存知?

          【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

          肩甲骨まわりの筋、「肩甲挙筋」「菱形筋」「前鋸筋」を見ていきます。 ヒトの身体の肩甲骨は上肢の近位部を形成しています。 これは下肢の近位部の骨盤、寛骨と比較してみますと、その違いは明瞭です。 寛骨、骨盤に関しては、背骨である仙骨と関節し固定されています。 一方で、肩関節を形成する肩甲骨は背骨とはくっついていないんですね。 自由なんです。 これが人の上肢の自由な運動を可能にしている要因の一つです。 では、肩甲骨は体幹から離れてしまって中に浮いたままなのかというと、そうで

          【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

          【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

          心臓の冠状動脈・静脈の解剖について、基本的なところを解説してみます。 冠状血管(動脈・静脈)はこのように心臓の周りを取り巻いている血管ですね。 このように心臓の全周にわたって、その表面を取り巻いています。 まず冠状動脈、赤く描かれている方から見ていきます。 冠状動脈のポイントは、『どこから出ているか』。 冠状動脈は大動脈の基部から出ています。 左の冠状動脈と右の冠状動脈があります。 左の冠状動脈は、大動脈基部から出たあとに、心臓前面の左心室と右心室の間のあたりを下行

          【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

          【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

          咀嚼筋の解剖について、解説してみます。 咀嚼筋は顎を動かす筋肉です。 いくつあるのか、どこにあるのか、ご存知でしょうか。 咀嚼筋は、体表から触れることができる筋が2つ、体表から触れられない筋が2つ、合計4つの筋からなります。 今回は、体表から触れることができる咬筋と側頭筋を見ていきたいと思います。 皆さん、ご自身の顎の付け根のあたりを触りながら歯をググッと噛みしめていただくと、ここの筋腹が動くのを感じることができると思います。 同様に、側頭部のご自身の「こめかみ」のあた

          【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

          【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

          腎臓の動脈と静脈の解剖学的特徴を解説してみます。 腎臓は、腹部のかなり背中側に、左右両側にある臓器です。 この腎臓の血管はどこに出入りしているのか。 腎臓は、腹部大動脈から血液を受けます。 腹部大動脈の横から左右に腎動脈が出て、腎臓に入ります。 血管が腎臓に入るところは腎門といわれ、ほぼ一箇所にまとまっているんですね。 腎臓以外にも、肝臓や脾臓、肺など、このように血管の出入り場所が一箇所にまとまっている臓器というのはいくつかあります。 この腎門から主に血管が出入りする

          【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

          【論文紹介】内閉鎖筋による股関節の運動が、閉鎖筋膜を介して肛門挙筋による排便・排尿機能へ寄与することを示す解剖学的根拠

          内閉鎖筋による股関節の運動が、閉鎖筋膜を介して肛門挙筋による排便・排尿機能へ寄与することを示す解剖学的根拠 Anatomical basis for contribution of hip joint motion by the obturator internus to defaecation/urinary functions by the levator ani via the obturator fascia J Anat. 2022 Dec 18. Online

          【論文紹介】内閉鎖筋による股関節の運動が、閉鎖筋膜を介して肛門挙筋による排便・排尿機能へ寄与することを示す解剖学的根拠