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ハンバーガーとの共通点から見た「万年筆」

若い頃にはマクドナルドをはじめ、ファーストフード店のハンバーガーにはずいぶんお世話になった。コカコーラとフライドポテトとの組み合わせは最高だった。特に学生時代は、安くて美味しいハンバーガーは手軽にお腹を膨らませられるますとアイテムだ。
それ以外にも革新的、合理的で効率的なオペレーションや、分業と効率化、技術革新、トレーニングの質と充実など、ビジネスモデルとしての学びも多く興味が広がった。
        
もともとハンバーガー自体は、バンズという丸い形のパンに牛肉や鶏肉などの具材を挟んだもという認識でいたが、米国には明確な規則があるようで『牛肉100%のミートパティを挟んだものでなくてはハンバーガーと言わない』と連邦規則集に明確に記載されているらしい。
ハンバーガーはサンドイッチから派生した食べ物で、日本でよくあるチキン、テリヤキバーガーなどは厳密には"チキンサンド”と呼ぶとのこと。
今、増殖中のグルメバーガーやご当地バーガーなどもブランド豚や鯖など色々な具材が使われバラエティーに富んだものが出てきている。
ハンバーガーが生まれた米国から、独自進化した日本のハンバーガーではあるが、それでもやはり構成する形はシンプルで”丸いバンズに具材を挟む”スタイルは変わらない。

万年筆の構造も至ってシンプルだ。主なパーツはペン先、ペン芯、首軸、胴軸軸、キャップの5つ。首軸や胴軸、キャップに使う素材や色、デザインなどはいろいろあるが、ペン先とペン芯の間をインクが伝たい流れ、筆記することができる。
この『ペン先とペン芯の間をインクが伝たい流れ、筆記する』というのが万年筆の万年筆たる所以だとすれば・・・などということを思いながらこの本を手に取って、ハンバーガーのことを色々と読んでいくと、いつもと違った目線で万年筆と向き合えたような気がした。
そんな思いの中、普段使っている万年筆を眺めてみた。


ファーストフード的なカジュアル万年筆

透明のボディーは、中のインクがみれて遊び心を掻き立てられます。

イタリアのフィレンツェのスティピュラというブランドの工房で同社のパッサポルトという万年筆をベースに、新たに作り込んだUFFIZI STROZZI (ウフィッツィ・ストロッツィ) という万年筆。カジュアルで手のひらサイズで、コロンと愛らしいデザイン。胴軸は透明で、中に入れたインクの色が楽しめる。それでいてキャップを胴軸の後ろに締めれば、筆記にはちょうどいいサイズの万年筆になる。

コンパクトなサイズが嬉しい。

万年筆の『ペン先とペン芯の間をインクが伝たい流れ、筆記する』という、シンプルかつ最も重要なポイントもしっかりおさえている。        こんな小さなペン先ながら、インクの流れがスムーズになるように+ストレスなく筆記できるように、ペン先を専門の調整師に依頼して整えている。
ときに、違った2色のブルーを入れてみたり、1つにはブラックやブルーブラックなどの定番の色を、もう1つにはターコイズやピンクなど遊び心ある色のインクを入れて毎日愛用している万年筆。まさにファーストフード的なカジュアルかつ実用的な1本。

コロナ禍が始まる直前に初めて挑戦したクラウドファンディングのプロジェクトに挑戦した思い出の万年筆。開発秘話や想いなどを記載しているので、ご興味がある方はこちらをご覧ください。
(こちらからは購入もできます。)

グルメバーガー的なこだわり万年筆

20年前に初めて見た外観に惹かれる

初めてみた時に「こんな遊び心がある万年筆があるんだ!」と、万年筆のデザインに未来を感じた1本、旧デルタが音楽器のサックスフォンを考案したアドルフ・サックスへ捧げた限定万年筆。

キャップのデザインと装飾がお気に入りの1本。

キャップのデザインが秀逸で、くわえて息を吹き込めば音が出てきそう。それでいて、ボディーは筆記時のバランスも考えられていて、シンプルで太過ぎず細ずぎずでちょうどいい。とても気に入っていて、限定品ではあるが、やはり万年筆は「書く道具」。こちらも普段使いしている1本。

限定品らしく、付属品も凝っている。

ご当地バーガー的な個性派万年筆

これも・・万年筆

ハンバーガーで"ご当地バーガー"と言えば・・丸いバンズに挟むのは特産品や名物品など、多種多様なもの使用し個性的でもある。
万年筆にも、あるんです、独特の個性を発揮するブランドが!・・それはフランスのアーティストでもあるジャン・ピエール・レピーヌが作る逸品、サボテンをイメージしたCUCTUS(カクタス)。
手の中でこの万年筆を触っていると、イボイボにあたって・・気持ちいのです。(マッサージ効果?)

キャップを後ろに装着すると・・これはこれで、書きやすい(笑

ジャン・ピエール・レピーヌ氏との付き合いも、かれこれ15年以上になる。個性的でチャーミングなフランス人で、独特のユーモアーと作風を持った異人。毎日自宅で絵を描いていて、3日とあけずに描いた絵を写真に収めて、WhatsAppで送ってくる。とっても茶目っ気ある彼の万年筆はいつも驚きがある。
実は、この万年筆はプロトタイプ(試作品)で、製品化まであと一歩のところで止まっている。残念ながら最低発注数を上まるだけ日本で受注が見込めるかが・・・わからない。悩ましいところなのです。

なんとか、こんな遊び心ある筆記具を受け入れてくれる個性的な方々増えれば、日本ももっと暮らしやすくなるかもしれません。

パリのオペラ座近くのペンショップでもペリカンの隣に鎮座している(笑

ジャン・ピエール・レピーヌの筆記具は、どれも個性的で”ユニーク”。フランスではとても人気があり、田舎町の文具屋さんに行っても取り扱っているお店がある。フランス人独特のセンスなのかもしれません。
(ちなみにドイツやイタリア、スイスなど他の欧州諸国で彼の筆記具を置いているのを見たことがありません(笑。 )
そういう意味でも「ご当地バーガー」ぽいなと思います。

ハンバーガーと万年筆と

偶然目にした「ハンバーガーとは何か?」という書籍から、あらためて万年筆と向き合ったような気がした。「万年筆とは何か?」と問いかけられたような気がした。
本との偶然の出会いから始まった、自分が所有する万年筆への思考のちょっとした小旅行を楽しんだ初秋の午後でした。

Text/photo  村雲 伸二







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