医療・介護業界の採用市場の実態と人材紹介サービスに対する3つの勘違い
◆医療・介護業界の構造
一般的には「人事部」が独立している業界・企業が多いと思いますが、僕が仕事している医療・介護業界では「人事部」という部署がないクライアントが大半です。また、人事部と同じように、経理部・総務部という独立した部署を持っているクライアントも少ないです。
医療・介護業界には「事務長」という役職の方がいらっしゃって「事務長 ≒ 経理部長 兼 総務部長 兼 人事部長」です。読んで字のごとく、事務方の長、それが事務長です。
本来は、経理・総務・人事それぞれの領域にプロフェッショナルが求められますが、医療・介護業界ではバックオフィスに人件費を割きづらいので、事務長という役職をおいて、すべての事務仕事を統括している事が多いです。
◆採用市場の実態
事務長が経理・総務・人事すべての領域を完璧にマスターすることは難しく、マスターしようとしても仕事が多岐に渡り、常に超多忙のため各領域に時間を割けない、という状況があります。
そのためか、医療・介護業界では、採用活動に力を入れている病院・介護事業所は決して多くなく、本格的に採用活動に力を入れている採用勝ち組と採用負け組が二極化しているように感じます。
採用負け組と書くと語弊がありますが、むしろそういった事業所には伸びしろしかありません。
やれることがまだまだあるのに、
・やったことがない…
・自分たちではできるか不安…
・時間が割けない…
・実行する人員がいない…
・周りの理解が得られない…
など、伸びしろがあるのに、チャンスを掴んでいないクライアントが多いのが、医療・介護業界の採用市場だと感じています。
◆人材紹介サービスの普及
採用担当者・採用法人の多忙さ、部署や役割の不明確さだけが理由ではありませんが、医療・介護業界では人材紹介サービスの利用が一般的です。なぜ、人材紹介サービスが普及しているのか詳細はまた別途紹介しますが、ざっくり紹介すると、医療・介護業界が次のような構造だから、と考えています。
※あくまでも個人的な意見なので、賛否両論あると思います。
で、医療・介護業界では、人材紹介サービスにどんな勘違いあるか?(
◆勘違い① ~人材紹介サービスは敵、ハローワークは味方~
まずは、多くの法人が「なるべく人材紹介を使いたくない」「人材紹介を使ったら負けだ」と感じており、時代錯誤のハローワークを頼る傾向があります。ハローワークを利用される方もいらっしゃるので、ハローワークを利用することは間違いではありません。
ホワイトカラーの業界では、人材紹介会社と密にコミュニケーションを取り合って、お互いを「パートナー」として認め合い、二人三脚で採用活動を成功させ、企業理念実現のために歩んでいくことが一般的だと思います。
しかし、医療・介護業界では「人材紹介会社=パートナー」ではなく、「人材紹介会社=業者」という扱いです。15~20年以上前には、医療・介護業界に人材紹介サービスは普及しておらず、ハローワークと新聞折込広告での採用が一般的でした。そこの突如現れた採用単価の高い人材紹介サービス。もう、そりゃ彼らにとったら敵ですよね?!
一部のクライアントは我々をパートナーと認めて下さいますが、まだまだ我々のような医療・介護業界の採用支援を行っている会社は「敵」として見られているのが実態です。
◆勘違い② ~値引いてこそ価値がある~
一つ目の勘違いと重複するのですが「人材紹介サービスは高額すぎるので値引こう」と考えるクライアントが多いです。
特に「御社から10人ぐらいまとまった人数を採用したいので、値引いて欲しい」と、薄利多売の考え方で値引き希望される病院様・介護事業所様がいらっしゃいますが、以下図のように採用市場は薄利多売が成立しないため、値引きすることが難しい。
薬関係や医療材料の購買と、人材採用はマーケット構造が異なるのですが、この勘違いが二つ目です。
◆勘違い③ ~人材紹介経由の採用者はすぐに辞める~
最後は「人材紹介で採用した人はすぐに辞めてしまう」という勘違いです。
・採用経路別(例:人材紹介、オウンドメディア、リファラルなど)
・採用時期別
・面接官別
・求職者属性別
・採用リードタイム別 など
多くの事業所では採用者、退職者のカテゴライズを採用経路別だけで行っており、その他の要素ではカテゴライズされていません。
もし、考えられるありとあらゆる要素でカテゴライズして、それでも人材紹介で採った人だけが早期に辞めてしまっているのであれば、
・人材紹介会社との協力体制はできているか?
・人材紹介会社には十分な情報を発信しているか?(情報量×頻度)
・人材紹介会社とターゲットは共有できているか? など
勘違い①のように人材紹介会社を敵ではなくパートナーと見て、協力体制を築いていくことが重要ではないでしょうか?医療・介護業界において人材紹介というサービスは今後も需要が高まり続けると思いますので、うまく活用する方法を見つけて欲しいと思います。
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