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透明な町

ただ子供がいて
その親がいる

何をしてるか
何もしていない

見るべきものなど何もない
だからわたしは見まいとする

しかし透明なはずの彼らは
ここに居ないはずの彼らは

見て居ない時に限って
物語を語っているようで

そっぽを向いていると
音だけ聴こえて来る

透明なはずの町では
彼らは他者というフィルムをはられている

見るべきものなどない
透明な存在など

しかし眼の端で捉える
彼らの色の数々
意味などない
断片的な会話
縺れた
拾いどころのない

ただそれを時折掬っては
聴き
拾っては見て

わたしはこの透明な町で
過ごす
過ごし方を知ることになる

わたしは彼らではない
彼らは見るべきものがないのだが

見るべきものを確かに有している
この透明な町で