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夢の口紅

普段夢みている夢が
ここぞとばかりに
口紅を塗った時ほど
恐ろしいことはない

明らかに何かの痕跡を
残そうとしているからだ

女がその痕跡を誰かに知らせるために
香水をつけて
車に乗り込み

そして帰って行くように
おれはその夢の残り香の始末に
苦慮する