知るということ
何をもってして
木を知るというのか
その一枚の葉を手に取るだけで
木のことがわかるのか
或いは樹皮を触り、それを削ることでか
また鮮やかに咲く花の一片を拾う時か
地中深くに下ろした根を想う時か
わたしは木については
何も知らない
鳥が巣を作り、佇むあの高みには行けないし
高みから降り注ぐ太陽の熱さも知りえない
木を
木らしきものを
収集し
愛することはできる
だがこの木の巨大な木の
静けさやおおらかさは
知ることができない
身を削り
放ち
それでも
沈黙のうちに直立する
その佇まいを
知ることはできない