ジャノメチョウの居た夏
照り返しの強い
夏の日
近所の道脇に生えている
椚の木
じわじわと酸っぱいような
臭いの樹液を出しながら
そこは
まさに争いの場だ
樹液を巡る
カブトムシ
とクワガタの戦い
オオスズメバチと
クワガタとカナブンの戦い
そこに
混じって
なんの牙も針も角もない
蝶
一羽
ジャノメチョウ
ひたすら地味な色をして
争い事を持ち込まず
樹液を吸っている
牙も針も角もないのに
よくこの場にいられるなぁ~
怖くないのかなぁ~
でも怖いだろうなぁ~
お腹も空くだろうし
わたしは
自分の毒を出しきり
詩という
椚の木にとまる
蝶になりたい
牙も針も角もない
誰からも相手にされなくても
地味な色をした
夏のジャノメチョウになりたい