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夏の足に

夏に感謝しなければならない
突然やって来た夏を

そこを歩いた足もついでに

一歩踏み出すと外は灼熱で
何歩か歩いている内になれてくる

夏の間歩き続けた者よ

開け放たれたシャワールームに
入る時の窓からの風はどうか?

海辺りで砂浜を踏み沈み込む熱さを
我慢した後で
入る
海の冷たさは
やはり足からではないか?
それはどうだ?

季節を歩き続けた足に労りのことばをかけよう

われは庭の車の下に陽をさけるようにして
息をひそめる猫に
打ち水をしてやって
濡れる

ままよと
また蛇口を捻りざぶざぶと
バケツに水をはり
顔をばざばざと洗い
頭も洗い
誰も来ないのだからと
上半身裸になり
バケツの水を被る
まったくの行水だ

滴り落ちる水はすべて短パンを伝い
足下に流れていく

フェーン現象の風の下で
濡れ行く足

ようやく出口が見えて来た最後の夏の終わりに
感謝しつつ

タオルで足を拭う
タオルで足を丁寧に拭う

「おつかれさん」