いきなり夜逃げ(モラトリアム期間1)
バブル崩壊と騒がれたのも久しく感じるぐらいに家業は安泰に思っていた。
小売の出店舗数もむしろ増えてるぐらいだったからだ。
完全に無警戒だった。
浪人生活で夏休み期間だけは予備校に行こうか悩んでいた時期だったと思う。
突然父が「今から3日間ホテルに暮らす、準備しなさい」
私は旅行かと意気込んだ、こういうことは過去あったからだ。この前は伊豆だったし、その前は江ノ島だったな。今度はどこだろう、楽しみにしたいから聞くのはやめよう。
母の顔は険しい、きっと希望の場所が却下されたのだ