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発症した時のこと② やっぱり「アレ」だった!

前回の続きで、発症時のことを書きたいと思います。


前回のブログはこちら!

1. 2023年7-8月 大学病院皮膚科②  

a. アナフィラキシーではない?

血圧低下も起こったことを医師に伝えました。その時の会話です。

私:「呼吸器、皮膚、消化器、循環器と症状が出ているので、アナフィラキシーではないのでしょうか?」(ガイドラインを片手に)

 医師:(笑いながら)「アナフィラキシーではないですよ。食物アレルギーの場合、食べてすぐ症状が出ます。 数時間後に出るのは、食物アレルギーではないですよ」

 私:「アナフィラキシーでないのであれば、同じような症状を起こす他の鑑別疾患について調べて頂けないですか?」

 医師:「専門外来のある所にいかないと、ここではできないなあ」

私:「今後、舌・喉が腫れて、呼吸苦、血圧も下がったらどうしたらいいのでしょうか? こちらの救急外来に電話した際には、2回断られました

医師:「取り合えず、お注射(ゾレア)試してみましょう」

そして、7月にゾレア1回目を打ちました。

この時、私と家族は食物アレルギーの可能性が高いと考えていて、次のように話し合いました。

食事制限とゾレアを同時に行って症状が改善した場合、どちらが要因か特定できなくなってしまう。ゾレアの評価期間は、制限なしで通常通り食べて、ゾレアが効くか試してみよう。 

食物日誌もつけて、本当に特発性なのか、食物によって症状が起きているか見極めよう。 そして自発的に食物日誌をつけ始めました(一部、抜粋)

診察に持参しましたが、医師は一度も見ることはなかったです。ほぼ毎日、症状が出ていました。

b. ゾレアにも反応で中止、転院

1か月後の診察で、効果をはっきりと感じられませんでしたが、3回打ってから評価するということで、2回目のゾレアを注射しました。

両腕に打ったのですが、数分後に左腕だけ、1回目にはなかった灼熱感がありました。 家に帰った後、急に眠気がし、気づいたら床に倒れていて、約2時間経っていました(傾眠?)。通院疲れ?とその時は思いました。 

 起きると、口の周りがちくちくし、鏡を見ると唇・喉・頬が腫れていました。夜間は呼吸が苦しく、胸の充満感、動悸もありました。またいつもの症状が強く出てるな、とその時はゾレアの影響だと気づきませんでした。

翌朝起きると、左腕だけ、コロナワクチンの時よりひどく腫れて腕が上がりませんでした。その時「ゾレアに対して反応が出ていたんだ」と分かりました。 

その後も、お腹の膨満感・下痢と続いたので、病院に電話しました。その週は予約が一杯で診れない、4週間後の診察予約を、最短で診てもらえる翌週に早めてもらいました。

結局、ゾレアは中止、他の治療方法がないとのことでした。私は、呼吸器内科・食物アレルギーの専門外来がある病院に転院したい旨を伝え、紹介状を書いて頂きました。

2. 2023年8-9月 転院、大学病院食物アレルギー専門外来

転院先の病院の初診予約を取ろうとした所、4ヶ月先まで取れないとのことでした。「今の症状のまま、とても4か月も待てない」と思い、その専門外来の診察日に予約なしで向かいました。 3時間半待ちでしたが、予約外で何とか診てもらうことができました。 

初診時に呼気NO検査、血液検査をし、2回目の診察で、食物アレルギー(アニサキス)、喘息、慢性蕁麻疹という診断が出ました。 喘息日誌を渡され、エピペンも処方して頂きました。

アニサキスの特異的IgE抗体価は、転院前にも調べていました。その時は抗体価が上がっていなく、アレルギーではないという診断でした。半年後、クラス2陽性まで、上がっていました。

転院前 2023年3月 0.40 (クラス1 擬陽性)非特異的IgE 27
転院後 2023年8月 3.12  (クラス2 陽性)  非特異的IgE 170

自分でつけていた食物日誌には、真鯛、ほっけ干物、エビ、鮭、アジ、マグロ、缶詰のサバ水煮で反応が出ていました(マグロ以外全て加熱済)。「やっぱり思っていた通り、食物アレルギーだったんじゃないか」と思いました。

特に、缶詰のサバの水煮は、試しに20g食べてみた所、呼吸困難の症状が出たので、アニサキスアレルギーというのは納得でした。

3. 皆様にお伝えしたいこと

ここまで、発症から診断までの状況を書きました。アニサキスアレルギーは、特に大人では誰にでも起こり得るので、お伝えしたいことがあります。

a. 症状が遅れて出ることもある

普通の食物アレルギーのように即時(30分から2時間)で症状が出ない場合もあり、数時間、半日経ってから症状が出る場合もあります。私の場合は、食べてから0.5-12時間と幅広かったです。 

夕食・入浴後、就寝して2時間位で呼吸苦で起き、顔・喉・手などが赤く腫れ、呼吸苦で数時間苦しみ、翌朝腹痛と下痢を繰り返すパターンもあれば、食後45分位で顔・首・手に普通の蕁麻疹が出るパターンなど、多彩です。

魚介を食べたり接触した後、いつも具合が悪くなる、アニサキスアレルギーの可能性がある場合、「時間が経ってるから関係ないだろう」と思わず、医師にその情報を伝えて下さい。

b. 抗体価上昇まで時間がかかる場合も

症状が出ていても、抗体価が上がるまで数か月かかることもあります。私の場合も、発症後8か月目でやっと、クラス2陽性まで上がりました。

抗体価が低いので、アニサキスアレルギーではないと否定せず、慎重に精査・診断をする必要があります。

私の場合、最初の検査で非特異的IgEが27と低い中での、アニサキス偽陽性でした。本来は、再検査や精査が必要だったと思います。

c. 抗体価の意義

私のように比較的低い抗体価でも、サバの水煮20gで呼吸困難を起こすことがあります。抗体価と症状の激しさは、必ずしも一致しません。 

アニサキスアレルギーの診断を受けた場合、「抗体価が低いから、軽い症状しか出ないはず」と思わずに、除去すべき範囲や注意点を医師と相談して下さい。  

加熱してあれば大丈夫とか、味噌汁の出汁は大丈夫と言われて、アレルギー発作を繰り返す患者さんも多くいらっしゃいます。

医師にお願いです。除去範囲を判断できない場合、曖昧な情報を安易に患者さんに伝えるのは避け、専門医への紹介も選択肢として検討して下さい。

患者さんにとっては、アレルギー発作が何度も起こるのは大変つらく、毎日の食物除去も益々混乱し、医療不信も引き起こしてしまいます。曖昧な除去の指示は、患者さんに不必要なストレスを生む可能性があります。

本来は、現在分かっている範囲でまとめられたアニサキスアレルギー診療ガイドラインや、doctor-to-doctorの相談窓口があれば、非専門医も困らないのではと思います。

d. アレルギー専門医の受診

最初の大学病院で複数の医師が関わっていながら、8か月もアレルギーの診断ができなかった原因の1つに、全員がアレルギー専門医でなく、アレルギーの知識が不十分だったこと、アニサキスアレルギーの特異性が非専門医に十分に認知されていないことが挙げられます。 

アニサキスアレルギーの可能性がある場合、アレルギー専門医の受診をお勧めします。ただ、アレルギー専門医の中でも、アニサキスアレルギーの治療経験のある先生は非常に限られているので、事前に問い合わせて受診した方がいいかもしれません。

また、私のように、食物アレルギー、喘息(呼吸器)、慢性蕁麻疹(皮膚科)等、アレルギーと関連が疑われる症状が多く併発している場合、アレルギーセンターがある病院を受診すると、診療科間の連携で、アレルギーを総合的に診てもらえると思います。

e. 記録を取ることは重要

体調が急に悪くなり、その状態がしばらく続いている場合、記録を取ることは重要だと思いました。

いつ、どのような症状が出たか、食物アレルギーが疑われる場合、何をどの位いつ食べたか、何をしたか (運動、入浴、飲酒等 )、血圧・脈・パルスオキシメーターの値等も重要なデータです。 

自発的に食物日誌をつけたことがきっかけで、アニサキス・食物アレルギーに繋がったと思います。 

f. ゾレアの2回目接種後

喘息、慢性蕁麻疹の治療にゾレアが使われることが増えていますが、1回目の接種後30分は院内で経過観察、2回目接種後は、特に経過観察なしの医療機関が多いようです。

私のように初回は無反応でも、感作が成立してしまうのか、2回目接種時に強い反応が出てしまうケースもあります。 ゾレア2回目の方が周りにいらっしゃる場合には、強い反応が出ないか、様子を見守ってあげて下さい。

8か月かけて、何とか診断までたどり着きました。 ですが、この後もチャレンジは続きます。

続編はこちらです。

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