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洋画感想文: CIVIL WAR (分断社会の末路を見た)

 たまの金曜休みと公開初日が重なったラッキーを満喫すべく、朝イチで観てきました。米国社会の分断が行き着く先を描いた本作。連邦政府と西側勢力との内戦で西軍が勝つのは幕末と似ていますが、江戸の無血開城ようには収まらなかったホワイトハウス。遠慮なくロケット弾が打ち込まれたり、戦車で守備網が無力化されたり、、、CIVIL WARは、勝海舟や西郷隆盛が最後まで登場しないディストピアでした。


スタッフ、キャスト

  • 監督:アレックス・ガーランド

  • キャスト

    • リー・スミス(キルステン・ダンスト):主演。カリスマカメラマン

    • ジョエル(ワグネル・モウラ):リーの相棒

    • ジェシー・カレン(ケイリー・スピニー):準主演。リーに憧れる駆け出しカメラマン

    • サミー(スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン):リーの先輩

こんな人におすすめしたい

  • 大音響のアクション映画が好きな人

  • 戦争映画が好きな人

  • アメリカ社会の分断に興味がある人

  • マイケル・ムーア監督の映画が好きな人

映画で印象に残ったポイント

 大統領が「3期目」なことが、何度も強調されています。現実には、米国大統領は2期まで。加えて、14ヶ月もマスコミ取材を拒否していて異常です。独裁者っぷりを演出したわけですが、何か社会風刺も混じっているような印象を受けました。
 映画では、カリスマカメラマンのリーが、ジョエルと共に大統領の単独インタビューを実現し、スクープ記事を書くべく1000km以上の道のりを陸路で向かう道中を描きます。途中から合流する、駆け出しカメラマンのジェシーと引退間近のジャーナリストであるサミー。リーを挟んで象徴的な年代構成となっています。(観てから振り返ると、このキャスティングも伏線??)
 ジェシーはリーと取材先で偶然の出会いを果たします。水の配給を巡って、殺気立つ民衆と警察が揉み合う現場です。攻防をフィルムに収めようと躍起になるあまり、巻き込まれて負傷するジェシーをリーが救う場面。ジェシーは報道関係者を示すビブスも羽織らず無鉄砲でまだまだ未熟な一方、カリスマカメラマンの地位を確立しているリーは余裕たっぷりで次々といい写真を収めていく様子が対照的に描かれています。その差が、ワシントンD.C.を目指す旅を通じて、どんどん埋まっていき、衝撃のラストまで一気に駆け抜けます。ジェシーの成長ストーリーとしても楽しめる映画です。
 旅先でカメラマンは前線兵士のすぐ後ろについて生々しい現場の写真を撮っているわけですが、現実もこうなのか?日本人の感覚ではちょっと信じられない風景だなと印象に残りました。

おわりに

 映画を見終わった後、とっても美味しいカフェランチを楽しんだのですが、平和の味を噛み締めていただきました。お店の人のおすすめを聞きながら、食後のケーキを選ぶ時間を与えられている幸せ。映画の中とは別世界でした。いつ銃の恐怖に晒されるかわからない毎日では、とてもそんな心の余裕を持てないですからね。

公式サイトのリンクも貼っておきます。良かったらご覧ください。


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