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心の底にあるもの
こんにちは😃私は児童養護施設、そして少年院出身のサポート団体・NPO法人スマイルリングで活動しています。彼らとの対話から生まれる物語を、毎日投稿しています☺️
思春期の私は、人に本音を話すことが苦手だった。
特に大人に対しては。
きっと面倒くさい性格なのだろう。心の中にあることは複雑過ぎて、上手く伝えられる気もしなかったし、本当に分かってくれるまで、ゆっくり私の話に耳を傾けてくれる人にも出会ったことがなかったから。
中学生時代の私は、家でも学校でも問題児で、しょっちゅう補導されては『またお前か』と言われる始末。
決まって大人から聞かれるのは『どうしてこんなことしたんだ』だった。
言い訳したり、嘘を言ったり…。本当のことを思い切って言ってみたり。でも実際は、ほとんど理由なんて自分でもよく分からなかったのだが…。
いずれにせよ、どの方法をとっても、大人には決まって『だからって、こんなことしていい訳ないだろう!!』と叱責された。怒られたり、呆れられたり、泣かれたりした。
“じゃあ、言わなければ、よかった”
(不良とはよく言ったもんだ。私は人間の不良品なんだな)という思いだけが、その度に募っていって、そのうち大人には返事をしなくなった。
自分が、ますます大人から見て信用されない、可愛い子供では無くなっていくのが分かった。
ところがそんな私でも、支えてくれる人や、二十歳を過ぎた頃には良い友達など、本当にいろんな出会いがあったおかげで、自分の人生を投げ出さずに済んだのだ。
ゆっくりゆっくりしか進めなかったけれど、そんな私を待ってくれる人、歩幅を合わせてくれる人、信じてくれる人などが、この世の中には居るんだということが分かった。凄く嬉しかった。
そんな体験から、どんな子にも『無限の可能性がある』ことだけは、絶対に信じられる。
私は心理カウンセラーでもあるのだが、特別な手法があるわけでは無い。とにかく彼らの話に耳を傾けるだけ。彼らが話せない間も、何日でも何ヶ月でもゆっくりそばに居て待つ。
どんな人でも、本当は、自分の思いを話したいのでは無かろうか。ちゃんと聴いて分かってくれる人さえ居れば。
どんな話であったとしても、ジャッジされるのでは無く聴いてくれる。それが分かって、心から安心さえ出来たなら、本当は聴いてもらいたいものでは無かろうか。
スマイルリングで出会う青年達も、初めから心が全開で通い合う訳では勿論無い。
でも、彼らに“心がある”ことは知っているし、その心の中にあるものを聴かせて貰えるかどうかは、私たち次第だと思う。
彼らには“安全な後ろ”が無い。今までももう目一杯に傷付く体験をしてきた彼らの後ろは、もう崖っぷちなのだ。だからこそ、心に鎧を纏わなければならなかったのだ。
私がいつもイメージするのが『北風と太陽』のお話。
彼らの心が少しずつ暖まり、自然と、ゆっくりゆっくりと鎧が脱げて、心の底にある、彼らの希望や勇気、『幸せになりたい』という、人として当たり前の気持ちが現れてくるのを、毎日楽しく待っている。
彼らとの対話は、とてもかけがえの無い、希望への道なのだ。
今日もありがとうございます😆🙌
NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき😁✨