山を歩いて感じたこと。そして平野、海。
先日(8月末から9月頭にかけて)縦走登山をしました。
予定では飯豊山と朝日連峰の2つの稜線を歩くことになっていました。
飯豊山は新潟と山形と福島県の県境にある山塊。
朝日連峰はそこからさらに北上し、新潟と山形の県境にあります。
ひさしぶりの縦走登山だったので、尾根伝いに道が続き、そして振り返ると歩いてきた道が見える、そんな景色を楽しみにしていました。
しかし今回はあいにく強風と雨という悪天候で、99%ガスの中を歩くことになりました。
またこのご時世による運動不足がたたり、思った以上に筋力が落ちていたようです。2つめの朝日連峰はスタートしてしばらくで脚の踏ん張りが効かなくなり、無念のリタイアとなったのでした。
そんな山行でしたが、備忘録として書き記しておきます。
装備について、雨中で感じた気持ちなど、アトランダムに綴りました。
よかったらご一読ください。
※避難小屋は夏でも寒い。
今回のルートはいわゆる山小屋はなく、避難小屋のみ。
避難小屋は基本的に「暖」がとれないので夏でも冷える。
今回は軽量化を図って短パン、半袖Tシャツだけだったが、避難小屋で過ごすには長袖、長パンツのルームウェアがベター。
※稜線歩きにはレインウェアは必携
今回の山は古くは修験の山ということもあって、一昨年に紀伊山地の大峯奥駈道を歩いた時同様、極力現代的なものは排そうと思いました。
だから足元は地下足袋シューズだったり、(荷物の軽量化も兼ねて)雨除けにはビニル製の簡易ポンチョだけを持っていきました。
基本的には日帰り登山であってもレインウェアは必ず持っていくのですが、これまで2回だけ(大峯奥駈道と今回)置いていきました。
しかし、今回は簡易ポンチョでは無理がある場合を学習しました。
今回のように縦走で、風雨にモロにさらされる稜線を長時間歩く場合。
そして強い雨と強い風、両方に見舞われた場合です。
ポンチョは上半身しか覆わないので、脚が濡れます。
すると強い風が吹き続けると歩行中であっても下半身から体温が奪われ、脚部全体がかじかんでくる感覚がありました。
下手をすれば低体温症になる可能性を感じました。
さらに、ポンチョは風をはらむので左右が切り立ったところを歩くには危険です。
過剰な準備は邪魔になりますが、TPOにあった装備は重要です。
※地下足袋シューズでも靴下はあったほうがいい
今回は、靴下無しで歩きました。
今振り返ると少し修行的要素を入れたかったのかもしれません。
きれいに歩く力(足さばき)と修行的要素の度合い、歩行距離や険しさとの兼ね合いですが、リタイアしてしまった事実を見ると、今回は有ったほうがよかったな、と思いました。
※膝痛は歩き方を変えることで歩行中でも改善できる
子供の頃のケガが原因で変な足クセがついていて、長時間歩くと膝が痛くなることがあるのですが、今回はその予兆を感じたときに歩き方を修正し、膝痛は起こさずに済みました。
※付け焼き刃では限界がある
これまでも縦走登山は何度か経験していますが、特に事前トレーニングしたりせず、「キツイな」となっても気合と根性でなんとかするというところがありました。
しかし加齢と運動不足との掛け算で、日頃のトレーニングが必要な段階に来てることを思い知りました。
何事もパフォーマンスを発揮するには日頃からの意識が大切なことを痛感しました。
※インサイド・アウト、内から外へ、潜象から顕象へ
インナーマッスルとアウターマッスルの関係は、根本的対応か付け焼き刃的対応か、と似た関係にある気がしました。
話は突然飛びますが、これまでの生き方を振り返ると、前半生は、課題や問題に対処するので手一杯で、それを通して実力がついてたらラッキー、という感じでした。
その場当たり的な感じが嫌で、根本から力をつけたいという思いで試行錯誤しつつ、いま後半生を生きています。
これを象徴するように、以前は身体的にもインナーマッスルが弱くアウターマッスルが強い、という状態が顕著でした。
最近ようやく(部位によって違いますが)トントン。
これからはさらに内側主導(骨盤、肩甲骨、背骨主導)で動作し、インナーマッスル、体幹主体で動ける身体を作っていきたいところです。
これが精神にもいい影響を与え、内面を整えることが外面に反映していくインサイド・アウト、根本的変容を押し進めてくれる気がします。
※鍛えるべきは、
股関節内転筋群、ハムストリングス、梨状筋、臀筋群、大腰筋、腸骨筋
※衣食住、生きるのに必要なものはそれほどない
山を歩いていると、自分を幸せにするための「モノ」は大して必要ない、と感じます。
30リットルのリュックに詰め込める衣食や寝具と、雨と風が防げる場所があれば、自然の中では幸せでいられます。
山から戻ってきて、モノや情報の断捨離を再開しました。
今回の山行はある種のデトックス効果がありました。
※どれだけガスって見えずとも、そこに山の峰も光もある
今回、稜線を歩いている間の99%、霧(ガス)に囲まれて歩きました。
そんななか、ふと2,3分、霧が晴れることがありました。
ただ白い霧に覆われてひとりトボトボ歩いてると思ったら、急に360度光眩しい山の峰が現れます。
活き活きした山々に囲まれて歩いていたのだとわかって感動しました。
日常でも、自我に囚われどれだけ目が曇ろうと、真我の存在を忘れないようにしたいと思いました。
※日頃の食生活から、植物性タンパク質をメインに
今回、同行者のひとりが大豆ミートを持ってきていました。
少し分けてもらうととても美味しかったのでした。
ずいぶん進化してるようで、数年前とは状況が変わっています。
畜産における飼料や飼育ストレスの問題、魚介類の残留環境汚染物質などを考えると、植物性タンパク質をメインにするのがいいかも。
もともと日本人は肉や魚を大して食べていなかったのだし。。
今回、携行食も大豆や豆を多くしたが、消化の負担が穏やかだった気がする。
※筋肉疲労の限界を超えたときのためには、アミノバイタルなどのサプリも
今回の山行で疲労のマネジメントの必要性は切に感じた。
回復可能な範囲内での移動が大前提。(気合と根性はNG)
とはいえ、現状は限界を超えたときのためにアミノ酸サプリも用意しておこう。
※美味しい食、美しい花は元気をくれる
疲れたときの美味しい食事。
岩肌しか見えないときの、赤や黄色・紫の実や花は元気をくれる。
美は人間にとって力になる。
日常でももっと「美しさ」を評価し、取り入れよう。
※アルファ米よりレトルトパック玄米
携行食。
軽量化を考えるとアルファ米ですが、ここは美味しさを取った方がいいかも。
※ガスに囲まれて歩き続けると方向感覚を失う
今回のように霧(ガス)に囲まれ続けると、行く手も来た道も見えず方向感覚を失いがち。
登山地図アプリは用意してもいいかも。
または、方位磁石を使った地図の読み方をしっかりマスターしておくこと。
※「歩けなくなる」を想定しておくこと
今回は飯豊連峰の下り、丸森尾根を下りる後半に、脚の踏ん張りが効かなくなりました。
特に痛みがあるわけでもなく、踏ん張るとフニャフニャと腰砕けのようになる。
血糖値が下がってるわけでもないので、糖分や炭水化物を補給しても改善しません。
今回はインナー系の筋肉を使って歩くことを意図していましたが、やはりまだまだ弱かったのでしょう、上記した筋肉群の疲労が限界を超えたようでした。
これまでの登山ではトラブルと言っても、膝痛や足裏の皮がむける、足の指や爪を痛める、などくらいだったので、初めての体験でした。
しかし、今回のように筋肉疲労が限界を超えてちっとも踏ん張れなくなったり、またはケガをして歩けなくなる、は起こりうることです。
いつも持参していますが、ツェルトや予備食料の必要性を再認識したのでした。
また、登山で歩けなくなる人、または年を重ねて足腰が弱って歩くのに苦労すること、へと思いが巡りました。
そうなったときの気持ちが想像できたのは収穫でした。
※身軽に、必要最小限で生きる方が結局多くを体験できる
なんか歩いてるときにふと浮かんできたのでした。
※その日の疲労はその日のうちにとるように
普段から毎日を完結して過ごしたい。後に尾を引かないように。
今回は最近購入したマッサージガンを持っていきました。
下山後のいい温泉とそれを使ったマッサージのお陰で、ひどい筋肉疲労があったにもかかわらず、翌日以降の筋肉痛はこれまでになく緩いものでした。
悪影響を引きづらないのはとても快適でした。
※「途中で引き返せる自分」がいた
以前だったら、引き返すことを決めるときも決めた後もグズグズ考えていたと思う。
すんなり決められて、決めたらそれで尾を引かなかったのは自分でも意外だった。
クリアリングが進んだのでしょう。
※水田テラス@鶴岡からの眺め。雲がかかっているのが月山。
リタイヤ後は出羽三山のひとつ湯殿山へお参りした後、庄内平野は旧庄内藩の城下町、鶴岡へ。
翌日は同行者と合流し、海辺の湯野浜温泉で過ごしました。
※日本海に落ちる夕陽
※海に突き出すようにそびえる鳥海山
今回は、期せずして山・平野・海を一気に堪能した数日間でした。
日本は懐が深いですね。
多くを受け取りました。
無駄を省き、暮らしをよりシンプルにし、
自身を磨き、いっそう価値提供できるよう励み、
さらに充実した後半生へとつなげていこうと思いました。
ここまでおつきあいありがとうございました。
山を歩くと己の弱さも強さも浮き彫りになって、日頃の垢が払われるようです。
よかったら、あなたもどうぞ。
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