三島有紀子監督
土日で3本の映画を観た。
全て、三島有紀子監督作品。
三島有紀子監督の映画に出演した夏帆、妻夫木聡、南沙良ほか俳優陣が口を揃えて言っている。
出て良かったと。そして、三島作品に出て、自分の演技が変わったと。
1本目は夏帆主演の「Red」。
夏帆演じる人妻がどう変わっていくかを描いたストーリー。
脚本も素晴らしいし、それを撮る演出も衒いなく魅力に溢れている。
夏帆と妻夫木聡の濡れ場も、女性監督が撮った方が強いエロを感じる。
「人間の情念」を描いているという点では今村昌平の初期の映画にどこか似ているのかも知れない。
2本目は「幼な子われらに生まれ」。
主演は浅野忠信。
こちらは「1人のサラリーマンのどこかユーモラスで哀しい物語」、きっと喜劇。
彼は「女性たち」に翻弄される。
多分、主役は演技の巧い浅野忠信で無いと成立しないと思う。
浅野忠信演じる義父に徹底的に反抗する娘を南沙良が演じている。
とても難しい役だが、南が証言している通り、三島有紀子監督の演出マジックで素晴らしい演技をしている。
脇を固める田中麗奈と寺島しのぶ、2人の女優の存在感をこの映画に厚みをもたらす。
「雨」の使い方、「音(特に無音)」の使い方が抜群に巧い。
「音楽」も心地良い。
3本目は大泉洋主演の「ぶどうのなみだ」。
「ワイン作り」に人生を賭ける男と染谷将太演じるその弟、そして突然現れる「謎の女」。
「謎の女」を演じるのはシンガーソングライターの安藤裕子だ。女優じゃ無いけど、とってもこの役に合っている。
「音楽」の使い方が秀逸。
そして、「情景」の撮り方、編集での入れ方が秀逸過ぎて、ため息が出ちゃう‼️
北海道・空知地方の大自然を舞台に「人間喜劇」が繰り広げられるのだ。
三島有紀子監督。
1968年生まれだから、僕より8歳年下の56歳。
NHKに入局して、「NHKスペシャル」などのドキュメンタリーのディレクターをやっていた。
突然NHKを退職して、東映京都撮影所の助監督になり、映画監督の道を目指す。
長年、映画の助監督をやっていて、「映画演出の基礎」が出来ているから、彼女の映画は安心して観ていられる。
「芝居」「映像」「音」の「演出」に三島有紀子監督の自信が溢れ出す。
まるで、泉の様に湧き出す。
「ゴジラ-1.0」を撮った山﨑貴監督の様に、CGから映画界に入って、「芝居を演出出来ない監督」とは違い、三島有紀子監督の様な「芝居を役者に付けられる映画監督」がもっと出て来て欲しい。
つまり、「映画の撮影所システム」を継承した監督という意味だ。
僕の切実な願い。