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なぜ大人になるとK-popグループの顔の識別が難しくなるのか?

ある日、子どもたちがK-popグループの話題で盛り上がり、「このグループ、メンバー全員が個性的で本当に魅力的だよね!」と楽しそうに話していた。「どれどれ」と画面を覗き込んだ私の感想は、「え、みんな似てるように見えるんだけど…」。子どもたちは笑いながら、「えー、全然違うよ!」と言う。いったい、なぜ私の目には「個性的」な彼らが「同じ顔」に見えるのだろうか?

この現象の背後には、脳の認知の仕組みや経験が影響しているという。大人であってもK-popに熱中する人がいる一方で、なぜ顔の識別が難しいと感じる人がいるのか。その理由を紐解いてみたい。

他人種効果:脳の「慣れ」との闘い

私たちの脳には「他人種効果」というクセがあると言われている。普段見慣れた人種の顔には敏感に反応する一方で、異なる人種の顔は「似ている」と感じやすいのだ。

K-popグループのメンバーは美しく整った顔立ちと洗練されたスタイルが特徴的だが、普段の生活で似た特徴を持つ人々に接する機会が少ないと、脳はその微妙な違いを区別することが難しくなる。これに対し、K-popファンは推し(お気に入りのメンバー)に深く注目することで、顔の特徴を積極的に覚え、「似ている」ではなく「全然違う」と感じられるようになるのだ。

経験と興味がもたらす識別力

人間の脳は、興味を持った対象には特に敏感になる。大人であってもK-popに熱中する人たちは、メンバーの表情や仕草、性格に注目し、繰り返し見ることで顔の識別が上達していく。

一方、K-popにそれほど興味を持たない場合、視覚的な学習が進みにくいのも事実だ。子どもたちがメンバーの顔を簡単に見分けるのは、新しい情報を柔軟に吸収できる脳の特性と、K-popへの強い興味によるものだ。しかし、これは子どもに限った話ではなく、多くの大人もK-popへの興味を通じて同じような学習を重ねているのだ。

共感性の力:大人にも子どもにも通じるもの

K-popが人気を集める理由の一つに、アイドルたちの物語性がある。多くのファンが彼らの努力や成功のストーリーに共感し、感情移入する。

この共感性は、子どもだけでなく、大人にとっても重要な要素だ。むしろ、人生経験を積んだ大人ほど、「努力の結果」や「多様性の尊重」といったテーマに強く共鳴することがある。推しの表情や仕草を識別する力も、こうした感情的なつながりが深まることで自然と養われていくのだ。

忙しい日常と新しい趣味

とはいえ、K-popへの距離感は人それぞれ。大人は仕事や家庭で忙しく、新しい趣味に割ける時間が限られていることもある。そのため、「メンバーの顔が同じに見える」と感じるのは、新しい情報に深く関わる機会が少ないだけとも言える。

それでも、多くの大人がK-popにハマり、メンバーの顔や性格を完全に識別できるようになるのは、興味さえ持てば識別力が向上することの証明でもあるだろう。

大人も子どもも楽しめるK-popの魅力

K-popグループの顔を見分ける難しさは、単に大人だからというわけではなく、脳の働きや興味の違いによるものだ。大人であっても、好きなグループのメンバーを識別できるようになる人は多く、新しい趣味に取り組む柔軟さと意欲がその秘訣と言えるだろう。

「全員同じに見える」という最初の印象を乗り越え、彼らの物語や魅力に触れることで、K-popは大人にとっても奥深い楽しみを提供してくれるに違いない。そのプロセス自体が、新しいことに挑戦する面白さを再認識させてくれるのではないだろうか。

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