今日のアスメシ🏃
第一回『食べることは、トレーニング』
マラソン大会に参加されている人も多いと思います。走り始めて、フルマラソンの大会に参加するのはとてもワクワクするものです。
私も、初めてフルマラソンに挑戦したのは、走り始めてようやく1年になる頃でした。
思い切って大会にエントリーし、ドキドキ、ワクワクしながら参加した初めてのフルマラソンは惨敗でした。
30kmの壁。
という言葉は聞いたことがあると思いますが、まさにその通り。
32kmでリタイヤし収容バスに乗り込むことになりました。
2004年頃に走り始めて、初めて参加した大会は11月に開催された横浜マラソンの10Kでした。
その後2回のハーフマラソンに出て、翌年4月のかすみがうらマラソンが初フルマラソン。
体調は絶好調でしたし、スタート直後も調子よく走れたので間違いなくゴールはできると思っていたのですが、30km過ぎから暑さで走る気力もなくして32kmでリタイア宣言。その後収容バスに揺られて会場まで戻るときはすでに回復しリタイアをとても後悔していました。
その後60回以上、フルマラソンを走っていますが毎回後半失速する展開が続いています。
フルマラソンのベスト記録は2013年2月の泉州国際市民マラソンの3時間24分18秒ですが、その時も後半は苦しいレース展開でした。
しかし、2022年8月28日の北海道マラソンでは記録は3時間55分34秒とギリギリサブ4というレベルですが、夏の大会、裸足にサンダルという足元、そして加齢という条件ながらもほぼイーブンペースで最後までペースを落とさず完走できました。
それは、新型コロナウイルスが感染拡大し行動制限される中、走ることだけでなく、食べることについても学習し実践した結果にあると確信しています。
最後まで気持ちよく走るには、3つのポイントがあります。
「1.脚(あし)をつくる」こと
「2.体(からだ)をつくる」こと
そして、
「3.走りきれるスタミナをつくる」こと
これら、3つがしっかり準備できればイーブンペースで気持ちよくゴールできるはずです。
1.脚をつくる
一般に、「1.脚をつくる」は多くのランナーが練習で鍛えています。
LSDや、ペース走、ロング走やスピード練習なども頻繁に行って脚づくりに励んでいるのが多くのランナーだと思います。
私より速く、経験も豊富なランナーはたくさんいらっしゃいますから、何も述べる必要はないのですが、「3.走りきれるスタミナをつくる」ことにもつながる練習のポイントは、30km以上のロング走の翌日にあります。
初めて30km走ったときや、フルマラソンを走った翌日は脚やからだがきしむように痛みが残っているものです。
痛みが残るというのは、それだけの運動量に耐えられる筋肉などが十分でなかったという証拠とも言えます。
膝や骨など極端に痛みがひどいときは安静が絶対ですが、たんなる筋肉痛であれば軽く走ることによりこわばった筋肉がほぐされます。
筋肉を鍛えるというのは、限界に近い刺激を与えることで超回復を促しさらに筋肉を強くするということです。
長く動き続けるためにも、少しでもよいのでからだを動かして血行をよくすることが大切だと思います。
私の場合、40km〜50km走の翌日は20km程度。そしてさらに3日めに30km程度を走ることで脚が鍛えられました。
3連休などの場合はまさにチャンス。
ぜひ、チャレンジしてみてください。驚くほど距離に対して不安がなくなります。
「2.体をつくる」や、「3.走りきれるスタミナをつくる」などにはあまり積極的に取り組まれていないように思います。
というのも、このふたつともに「食べること」がとても重要なんですが、たくさん走るランナーは走ったあとのビールの旨さをご褒美にされている方も多く、あまり「食」に関心がない方が多いように思います。
2.体をつくる
マラソンは長い距離を走り続けるので、できるだけ無駄(体重が重く)なく、筋力がつくのが重要なのはみなさんご存知です。
そのためには、普段からの食事の仕方がとても大切です。
そして時間がかかります。
目に見えるような変化もつかめないので効果があるかどうかがいまひとつわかりにくいものです。
しかしフルマラソン以上を走るのであれば、からだづくりは非常に重要なポイントです。
人間のからだは、食物を口からとり、栄養素をからだの中で分解しそれを利用して動いたり、からだの一部を作っています。
その栄養素は、基本的には毎日の食事です。
「5大栄養素」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、5代栄養素をバランスよく摂取することがからだづくりの基本となります。
糖質は人間が活動するためのエネルギーとなります。また脳も糖質で活動します。食べないと眠くなり頭が働かないのは糖質が不足しているからです。主に、ごはんやパスタ、パンなどが糖質の代表です。
脂質は、取りすぎないほうがいいとダイエットに夢中な方々からは嫌われるようですが、からだの弾力性や臓器のメンテナンス維持のためにも不可欠な栄養素で、実はエネルギーとしては糖質よりも効率のよいものです。主に主菜や副菜の肉、魚、また植物油などが脂質の代表です。
タンパク質は臓器や筋肉、骨格などまさにからだの構造物となるものです。これもご存知のように主菜や副菜などの肉類や豆類、乳製品などから摂取されます。
ビタミン・ミネラルなども実際にはからだを動かすことや、からだの臓器の組成などにも関わりわずかでも非常に有効な栄養素となります。
これらの栄養素を「バランスよく」摂取する=食べることがからだづくりのポイントになるのですが、昨今は、偏った情報によるダイエットやタブレット状のサプリメントで補給する機会も増え、大きく不足したり大きく摂取過剰となったりしています。
基本は、一日3食の食事がメインです。
なお、からだをつくるという視点での食事の仕方については、詳細は割愛します。(とても一回で話し終えるものではないので)
3.走りきれるスタミナをつくる
今回のメインはこれです。
「フルマラソン30km過ぎでもペースが落ちない」そういう走り切れるスタミナづくりのために必要なことは、1,2,ともに長い時間をかけて大切なポイントですが、直前で少しでもキャッチアップできる方法がこれです、
「レース本番までの食事のあり方を見直す」
栄養素のお話で詳細をスルーしてしまいましたが、大切なのは「走りきるためのエネルギーをしっかり確保すること」です。
たくさん食べりゃあいいというわけではなく、
「何を(どんなものを)」
「いつ(どんなタイミングで)」
ということが大きく結果に影響します。
からだを動かし続けるためのエネルギーは、「糖質」「脂質」「タンパク質」のいずれからも生成されますが、それぞれ特徴があります。
(なお、ビタミン・ミネラルもエネルギー生成を助ける役割をもちますがその原材料というわけではありません)
3つの栄養素の中でも、すぐにエネルギーになるのは糖質です。ただ、糖質から作られるエネルギーは糖質1gあたり4Kcalで、からだの中の筋肉と肝臓にしか蓄えられません。そしてその量も500g程度。ですから2000kcalが通常のからだに蓄えられるエネルギーとなります。
(なお、必要以上に糖質を摂取すると余計な糖質は脂質に変わり蓄積されます。なので糖質とりすぎは肥満のもととなります)
実は、一番効率の良いエネルギーは脂質です。
脂質は(体脂肪として)無限大に蓄積可能であり、脂質1gは9kcalのエネルギーに変わります。脂質をエネルギーに上手に利用できるようになれば、無駄な脂肪もつけずに耐久性のあるからだづくりにつながるわけです。
ただし、脂質をエネルギーに変換していくためには着火剤的に糖質が必要なので糖質を0にするような食事は決して健康的なダイエットには繋がりません。
そしてタンパク質もエネルギーに変わります。1gあたり4kcalと糖質と同じレベルですが、これは筋肉を分解してしまいますので結局は筋力を失うことになります。ですからタンパク質をエネルギーに変えるような食事の摂り方はスポーツをする人には絶対に向きません。
(栄養失調で筋肉が細くなるのと同じだからです)
またタンパク質も取りすぎると脂肪になりますので過剰摂取も良くないです。
以上から、マラソン大会に向けては、通常のバランスの良い食事は基本ですが、大会前日から当日には特に糖質を多く含む食事を摂るのがポイントとなります。
ちなみに、私が2022年の北海道マラソンのときに食べた内容は、
前日夜:コンビニの牛丼、サラダ、ビール1缶、ヨーグルト、フルーツ(およそ1,000kcal)
大会当日朝:(スタート3時間前)卵サンドイッチ、豆パン一個(中くらい)、ミニクロワッサン3個、野菜ジュース、ヨーグルト(およそ1,000kcal)
大会当日の朝の食事は通常の朝食の2倍の糖質を摂取しています。
また、大会3時間前というタイミングも重要です。
摂取した糖質がエネルギーとなって蓄えられている状態をつくることが大切です。
また、ジェル飲料を2個持って走りました。
ジェル飲料は1個およそおにぎり一個に相当します。(およそ140kcal)
これを10km地点、20km地点で消化しました。
これは後半の落ち込み対策です。
なお、当日のおおよその摂取エネルギー(カロリー)を計算すると、
スタート3時間前の朝食だけでおよそ1,000kcalになります。
スタート時には、前日までに2,000kcalを筋肉と肝臓に蓄え、当日朝食でさらに1,000kcalを準備しておけば3,000kcalをもってスタートできます。
フルマラソンおよそサブ4ペースで約66㎏の男性が走った場合、ちょうど3,000kcal必要になります。(Metsという運動による消費カロリーを推定試算した場合)
そして、糖質は500g程度、2000kcal程度しか蓄積されないと表記しましたが、そこがちょうど30kmほど走ったところで枯渇するタイミングなのです。
だから、エネルギーを満タンにしてもスタート前の食事をしっかりとっておかないと30km過ぎにエネルギーが枯渇するのは当然なのです。
また実際には寝ているだけでも人間のからだはエネルギーを消費します。
66㎏の男性でも1,600kcalは消費されます。つまり、前日の食事から摂取したエネルギーもどんどん時間とともに減っていくので常にエネルギーは補給していく必要があります。
そのために早めにジェルで補給し後半のエネルギーに変えます。
また、アイソトニックのスポーツドリンクは糖質を含むのでこれもエネルギーに変わります。(なお、スポーツドリンクには、脱水を緩和する目的の水分補給がメインのハイポトニック飲料と糖質などエネルギーを補給する目的がメインのアイソトニック飲料に区分けされます。OS1と呼ばれるような経口補水液は前者を指します)
これらを積極的に補給していくことで後半の落ち込みは防げます。
「レース本番までの食事のあり方を見直す」
これを具体的に表すと
「何を(どんなものを)」→糖質を多く含む炭水化物を(通常の2倍程度)
「いつ(どんなタイミングで)」→スタートの3時間前までに摂取する
となります。
合わせて、長い時間かかるレースのエネルギー補給として、ジェルやスポーツドリンクを積極的に(前半に)摂取しておくこと。
さて、まもなく、レースを控えているかた。
今間に合う対策としては、直前の食事の摂り方です。
ぜひ、参考にしていただき最後まで気持ちよく走りきれることを願っています。
次回は、長い時間がかかる「2.体をつくる」
について詳しく書いてみたいと思います。
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