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1年間のフリーランス期間を経て、PM兼デザイナーとしてmikanの正社員になりました

こんにちは、株式会社mikanで学校・塾向け事業のPM&デザイナーをしている三上蒼太(@sota_mikami)です。ベトナムのホーチミン市在住です。
2023年10月からの1年間の業務委託期間を経て、24年10月に晴れてフルタイムとして入社しました!
1年前の自分は想定していなかった意思決定ではありますが、数年後これが良い選択だったと思えるよう全力で励む考えです。

入社してはや2ヶ月が経ってしまいましたが、これまでの自分を振り返れる良い機会なので思いのままに書き連ねてみようと思います。

※この記事は mikan Advent Calendar 2024 の2日目の記事です。


フリーランスは突然に

前職のデザインチーム

前職はManabieという教育機関向けDXを行うEdTechスタートアップで、UX設計とDesignOps、プロダクトデザイン等を担当していました。
教務・校務含めて教育機関に必要なデジタルソリューションのすべてを開発し、それをモジュールとして扱うことであらゆる教育機関向けにカスタマイズできるシステムを作り、日本の教育DXを大きく進めようとしている会社でした。僕は今でも前職が大好きですが、特にこの大胆な戦略に強く惹かれていました。

チームで一丸となっていろんな試行錯誤をしつつ、スタートアップとして大きく成長し続けるフェーズを体験できたのはとても有意義でした。
しかし、やはりスタートアップゆえに戦略も注力領域も日々日々変わっていきます。
とある時から、僕の役割では会社に価値を出すことが難しくなってきてしまい、2023年9月をもって退職することになりました。

予定していなかった退職で悔しい気持ちもありましたが、将来いつかは独立をと思っていたので、その背中を押されたと思ってひとまずフリーランスになり収入を作りつつ、自分の事業を模索してみることとしました。

受託をしながらの事業検証

ありがたいことに、退職してすぐに生活するには十分なお仕事をいただけました。
フリーランスになりたてのはじめの3ヶ月でいただけたお仕事としては、準委任の業務委託を2社(うち1社がmikan)、請負の制作受託を2件、スポットのコンサルティング案件2件です。
フリーランスとしてスタートダッシュできた感覚があり、とてもありがたかったです。

しかし、もちろんそれだけ働いていると自分の事業はなかなか前に進みません。
仕事を受けすぎるのは危険だと感じたためその後はお仕事を整理させていただき、最終的にはmikan1社に絞りつつ、事業検証の時間をしっかり確保するようになりました。

自分が欲しいものを作ろうとした

フリーランスとしての仕事も受けながら、僕は自分の事業として、株式会社MIXIさんが運営されている「みてね」のような家族アルバムアプリを(私が住んでいる)ベトナム向けに展開しようとしました。
家族専用のオンラインアルバム+リアル商品を簡単に注文できるサービスは、当時ベトナム人のパートナーと結婚したばかりの自分にとって、将来必ず欲しいサービスだと思ったのです。
数年度子どもが生まれた時には必ず使いたいけれど、「みてね」を義実家で紹介してみてもベトナム語対応がないと(英語対応があったとしても)妻の親族は使えないとわかり、ベトナム向けにローカライズする価値があると考えました。

僕はかねてより「自分の大切な人たちが喜ぶ姿を想像しながら働きたい(=大切な人たちにとって、心から価値があると信じられるサービスを創り続けたい)」という考えを持っています。この姿が自分が最もありたい姿で、かっこいいと思っています。
自分の大切な「家族」に関するサービスは、この考えど真ん中ですし、必ず良いものになると意気込んでいました。

とあるversionのUI

しかし、半年と少しの期間検証してみて、このプロダクトは諦めることを決めました。

一番の学びは『自分が欲しいと思ったものが、周りの人の欲しいものとは限らない』ということです。想像していた課題は、どうやらベトナム市場においてはたいした課題じゃなかったようだと理解しました。
実は初期ヒアリングの時点からも強い手応えは感じられていなかったのですが、「使ってみたらその良さがわかるはず」と思い込んで構築を進めてしまっていました。
しかし、それだとどうしても「あったら便利かも」レベル止まりであり、「ないと困る」レベルになるようなコンセプトや適切なユーザー群を見つけることができませんでした。
「イシューから始めよ」というのはもはや当たり前のことですが、僕は空想上の課題を信じてしまっていたのです。
「自分がユーザーで、自分が欲しいものを作っている」ことに甘え、検証もやったふりになってしまっていました。

※「ベトナム向けの家族アルバムアプリ」についてはニーズを掴みきれませんでしたが、「アプリで写真の現像or製品化して家まで届けてくれること」はニーズがありそうでした。ただ、自分が目指していた売り上げ規模に届くまでは時間がかかりすぎると判断し、それに投資する覚悟を持てませんでした。

難しかったハーフコミット

見込み顧客の方へのヒアリング、収支計画&事業計画の策定、プロトタイプの作成と検証、UIデザイン、開発委託パートナーを見つけてベータ版開発と検証。

構想スタートからクローズ判断までの半年超は、このような流れで進めていました。

業務委託の仕事との二足のわらじで検証を進め、アクセルが踏めると判断できたら自分の事業にフルコミット.. を理想として描いていましたが、先に述べたようにこの方針では思うような成長は難しいという判断に至ることになります。
本来であればもっと早くこの結論に辿り着けたはずだなと思いつつ、ハーフコミットゆえやはり検証もスローペースになってしまったという反省があります。

いろんな方に壁打ちする中で、「せっかくDINKs(子供のいない共働き夫婦)なんだし期限決めてでも事業の方にフルコミットしてみたら良いのに」とアドバイスをいただいたことがあります。

このアドバイスはとても考えさせられました。しかし僕は我が家の貯金がどんどん減ることをどうしても恐れてしまい、お金のための仕事を手放せませんでした。
しかし、やはり時間も大切です。ハーフコミットで進めるのであればそれにあった戦略や時間軸, 自分との期待値調整が必要なのかもしれないなと、今は考えます。

やりたいことは「価値あるプロダクト」を創り続けること

「ベトナム向け家族アルバムアプリ」からのpivotを決め、今後どうするかを考えました。
派生する形でのpivotパターンや、全く別の事業も考えましたが、心からやりたいものかつ収益性のあるものは見つけられませんでした。

自分と向き合う中で、やりたいこと&ありたい姿はやはり「大切な人たちにとって価値があると心から思えるサービスを創り続けたい」ことでした。
そしてそれは僕にとって「自分がオーナーとして事業をする」ことよりも重要なことでした。(どっちも重なれば最高だけれど)

この自分の考えを理解した後は、良い事業作りができるのであれば「どこかの企業への転職」もフラットに選択肢の一つと考えられるようになりました。

(こちらの記事で言及されている「誰か1人の顔を思い浮かべて、手紙を書くようにビジネスを作る」という考え方が大好きです)

mikanは、前職のリベンジができる環境だった

「ベトナム向け家族アルバムアプリ」の検証を続けるべきかどうか悩んでいた頃、当時業務委託中だったmikanでも変化がありました。
元々僕は英語アプリmikanを運営する事業部にいたのですが、mikan for Schoolという学校•塾向け新規事業部への異動を打診くださったのです。

前職での知見もおおいに活かせそうな事業部であり、ぜひさせてくださいと異動したのですが、そこから徐々にmikanでの仕事が(それまで以上に)楽しくなりました。

やはり僕はいまだに前職も大好きで、Manabie社の成功を強く願っています。かたやその一方で、Manabie社とは違った戦略で同じコトを成したい気持ちも持っています。
前職で僕は役不足となってしまいチームを離れたわけですが、未来の教育に必要なものを作りたい気持ちは手放せていませんでした。

教育は未来の日本をより良くするために重要なことの一つです。
将来子宝に恵まれたら、その子は学校や塾で教育を受けることになるでしょう。そのとき我が子が通う学校や地域はやはり先生にとっても生徒児童にとっても良い環境であってほしいですし、(あくまで僕らは黒子ですが)その場作りの一端を担っていきたいです。

今、小さなチームで教育サービス立ち上げができることの面白さ

まだまだチームの小さいmikan for Schoolでは、事業戦略でも細部のデザインでも、何から何まで意思決定に関与できる環境にあります。
信頼できるチームのみんなと、「自分がこの手で作っている」感覚を強く持ちながら、真剣に未来の教育に必要なものを考えながら事業作りができます。
チームが小規模ゆえに機敏性も高く、プロジェクトを重ねるごとにチーム力の高まりを感じます。

また、教育分野は生成AIとも相性の良い分野の一つです。
mikan社でも積極的にPoCに取り組んでおり、社内オペレーションやプロダクトへの適用で、いくつかの事例があります。
ご利用いただいている方々のフィードバックもいただきながら、プロダクトの価値を高めていけるポテンシャルを秘めています。

すでにいくつかの導入事例をご紹介させていただいています。もっとサービスの価値を磨きながら、多くの人に大きな価値を届けていきたいです。

正社員検討のきっかけは「Podcast担当してくれない?」

とある日、mikanデザインチームの定例MTGで、「採用文脈でPodcastやりたいから諸々担当してくれない?」という打診をいただきました。
断る理由もないですし&面白そうですし「ぜひです」と快諾。Podcastの設計を進めました。

進める中で、僕は強い違和感を持つようになります。
Podcastの狙いは「採用」です。「"mikan社で働きたい"と興味関心を持つ人を増やし育てるための施策を、どうして業務委託の立場の自分が考えているんだろう」と。
これは、一度自分をmikanの中の人と捉えないと自分ごととして設計することは僕には困難でした。

どうしてもこの気持ち悪さが払拭できず、解決するにはPodcastの担当を降りるか入社するかだと考え、冷静に入社の選択肢を考えるようになりました。

この頃僕は、「pivotして次の事業を探す」と「どこか共感できる会社に転職する」の選択肢を両方持ったまま、特にアクションは起こさず現状維持している状態でした。
mikan社への転職の可能性についてもまだ真剣には考えていませんでしたが、Podcast担当になったことがきっかけで「mikanの中の人」になった自分を想像することになりました。
一度想像すると、これまで以上にmikanという組織や事業のことを意識的に見るようになります。会社のことを自分ごとと捉えられた瞬間、冷静に入社の選択肢も良いものだと考えられるようになりました。

無事開始できたPodcastはこちら👆

安心して事業と組織に向き合えるmikanの環境

先述の通りハーフコミットで自分の事業検証をうまく進められていなかったことに加え、異動したmikan for School自体への思い入れも深まる中で、Podcastの件がきっかけとなり、
(そして正社員となることでの家族や生活の安心安定だったり、有給休暇や育休などの福利厚生の魅力だったり、正社員になったとしても引き続き週末起業はできることなど諸々考慮して、)もっとmikanにコミットしたいという気持ちを自覚し、Boardメンバーと何度も相談させていただきました。

僕はベトナム在住であり、引き続きベトナムから働きたいため、通常の入社とは違う手続きが必要になります。
労働法もベトナムに則ることになります。しかし、できれば日本メンバーと特に差異を感じることなく同じように働きたいと伝えさせていただき、その方針で諸々Backoffice体制の整備を進めてくださいました。

mikan社にとって、正社員扱いの非日本在住メンバーは僕が初めてになります。体制構築にもいろいろな時間とお金のコストを割いてくださり、お互いにとってフェアで僕も気持ちよく安心して働けるように整理してくださり、とてもとても感謝しています。

この事例の他にも、みんなが生産性高く安心して働けるようにしようと経営メンバーが本心から思って設計されていることをさまざまなところで感じます。
そしてそれが波及して、チームメンバー同士のコミュニケーションにおいてもその価値観が浸透しているのです。これがmikanの強さです。

そもそもmikanの採用はとても厳しいです。良い組織を作りたいからこそ、しっかりカルチャーに合う人かどうかを見極めます。この採用へのこだわりがあるため、mikan社には信頼ができて背中を預けられる人たちしかいません。

この組織のメンバーに迎えていただけて嬉しいです。

まだ社員じゃない僕が社員総会に混ざった時の図

デザイン担当から、兼プロダクトマネジメントへ

僕は現在、プロダクトマネージャー兼プロダクトデザイナーとして、mikan for Schoolのプロダクトを健全に成長させ続けることにミッションを持っています。

新卒からずっとデザイナーという肩書きで仕事をしてきましたが、mikan for School事業部への異動のタイミングで兼PM職となることも打診いただき、(当時は業務委託の立場ながら)チャレンジさせていただけました。

もとより僕はスペシャリストなデザイナーというよりは、ジェネラリストタイプだと思っています。グラフィックのデザインには明確に苦手意識すらあります。
得意は活かしながらも、自分の領域は絞らずに事業成長に必要なことをなんでもやる振る舞いが個人的にはかっこいいと思っていて、自分のありたい働き方です。なので職能を広げられるのはとてもありがたい機会でした。

デザインの側面のみならず、PM職にもなり事業成長のために自分が取れる手段が広範になったことで、自分の考え方や行動が変わっていっているのを面白く感じています。

きれいで実装しやすいデザインデータを作ることに強いこだわりを持っていた僕が、今ではスクショとコメントをベースにした指示書を量産するなど、以前の自分だったら許せていないだろう行動も頻発し変化を感じます。
(ただ直近これで開発チームを困らせるという失敗も起こしてしまったので、今後はちゃんとデザインデータ作ります)

異動1ヶ月目で急ぎ作ったデザインシステムv1。いつか公開したい

「価値あるプロダクト」を創り続けられるチームをつくりたい

今のmikan for Schoolはまだフルタイム10人にも満たない小さなチームです。mikan社として、英語アプリmikanに続く2つ目の事業の柱を作ろうとしています。
利用いただける生徒にとっても先生にとってもなくてはならないものを作り、未来の教育が確実に良くなるものとなるよう育てていきたいです。

プロダクト開発はマラソンだ、と思っています。
それは長い道のりであり、マラソンのように走り続ける体力やリズム作り、戦略が必要です。

(dely社プロダクトマネージャーの奥原さんが書かれた好きな記事)

mikan for School事業部は小規模ながらも、一緒に走っていきたい仲間がいます。
このチームで良いプロダクト、良い事業を創り続けられるよう尽力したいです。

さいごに

変化の激しく早い現代において、教育の形もどんどん変化していきます。

YouTubeの成長を筆頭に、ここ十数年で「良質な教育へのアクセス」は十二分に改善されましたが、まだまだ学校現場には先生の苦労があり、生徒の自己実現に対してもより良くできることがいくつもあります。
そこにテクノロジーとプロダクトで価値を提案していくチームの一つが、mikan for Schoolです。

プロジェクトが増え、チームを強化していきたいフェーズです。
ビジネスサイドやBackendエンジニアなど、複数職種を熱烈募集しているので少しでも興味を持ってくださった方はXのDMや採用ページからご連絡いただけると嬉しいです。

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三上蒼太 / Sota Mikami
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