【エニアグラム】誤解を生む“本能型”について【自己保存メイン】
エニアグラムには、自己保存本能型,社会的本能型,性的本能型という3つの本能型があります。基本タイプと同じように、人によって優位な本能と力をもたない本能があると言われています。
この本能型ですが、ネット上では説明不足な故に間違った認識をされてしまっていることが多いです。
今回はその3つの本能型のうち自己保存本能型をメインにおき、本能型について深い説明ができたらと思っています。
何故自己保存本能型メインかというと、私自身が自己保存本能型なことと、説明しやすい特徴を持っているからです。
ドン・リチャード・リソ著作「エニアグラム 【実践編】」で書かれている内容について触れるため、本能型の表記は本の表記と同じにしています。
“自己保存”のイメージ
皆さんは自己保存本能型について、どのようなイメージを抱いていますか?
ネットを調べると、このような特徴を目にしました。
身体的な安全、快適さを求める
自分自身に対して関心を寄せる
変化を好ましく思わない
自己保存が弱い人は健康を害する
これらは合っているようで、要約されすぎています。一部に当てはまっても、自己保存タイプ全体には当てはまりません。
どの点が誤解を生んでしまうのか、詳しく説明していきます。
“優位な本能型”への誤解
よく見られる説明の中で最も誤解を生んでしまうのは、“自己保存本能が弱い(盲点)の人は自分を大切にせず、暴飲暴食,飲酒,薬物など破滅的な行為に走る”という情報です。
ドン・リチャード・リソが不健全状態の自己保存本能型についてどのような説明をしているか、以下の解説を引用します。
この引用文からも分かる通り、実際は自己保存本能が強い人ほど、不健全な状態に陥った場合特に自己破滅的行為に走る場合があるのです。
なので、自分を大切にしない=自己保存が弱いという話にはなりません。
これは社会的本能型も性的本能型も同じで、不健全な状態ではその本能が逆に現れることがあります。
この説明が省かれてしまうと、不健全な人ほど判断を誤ることになります。
もうひとつ、大きな誤解を生む要因があります。
それは、本能型と性格タイプが合わない場合、優勢する本能を妨げ、歪める傾向があるためです。
この言葉だけでは伝わりにくいと思うので詳しく述べてゆきます。
まずは自己保存本能が弱い人についての説明を引用しますね。
次に、自己保存的タイプ4についての説明文です。
これは健全度が低いわけではなく、通常の状態です。
適切に食べたり眠ったりしていませんし、時間や資源の管理もなおざりにしています。
まるで自己保存本能が弱い人のようで矛盾を感じるかもしれませんが、これはタイプ4の求めるものがあくまでムードであるためです。
自己保存的タイプ4は心地良い環境や洗練された美しい物に囲まれることで精神的にケアされます。
そのため、ムードを守ってくれる物質や環境を優先させ、安全や健康を害することが多々あります。
自己保存本能型への説明文にはこのようなものもあります。
文の中に“調和的に機能していれば”という言葉がありますが、本能型というのは、必ず調和的に機能するとは限りません。自己保存本能型に限らず全体としてです。
タイプ4は現実に則さず精神的な面でアイデンティティを形成させる性格のため、自己保存本能型の現実的な面とは合いません。そのため、本能型が少し違った形で現れます。
それでも当然他の自己保存本能型と共通した要素はあり、それは快適さという個人的な感覚を重視し、物や環境に頼ることで心を守るという性質です。
ちなみにタイプ4と最も調和するのは性的本能型になります。
合わない本能型
先ほど例に挙げたタイプ4ですが、実は自己保存本能と特別合わないわけでもありません。自らの欲求を満たすことに抵抗が無いためです。
自己保存本能型の根本は自己を守るという価値観で、自分の欲求を満たしたいという衝動があります。自己保存本能と最も相反するタイプというのは、自分の欲求を満たせない人です。
そのタイプが何かというと、タイプ1,タイプ2,タイプ9になります。
通常のタイプ1は、自分への欲求を厳しくいさめます。通常のタイプ2は、自己犠牲をします。そして通常のタイプ9は、欲求を乖離します。
これによって自己保存的タイプ1,2,9は自らの本能を抑圧し続け、歪ませてしまいます。
他タイプに比べて不健全な状態になりやすく、通常の段階でも疲弊しやすいです。
この中でも特に歪みが強いと感じたタイプ2について触れます。
自己保存的タイプ2について
人の面倒を見ることに集中します。自分の欲求を無視し、休息や適切な食事を取らなくなったりします。満たされることが無いため自己犠牲している気持ちに陥りやすく、恩返しを求めるとともに攻撃的な気持ちを抱き、抑圧するため過食をしたり薬に頼ることになります。
不健全な段階になると妄想的なまでの尊大さに陥り、自分の健康をかなり軽視し損ないます。
自己保存的タイプ2は自分の欲求を無視し、あまり健全な自己保存本能型のような振る舞いをしません。抑圧した分、自己犠牲を払ったことへのプライドが強くなります。
表面的な本能型のイメージでは、自己保存本能が最も弱いと思うかもしれません。
この、“性格によって優勢する本能を妨げ、歪める”特徴は、もちろん性的本能型にも社会的本能型にもあります。
タイプと本能型が調和的であるかどうかというのは、自分の本能型について考える上でとても大切な要素です。
まとめ
長々と話してしまいましたが、今回お伝えしたいことをまとめると以下のようになります。
不健全な状態では本能型と逆の行動を取る傾向にあるので、本能型の欲求を疎かにしているからといって未発達だということにはならない
本能型によって根本的な欲求は共通しているが、性格タイプによって求めるものが変わってくるため、「自己保存は身体的な安全に気を遣う」等と一括りにはできない
本能型の欲求と性格タイプが合わない場合、歪んだ形で特徴が現れてしまう
性格タイプが欲求を抑圧する場合、不健全な特徴(つまり本能型と逆の行い)が強く出てしまう
私はタイプ4なのですが、ネットで調べただけの段階では自分のことを自己保存が弱いと思っていました。徹夜をして健康を害したり、お金がないのに高尚さを重視して貯金が無かったりしたためです。自己保存的タイプ4には感情的強烈さへの欲求があることも相まって、自分が安全志向とも思えず性的本能型と間違えました。
実際、本能型というのは複雑な特徴を持っているんですよね。
皆さんが自分の本能型について調べる際、この記事を参考にして頂けたら嬉しいです。
また、ドン・リチャード・リソ氏のエニアグラム本をまだ読んでいない人は是非買ってみて下さい。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
おまけ
それぞれの自己保存本能型がどういう特徴を表すのかをまとめました。
自らの欲求を強く抑圧し、禁欲的になる。清潔さや秩序、衛生、美学を重んじ、健康や食事に対して気を遣う。[タイプ1]
自らの欲求を強く抑圧し、人の面倒を見る。娯楽を楽しむこともよくあるが、自己犠牲を払ったという意識が強くなり、ストレスから過食をしたり薬に頼る。[タイプ2]
資産や安定した家など、物質的幸福によって好印象を与えようとする。キャリアに集中しすぎて健康や人間関係を疎かにすることがある。[タイプ3]
心地良い環境を欲し、洗練されたものを愛し、美しいものに囲まれたい。自己放縦的で、健康や安定をも犠牲にする。[タイプ4]
すべてのタイプの中でも真に孤独を愛し、社会的関わりで疲弊した心を充電するために、自宅で過ごす時間を大切にする。自宅や仕事をする空間を守る。[タイプ5]
一生懸命働き、相互の責任を通じて安全を確立することにより生存不安を和らげる。倹約家で、家庭生活の安定を維持することに関心がある。[タイプ6]
快適さがつねに確実に満たされるよう駆り立てられる。典型的消費者で、ショッピングや旅行など楽しめそうなものに意識を向ける。[タイプ7]
実際的な行いをことや生活費を稼ぐことにひたすら集中する。自らの影響や重要性のシンボルとして、車や家など価値の高いものを獲得しようとする。仕事中毒に陥りやすい。[タイプ8]
好きな番組を見たり心地良い椅子に座るなど、手に入りやすい楽しみや小さなご褒美に惹かれるが、無気力や自己軽視により真の欲求を満たすのが難しく、抑圧から過食や嗜癖傾向をもつ。[タイプ9]