売茶翁の「通天橋のほとりに茶を煮る」を見に東福寺
私の推し旅の記録。
行けなかった富岡鉄斎展。出典作品に特に見たい物があった。
鉄斎美術館所蔵の『高遊外売茶図』。この絵や写真について載せている物が全然なくて、売茶翁の知名度の低さを改めて認識した。鉄斎美術館さんの写真をお借りする。
掛け軸だと思っていなかったので、この写真を見せていただけただけでも大きな収穫だ。絵の場所は京都の東福寺。紅葉の季節に話題になる通天橋という橋の下に沢がある。桜かな。川辺をしっかりと見る。
茶席を設け、幟を立ててお客様を待っているっぽい売茶翁の姿が見える。『売茶翁偈語』にある漢詩の世界を描いたのだろうけど、売茶翁が笑っているように見えるんだよね。拡大しても見えなくて、やっぱりこの絵は実物を見てみないと。
先に京都に行く機会があったので、東福寺に行って来た。京都のお寺は大きい。広大な敷地に立派な本堂。東京のお寺ではこんな規模はなかなかないと思うし、神社と比較してもお金がありそう。
通天橋の有料ゾーンに入って"ほとり"を探した。頭に浮かぶのはやっぱりコレ。
まだ橋についていないうちに素晴らしい青紅葉に目を奪われた。若い苔?とのコラボが爽やかでたまらない。実際は、この季節とは思えない暑さだったんだけどね。
他の観光客が橋を目指して進むなか、私は脇道に逸れる。侵入禁止になっているだろうと予想していたけれど、階段があって小川が見えた。目黒川!
いや、等々力の渓谷の方が近いか。絵のようなありのままの姿ではなく補強された現代の沢だけど、見上げる紅葉は格別。描かれたのは、この右側付近で茶を出す売茶翁かな。
湯気が紅葉と通天橋を包み、湯が沸く音は川の水の音と響く。
確かに川の音が心地良い。絵のように下から通天橋を見ることはできないけれど、まぁいいわ。下まで降りない人が大半だけど、下りてみると残る印象がずっと強くなる。グランドキャニオンでもそうだった。
通天橋の上にも行ってみる。緑しかなく、橋は古い。売茶翁のいた頃は木ももっと若く小さかったのかな。なんて、情緒豊かなことも考えたけど、許可なくお店を出し、沢の水を使って楽しめた緩さが良い世の中だなと思った。
富岡鉄斎の絵に見える通天橋は、橋に上がる手前で撮れた。
木々が重なる奥行きが良い。
しかし大きな寺だこと、再び。