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映画「アボカドの固さ」に過去の自分を重ねてうわぁぁぁぁぁってなる
U-NEXTの1か月無料体験に登録したので、ふだん全く観ない映画に親しもう期間を過ごしております。
映画ド素人による知識皆無レビューを始めます。
昨晩の鑑賞は、「アボカドの固さ」。
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その舞台となる場所から、「明大前三部作」なんて言われているらしいですね。
他の2作品は「花束みたいな恋をした」「明け方の若者たち」。
前者は最近見ました。回りくどかったです。
まずは、ざっくりとしたあらすじ。
5年付き合った彼女”しみちゃん”に突如別れを告げられた俳優の前原が、よりを戻したいとウジウジしながら他の女の子にもちょっかいを出しちゃったりしてあぁもう!ってなるお話。
とんでもなく前に進まないんです、この映画。
開始5分で別れた男女は、全然よりを戻さないし、かといってお互いに新しい恋人ができるなんて描写もなく。
ただ、作中の前原の言動(特に、佐々木さんへのアプローチとか、後輩仲間たちへの絡み方)を見ていると、あんまり大切にしてあげられていなかったんじゃないかな、とか、勘ぐってしまう…。
むしろ、しみちゃん、よく5年も付き合ってあげてたのね、っていう。
アボカドの固さ、観た。みてもらいたい手相が噛み合わない時点でもう、二人は一緒にならない運命なのに、なのに、32歳とか言っちゃう前原の必死さ(情けなさ)!!相手にすがりついた経験者としては、誰かが悪いとかじゃないよねーうんうん、ってなる。よきでした。
— おかたろ (@su__ama) April 16, 2022
あと、久しぶりに会ったしみちゃん、待ち合わせのとこの声の高さからしてかわいいし、よく笑うし、スカートかわいいし、ぜひ情熱的な恋をしていただきたい。幸あれ。
— おかたろ (@su__ama) April 16, 2022
前原が現状にくすぶってイライラしている一方で、たぶんしみちゃんは新しい誰かと一緒になって、ちょっとずつ変わっていっている。
まるで自分だけが時間の流れの中に置き去りにされたような焦燥感を、カメラが淡々ととらえているような作品です。
うーん、時間が経つにつれ味わい深くなってきた気がします。もう一回観たい。
タイトルにもなっている「アボカドの固さ」。
あんまり料理とかしないので疎いんですが、アボカドって固さで食べごろを判断するみたいですね。
指でつまんで、固いのは未熟で、食べごろになるにはまだ時間がかかるのだとか。
物語の終盤、冷蔵庫の奥底に忘れられていたアボカドを前原が潰してしまうシーン。
ぱっと見はイライラを隠せなかったり、情けなくしみちゃんに執着してしまう未熟丸出しの彼。
だけど、25歳の誕生日を迎え、実は中身はもうぐじゅぐじゅで、(俳優という夢を追いかけ続けるには?)決して若くないんだよねという現実を突きつけられているようにも感じました。
あとほんと個人的感傷として。
しみちゃんのお気に入りの花として出てくるサンダーソニア。
以前好きだった人が「オレンジ色が好き」だなんて言っていたことがあったもんで、一時期よく買って部屋に飾っていました。
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その恋は本当にうまくいきませんでした。というかなんか、前原みたいな執着心でがんじがらめでした。思い出すだけで後頭部を殴られるように鈍く痛む。しょうもないきっかけで好きになっちゃった自分の浅薄さもそうだし、相手にかけた迷惑を考えるとつらい。奥歯に力が入ってしまいます。
たぶん、その人のことを好きだったんじゃなくて、その人に「好きって言われたい」だけだったんだと思うなあ。今となっては。
ほんとうに未熟で自己中な人間関係。
いまだに後悔しているし、誰かを好きになる度に、「だめだめ、恋なんてするもんじゃないよ」、とか思っちゃう30代独身。
と、ここまで書いて、他の人たちはどんな感想を抱いたのだろうと興味が湧いて、ネット検索。
noteにレビューを書かれている方の投稿を見つけました。
うーん、すごい。
あらすじや制作の背景が見事に整理されて書かれております。
「彼女と復縁出来る」とか「俳優として成功する」とか「俳優は諦めて就職する」とか大きな成長や変化を描くのではなく「六角レンチの回し方が分かるようになる」という彼の小さな気づきで映画が終わっていくのが、語り方として上品だと思った。
そうそう、六角レンチ!
最初に彼がレンチを回すシーンでは、思わず老婆心に「そっちじゃねぇ、そっちじゃねぇほうで回さないとテコの原理がぁ」「あぁビス斜めだよたぶん、一旦ゆるめて溝にはめなおそ?」とか思っていたけど、最終的にそれらは解決されて安堵したことを思い出しました。
ネジがうまく締まっていかない時って、たいていネジ山の嚙み合わせだから、いったんゆるめてもう一度締めるとうまくいくことが多い。
そこで立ち止まらず、もし闇雲に締め上げたら、山がつぶれてそのネジ穴には二度とネジがはまらなくなってしまいます。
ネジとちがって時間は逆戻りはできないけど、こじれちゃった人間関係は、一度リセットしてもう一度初めからやり直してもいいんじゃないかい?というメッセージにも読めますね。
前原はそのことに気付けたのでしょうかね、はたして。
ちなみに、引用したなんすけさんのnoteに飛んでみたら、びっしりと映画レビューがあってわくわくしました。
が、もれなくタイトルに「(ネタばれあり)」の表記があるため、いまは他の記事は開かずそっとしておきます。
映画を観たらまたお邪魔させてもらおうっと。
おわり。
(↑アイキャッチ・本文中の画像もこちらのサイトからお借りしました)