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Nikomat ELに通す最後かもしれないフィルム
9月19日。
Nikomat ELに詰めていたVenus 800を現像に出した。
Nikomat ELは優秀なカメラである。
1にも2にも、安い。ハードオフのジャンクコーナーなんかに2000円くらいで転がっていたりする。
この個体も、確かそういうカゴの中から拾ってきたカメラだったと思う。
さすがにモルトは貼り替えたけど、それ以外は特に何もしていない。でもちゃんと動く。
そして名前がかわいい。Nikomat。ニコマート。
作っているのは、ニコンである。このカメラが売られていた1970年代のはじめころは、ニコン製であってもカメラの頭に「Nikon」の冠を戴くことができるのは一部の上位機種だけだった(らしい)。庶民のカメラには、Nikomatのように別ブランドの名前を刻むことしかできなかったのだった・・・。
とはいえファインダーを覗いてしまえば名前の違いなんて関係ないわけで、その名前のおかげでか安く手に入るNikomatを庶民代表の僕は愛用していたのだけれども。
ことしに入ってNikon EM(写真右のかわいこちゃん)を手に入れてから、すっかりNikomatの出番が減ってしまった。だって重いんだもん、Nikomat。
さらに今夏には、祖父の形見であるNew FM2もやってきた↓
というわけでおそらく今後出番はかなり少ないだろうNikomat EL。
詰めていたフィルムを現像に出したということで、防湿庫の奥底でしばらく眠ってもらうことにした。
もしかしたらまたハードオフのジャンクカゴに出戻ってもらうかもしれないし、欲しいという奇特な友人がいればお譲りするかもしれないし、このずっしりとした重さが恋しくなってまた頻繁に連れ出すようになるかもしれないし。
まぁカメラというのは使ってなんぼだと思っているので、使うなら壊れるまで使い倒し、使わないならしかるべきタイミングで手放すことになると思う。
そんなわけで、この子で撮る最後かもしれないフィルム、Venus 800の写真を。
データ化したときのあれなのか、期限切れのフィルムだからなのか、どうにもノイジー。Venusはもうちょっと繊細クリーミーなフィルムのイメージだけど、どうなんでしょう。
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僕がフィルムで写真を撮るときは、カメラの露出のクセとかレンズの変色とか現像による色合いの変化とか、そういうの全部ひっくるめて「なすがまま」でいいやと思っている。
人によっては好みの色合いを出すためにフィルム選びにこだわり、適切に管理された環境でそれを保管し、レンズにフィルターをつけたり、ラボにこだわりプリントの色味指定をしたりして・・・とやる人もいるかもしれない。
でも、僕はフィルムにそれを求めてはいない(求めるほどの情熱や知識がない)。自分好みの色で撮りたいときは、デジカメでRAWで撮ってPCで現像すればいい、とか考えている。ズボラ。
Nikomat ELは、ニコンのカメラとしてはじめて電子制御シャッターを採用した機種らしい。これはつまり明るさに合わせてシャッタースピードを自動で調節してくれることを意味する。マニュアル感丸出しのごてごてした外観のくせに、機械まかせである程度撮れる。「なすがまま」写真道にはぴったりのカメラだ。
と、いうわけで。
なんやかんやNikomat ELにはこれからも側にいてもらうことになりそうだなぁ、という気がする。部屋にものは増える一方である。