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灯台のぼる記 #2 大王埼灯台(三重県志摩市)

全国に16ある「のぼれる灯台」をのぼるだけの記録です。
初回にいきなり番外編をお届けするという無計画っぷりではありますが、気を取り直して1つ目いってみましょう。

きょうの灯台は「大王埼だいおうさき灯台」です。

この大王埼灯台をひとことで表すなら

「ビギナーにおすすめ!灯台のぼりの最初の1基に!」

ですね。
いやお前がビギナーやろ、とかツッコまれたらぐうの音も出ないのですが。まさにわたしが灯台ビギナーだからこそ、ずぶずぶとその魅力にはまっていくのにちょうど良い要素が満載なのです。
ここを訪れたら、他の灯台ものぼってみたくなること請け合い。
そんな大王埼灯台の魅力を紹介していきます。

「灯台が見えたとき、我々はすでにのぼり始めているのだ」

旅の始まりは駐車場から。
ここへのアクセスは原則車です。
公式ホームページによると大王崎観光駐車場が案内されていて、駐車料金は\500。(Googleマップの口コミによると\300との情報も)
実際にはこの駐車場よりも進んだところにもいくつか駐車場があります。
わたしは波切漁港の目の前の駐車場を利用しました。こちらは前払いで\300でした。車を停めると、地元のおばちゃんが料金の徴収に来てくれますので、料金を手渡せばOK。

なお、バスも出ています。
近鉄鵜方駅から三重交通のバスに乗って約20分、「大王埼灯台」下車だそうです。

車を降りてまず見えるのが、波切漁港ののどかな風景。

小さく入り組んだ港は波が入ってこず、水面はただ凪いでいます。
手をつけると、太陽の熱でほんのりあたたまった水の感触。

なお、オーシャンビューの贅沢な駐車場区画は、海女さん専用になっていました。
観光客は停めないようにご注意を。

周囲にはなんだか美味しそうな匂いが漂っています。
その元をたどっていくと、干物屋さんが。

いままさに干物にならんと身を灼く魚たち。

スキがあらば横取りしようとする鳥たちから魚を守るのは、最強の海賊王です。
お仕事ご苦労様です。

灯台へ至る道こそ、「灯台もと暮らし」の神髄

港の雰囲気だけで満足度は充分に高いのですが、そろそろ灯台へと足を向けることにします。

灯台が立つ岬は海抜26メートルのあたりにあります。
漁港はもちろん海抜0メートルですから、その分の高度をのぼっていかなければなりません。

くねくねと何度か路地を曲がると、清水寺の参道のような細い商店街へと入っていきます。

ちゃっかり猫

志摩市は真珠の名産地。両脇に並ぶ店もほとんどがその看板を掲げています。
この日は平日だったため、店は8割方閉まっていました。
休日だとまたにぎわいが変わってくるのかもしれません。

八幡さん公園で灯台を愛でる

灯台へ至る道の途中、分岐を折れると八幡はちまんさん公園へ出ることができます。
公園といってもただの岬の突端で、あるのはベンチくらいなもの。

ただ、ここからは最高の灯台ビューを味わうことが出来ます。
濃い青をたたえる海と、真っ白な灯台のコントラスト。
晴天の日に来られることができた幸運と一緒に、潮風を吸い込みます。

八幡さん公園からの眺め

公園まで来れば、お目当ての灯台はすぐそこです。
再び路地へ戻り、土産物店を抜ければいよいよご対面…!

シンプルな美しさをたたえる塔体よ!

でででん、これがお待ちかねの大王埼灯台です。

白がまぶしいですね。
塔はコンクリート造りで、灯台自体の高さは約23メートル。

灯台が立つ大王崎は、もともと行きかう船の難破が絶えなかった海の難所でした(まぁ灯台が立っているところなんてだいだい難所ですが)。
その対策として、灯台が建てられたのが昭和2年(1927年)のこと。
その後昭和53年(1978年)に大改修を経て現在に至ります。

円柱形のシンプルな姿ながら、踊り場の下側についた足のような造形がキュートです。

足回りには扇形の建物がついています。

遠めに見ては華奢は1本の塔だったものが、下から見上げるとがっしりとした足で地面を踏ん張っているように見えます。
今でこそ無人化された灯台ですが、かつてはこの扇状の居室部分に職員が詰めて、海の安全を見守っていたのでしょうか。

中の螺旋階段を、時計回りにのぼっていきます。
階段の左右で幅がちがうので足がもつれそうになりますが、明かり窓がたっぷりあって足元が明るいのが救いですね。

窓から海が見える演出がニクい

82段の階段をのぼりきると、絶景が待っています。

遮るものの何一つない太平洋!海の大きさを実感します。

崖上の平らな場所が、先ほど立ち寄った「八幡さん公園」
最初に訪れた、波切漁港を眼下に

レンズはLU-M型灯器。

ちなみに、この灯器がどういうものなのか、LU-Mがどういう意味なのか、にわかトウダイヤーのわたしには全く分かりません。
詳しい方、ぜひ教えてください。

ミュージアムも意外と趣深い

ひとしきり踊り場で太陽の光を浴びたあとは、併設のミュージアムにも寄ってみます。

そしたらなんとまぁ、これがなかなか楽しい。

灯台の光り方の実演模型や、様々なレンズの展示、GPSシステムのパネル解説など、灯台の基礎知識を履修するのにぴったりのコンテンツなのです。

さらに、かつて使われていたレンズの展示も(しかも回転する!)。

戦時中に受けた砲撃のあとも生々しく残っています。
(この銃弾の穴が残っているというのは、どうやら「灯台あるある」らしい)

結論、大王埼灯台は入門にオススメ

そんなわけで、小一時間灯台を堪能して、大王埼灯台はビギナーを灯台沼に引きずり込むのに最適な場所なんじゃないかと、冒頭の感想が思い浮かんだだわけです。

・静かな海辺の町の雰囲気を存分に味わえる。猫ちゃんもいる。
・外から灯台を眺める場所があり、その形を存分に観察できる。
・暗さのない開放的な階段、踊り場。
・綺麗なミュージアムで灯台のことを勉強できる。回転するレンズさえ間近で見られる。

そんな要素を取りそろえた大王埼灯台は、まさに「灯台入門」にぴったりではないでしょうか。
というか、「のぼれる灯台」めぐりのひとつめにこの灯台を選んだ自分、グッジョブです。


さて、大王埼灯台を満喫したあとは、同じく志摩市にある安乗埼灯台へ向かいました。
実は志摩市は全国に16しかない「のぼれる灯台」の、そのうちの2基を有しているんです。なんて贅沢な!

ここから車で30分足らず。そのようすはまた次回の投稿でお伝えします。
気になる方はぜひマガジンをフォローしてください(宣伝)。

おわり。


<写真>
EOS RP + Tamron 35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD (Model A043)
GoPro HERO10

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