見えない課題を研究し、アクセシビリティを向上する仕組みをつくる 第5回「well-workingの現在地」
はじめに
“well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる”
このコーポレートミッションの実現に向き合うSmartHRの社員のすがたと現在地を、インタビューを通じてお伝えする連載「well-workingの現在地」。
第5回は、アクセシビリティ本部のmaihaさんです。
プロダクトデザイン統括本部
アクセシビリティ本部
maihaさん
自己紹介と現在の業務内容について
2023年に入社し、アクセシビリティ本部でサービスのアクセシビリティ向上を担っています。誰もが使える製品を目指し、効率的にアクセシビリティを高める仕組みをつくり、開発チームをサポートするのが主な業務です。
障害のあるユーザー、外国籍のユーザーなどを含めたすべての人が「SmartHR」を快適に利用できるよう、製品以外も含むサービス全体のアクセシビリティ向上に向き合っています。
担当業務を通じて貢献したい「well−working」と、「well-working」を実現するための課題や難しさは
自身が社会的少数者であることで働きにくさを感じている人の「well-working」に貢献したいです。
当事者が声をあげにくい、声をあげても届かないという現状があるため、私たちの活動では「well-working」を実現するために解決すべき課題を探究するところから始めることがほとんどです。
私たちは、課題が存在するという仮説と、一部の当事者の方からお聞きしている課題をもとにアクセシビリティに取り組んでいますが、常に「SmartHR」ユーザーからの声が届いているという状態ではありません。
障害者の方や社会的少数者の方が企業にいらっしゃる場合、業務システムの利用において課題があることも多いはずです。
たとえば、社内共通で利用するシステムでも、視覚障害者の方にとっては、スクリーンリーダーではシステムを使えなかったり、使いにくいということがあります。
その声が管理者、「SmartHR」でいうと人事労務の担当者の方に届き、課題として認識される必要がありますが、今はそれが当たり前ではありません。ようやく、多様な人の意見や困りごとに対して社会が目を向け始め、課題だと認識されるようになってきました。
まだ見えていない課題を解決するために、探求し取り組む。声をあげにくい社会の現状を変えていくことも必要ですし、私たちは、誰かが声を発しなくても「当たり前に」プロダクトを使える状況をつくらなければいけないと思っています。
「well-working」な社会にするために意識していること
いろいろな人の意見に耳を傾けることです。働くことに対する楽しさ、つらさなどの声を見聞きしたら、いろんな角度から向き合ってみます。
私たちが解決できる新たな課題が、周りの人の声を聞くことで見つかることがあります。
たとえば、私の所属しているグループには、障害当事者の方や、外国人のメンバーもいます。全社に向けた連絡や、研修などのイベントに対し「わかりにくい言葉があった」、「障害などが理由で参加に不安がある」といった声があがることもあります。
また、社内ではCS(カスタマーサクセス)やセールスの方々が、お客さまの課題について議論しているところから課題を見つけたり、社外ではSNSやブログで当事者の方々が発信されている内容にアンテナを張ったりもしています。
SmartHRの従業員が「SmartHR」の使いにくいところや、業務で感じている苦労などについてSlackで日常的に呟いていたりするのも参考にしていますね。
「well-working」な社会にしていくための仕事の成果目標
「SmartHR」のアクセシビリティ向上を通して、より多くのユーザーの「well-working」に貢献していきたいと思っています。
ユーザーへアクセシビリティについての情報を提供したり、働くの学び舎というプロジェクトで学生にアクセシビリティに関する講義をするなど、SmartHRは日本のSaaS企業の中でアクセシビリティをリードする存在になりつつあると思っています。
(働くの学び舎 https://manabiya-project-smarthr.wraptas.site/ )
少数派の意見を取り入れることは国内でも重要視され始めていると思います。この社会の流れを後押しするくらいの成果を見せつけていきたいです。
また、日本の社会に、SmartHRの「アクセシビリティ本部」のような取り組みを行う専門部隊がある組織を増やすことも目標です。
従来のアクセシビリティ部門は、企業内に存在していても部署内に閉じた動きになることが多かった気がします。SmartHRのように全社横断的にアクセシビリティを推進できている組織は、まだ稀なのかなって。
閉じている組織の中で取り組み、大きな成果を残すのは難しいと思います。ユーザーにプロダクトを「良いもの」として届けるためには、プロダクトをつくる社員だけでなく、セールスやCSもバックオフィスも、組織の全員がアクセシビリティについて理解していなければいけません。
会社自体がアクセシビリティを大事なものとして考え、全社で取り組むものとして推進していくことで、社会を動かせると考えています。私が「SmartHRでアクセシビリティをやる」という選択をした理由でもあります。
アクセシビリティは誰にでも関係する分野です。
もしかしたら明日、自分や隣にいる誰かが障害を持つことになるかもしれないし、そうでなくても、日常的に字幕で映像を見たりもしますよね。アクセシビリティ自体は、誰にとっても身近なものです。
誰にでも関係する分野なのに専門性が高いと思われがちで、一人で取り組んでしまうと「専門家だけのもの」と思われてしまうこともあります。
アクセシビリティは全社横断で取り組んでこそインパクトを出せる領域なので、常に「周りとどう一緒にやるか」を考え意識していますね。
業務を通じて「well-working」な社会にしていく過程のおもしろさや達成感、そこにある成果
アクセシビリティとは「すべてのユーザーが円滑に使える度合い」を意味します。
「すべてのユーザーが使えるか」に向き合うことで、もっと働きやすい状態になるための新たな課題が次々に見えてきます。それがアクセシビリティ本部の業務のおもしろさだと思います。
業務アプリケーションの力で、どれだけ多くの人の働きやすさに貢献できるかの可能性を考えるとワクワクしますね。
また、チーム全体の成果ですが、お客さまのアクセシビリティに関するニーズについて相談をいただくなど、少しずつ課題が届くようにもなってきています。そのうえで、「SmartHR」であれば障害を持った方にも使っていただけることを理由に導入してもらえ、アクセシビリティ本部によるサポートも可能になってきました。
SmartHRにアクセシビリティをやっていくぞ!という部署があって、それが社内に知られていったことで一緒に取り組みができ、お客さまによりよいサービスを届けることができるようになってきていることも成果の一つだと思います。
組織内でのアクセシビリティに対する意識は元々高かったと思いますが、この1年で具体的なアクションが増え、アクセシビリティを前提に企画を検討・制作するなど、「自分たちに何ができるか」を考える社員が増えてきていると思います。
今後、SmartHRで挑戦していきたいこと
エッジユーザーも含めた使いやすさを追求し、効率的にする・仕組み化することに挑戦したいです。
特別対応・例外対応のため後回しにされがちなエッジユーザーですが、それなら「特別対応」「例外対応」ではなく、すべての人が使えるという前提を当たり前のものにすればいいんじゃない?って思います。
その当たり前を、誰もが無理なく取り入れる。そのための仕組みをつくり、ガンガン成長するSmartHRという組織で実現していくのが私の挑戦です。
そうして走った先に、すべての人が使えることが当たり前になっている社会があると思います。
とはいえ、私たちがSmartHRのアクセシビリティ本部でできていることはまだまだ一部です。
たとえば読書や建物、ウェブに関するアクセシビリティなどは、効果的な仕組みが考えられていますが、よく知られているものの多くは身体障害の方を対象にしたものです。
精神障害や知的障害の方に向けても、ウェブ開発者としてできることがまだたくさんあるはずです。他にも、高齢者など、快適にウェブサービスを使えない多様な人がいると思います。
そういった方に向けてどう取り組んでいくかはワクワクするところであり、次の挑戦です。
特に日本の民間企業やスタートアップで精力的に取り組んでいるところはまだ少ないので、取り組みをリードし、一番乗りでやっていきたいですね。
前回の「well-workingの現在地」はこちら
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