富士通、リクルートで培った開発・設計力で、プロダクトの持続的な成長を支える
製造現場DXプラットフォーム「Smart Craft(スマートクラフト)」のプロダクト開発を担当している開発マネージャーの星井 渡(ほしい わたる)さん。星井さんは2021年の10月から業務委託として参画し、2023年1月に正社員として入社されました。
大企業からスタートアップへの転職を決断した背景や、Smart Craftの開発のやりがいについて聞いてみました。
大学院時代にプログラミングに興味を持ち、新卒で富士通へ
━━エンジニアのキャリアの原点になったことと、最初に入社した会社について教えてください!
大学院の頃、「光物性」という電磁波と物質との相互作用について扱う学問の研究をしていたのですが、データの分析時にプログラムを書いたときに「これは面白いな」と。概念的なところよりもプログラミングに興味を持ち、キャリアとしても自然と技術職に興味を持つようになりました。
大学院卒業後、最初に入社したのは富士通でした。富士通を選んだ理由としては当時、自分でも知っているような会社で、個人から法人まで幅広い事業を展開していたからです。そうした多様な事業を手がける会社であれば、自分のやりたいことが見つかるだろうと考えました。
最初に配属されたのは「共通技術部隊」の役割を担うチームでした。ここでは、先端的な事例を手がけたり、ITインフラの技術情報をフィールドのSEに伝える役割を担当しました。社内向けドキュメントの整理や社員研修の講師を務めた後、AWSなど各社が提供するクラウドを活用したいと考える大手企業の支援として、マルチクラウド環境の設計や開発など、多岐にわたる業務を担当しました。
リクルートに転職。「少人数で障害なく回せる仕組み作り」を構築
━━6年勤めた富士通を退職して、2018年にリクルート(旧リクルートコミュニケーションズ)に転職します。その背景は?
富士通で多岐にわたる開発業務に携わる中で、自分自身がより実装部分に関わり、スピーディーに作り上げていけるようになりたいと思うようになりました。そんなときに、リクルートのように自社でWebサービスを展開している企業であれば、開発にスピード感をもたらせるようになるのではないかと考えたんです。また、プログラミングのコンテストで世界を舞台に活躍するような高い技術力を持つ人が在籍しているという情報も耳にしており、「挑戦したい」という気持ちが湧いてきました。リクルートを選んだのは、その志向にマッチしたからです。
リクルート入社後は、多数のプロダクトの開発リーダーを務め、バックエンド、フロントエンド、インフラという幅広い範囲の開発業務を経験しました。リーダーといっても業務はマネジメントだけに限らず、自分自身でコードを書き、他のメンバーのコードレビューも担当するなど、直接的な開発業務にも関わり続けることができました。そのため、手を動かし続けたいという希望も叶えることができ、満足度はとても高かったです。
━━リクルート時代、印象に残っていることはありますか?
当時私が関わっていたサービスは数万のお客様が利用しており、日々大量なアクセスがありました。それにも関わらず、少人数のチームでも障害発生を防ぎながらサービスを維持する仕組みを構築できたことはよかったですね。この規模のサービスでは通常、何十人ものチームが必要とされることが一般的ですが、リクルートにおいては、効率的な仕組みのおかげでわずかな人数でサービスを運営できていました。
「少人数で障害を起こさずにサービスを運営する仕組みを構築する」ことは、システム開発において大事な部分です。そのような仕組みをリクルートで学び、実践することができました。
「やってみたい」と思った自分を信じ、Smart Craftに転職
━━リクルート時代にSmart Craftに2021年10月から業務委託として参画されたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか。
ある日突然、ビジネスマッチングアプリ経由でSmart Craft代表の浮部さんからメッセージがあり、リモートで話したことがきっかけでした。その時どんな話をしたのかは正直あまり覚えていないのですが、浮部さんのエネルギーに惹かれ、この人と一緒に仕事をすると面白そうな予感はあったように思います。
Smart Craftには最初、リクルートで働きながら副業で週1日ほどの業務委託として関わり始めました。当時はSmart Craft以外にも、ビジネスマッチングアプリなどで知り合ったことをきっかけに副業を手伝っている企業が複数あり、当初、Smart Craftはあくまで副業先の1つでした。
━━そこから2023年1月にSmart Craftに入社したのですが、どのような経緯で興味を持ちましたか?
副業を始めてから半年ほど経った昨年(2022年)の春頃に、代表の浮部さんと新宿にしゃぶしゃぶを食べに行ったときに、新しいプロダクトに作り直す話をされたんです。
「製造業向けのシステム開発は基本的にオーダーメイドであり、大手企業しか導入できないことが多い。しかし、クラウド技術を活用することで導入のハードルを下げ、製造前から製造中、製造後まで一貫してデータ連携するプロダクトを実現しよう」という提案に強く共感し、「ぜひ一緒に取り組みたい」と思いました。
当時、リクルートで一般消費者向け(toC)のプロダクトを提供していましたが、その際に「1人ひとりが本当に何を望んでいるのかが分からない中で提供しなければならない」という難しさを感じていました。それに対し、企業向け(toB)の領域では、明確な課題を持つお客様が多く、「我々が提供すれば喜ばれる」という直接的な反響が得られることが分かりやすく、私にとって魅力的に映りました。これは副業でSmart Craftの開発に携わりながら実感したことです。お客様の反応がすぐに見えるのもいいですよね。
あとはやっぱり、人です。
業務委託で参画し始めた当初から、Smart Craft社のメンバーの人柄がとてもいいなと感じていて、「苦しい時でもこのチームなら乗り越えられる」と思ったのが大きな後押しになりました。
ちょうど子どもが生まれたタイミングだったので迷いもありましたが、最終的には「ぜひ一緒に取り組みたい」という自分の気持ちを信じたいと思い、入社を決めました。
データベース設計に求められる“バランス感覚”
━━Smart Craftにおける開発の仕事について、詳しく教えてください。
Smart Craftでは、エンジニアとして主にバックエンドの開発を担当しています。コードを書くのがメインですが、開発マネージャーとして他の方のレビューもしています。バックエンドは私が責任を持って担当している形ですね。また、技術的な観点でお客様との打ち合わせに参加し、課題の解決策を考えることもあり、開発だけではなく幅広く業務を行っています。
データベース設計にも携わっています。データベース設計というのは、製造をする上でのデータを貯めていく“箱”の設計です。システム開発の基本となる部分なので、工場の人の動きを理解する必要があります。業務委託として関わり始めた当初は製造業に関する知識はほとんどなかったので、長年製造業システムに携わった経験豊富な方と毎週ディスカッションを繰り返し行いながら、理解を深めていきました。
━━どのようなときにやりがいを感じますか?
やっぱりコードを書き終えて「ふっ」とする時ですね。あとは実際にSmart Craftを使ってくださったお客様から直接喜びの声をいただいた時です。
━━Smart Craftのプロダクト開発において、特に重要と考えることは何ですか?
製造業向けクラウドサービスの開発は様々なお客様の意見から、共通の作りたい最大公約数を探って行く必要があるのが、重要かつ難しいポイントです。オーダーメイドで企業ごとの要望を聞きながら開発をしていた富士通時代と、一般の不特定多数の人に向けて開発をしていたリクルート時代の、ちょうどその中間くらいの絶妙なバランス感覚が求められるなと思いました。
急な変更も改善策も素早く反映できる、持続可能な開発を目指して
━━今後ご自身として、Smart Craftで挑戦していきたいことは何ですか?
少し矛盾するような表現ですが、「チャレンジしないことにチャレンジしたい」と日頃から考えています。コードってスピードを重視するあまり適当に書いてしまうと、他の人が触れないほどぐちゃぐちゃになってしまう時があるんです。そうならないために、必要のないコードは書かない、なくてもいい技術は導入しないといったスタンスが非常に重要になってきます。
個人のスキルを向上させるために、新しい技術にどんどんチャレンジしていくことはとても重要ですが、チームでの開発においては要らないものは勇気を持って切り捨てていくことも同じように重要だと考えています。
━━では最後に、今後どのようなエンジニアの方にSmart Craftへ挑戦してもらいたいですか?
今はまだまだ0→1で立ち上げのフェーズなので、リリースしてすぐお客様に触ってもらえるスピード感を楽しめる人がいいですね。お客様の声を近くで聞くことが好きな人は良いと思います。
また、これから導入社数が増えた時にお客様の要望を汎用性のあるものに落とし込むことが、これまで以上に大変になることが予想されます。そうなった時に、今以上にチームとして合理的に進めていくことをこれから確立していかなければならないと思っているので、このような進め方に共感いただける方に挑戦してもらえたらうれしいです。
▼Smart Craftについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください!