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【スマートシティに関わるすべての方たちへ】 2年間(60プロジェクト)で得たプロジェクトのチェックリストを公開します

【お知らせ】
・2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。2023年9月30日以前の記事には旧社名で記載しています。
・Smart City戦略室は、現在のスマートシティ本部の旧組織名です。
・一部終了しているサービスや、現在の状況と一致しない情報が含まれている可能性があります。ご了承ください。

こんにちは。Smart City戦略室です。
私たちLINE Fukuokaが福岡市でスマートシティ事業に取り組みはじめ、はやくも2年以上が経ちました。
プロジェクト数はすでに60を超えて、国が定めるスーパーシティの10分野を網羅できてしまいそうな勢いです。

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もちろん、これら全てのプロジェクトが成功したわけではありません。
リリースに至らなかったサービスや、小さな成果しかあげられなかったプロジェクトもあります。しかしその一方では、全国ニュースに取り上げられるようなサービスをいくつも生み出してきました。

今回は、紆余曲折の2年60プロジェクトの経験から判明した、スマートシティ事業のプロジェクト成功へのカギを公開します。
全国でおよそ1700ある自治体で、これから検討されるであろうスマートシティ関連のプロジェクトに少しでも活かしてくださると幸いです。

最も重要なのは、市民への"影響範囲×変化の大きさ"

スマートシティは何のためにやるのか?自治体のため?企業のため?
いや、市民のより快適な暮らしのためです。
市民の暮らしに寄り添って、市民のための街づくりを自治体&企業で実現していく「共創」が必要です。
だからこそ、私たちにとって1番重要な指標は、

影響範囲(どれだけ多くの市民のためになるか)
×
変化の大きさ(どれだけ市民の暮らしを便利にできるか)

だと確信しています。
また共創、つまり三方(市民・協業先・自社)よしのプロジェクト実現には、以下のような項目も大事な要素として挙げています。

・市民の声をもとにプロジェクトを生み出すこと
・自社と先方の戦略合理性がとれていて、双方に高い当事者意識があること
・SDGsなど、社会性のある取り組みであること

もちろん成果が一番重要ですが、そのプロセスや付加価値にも目を向ける必要があります。
この考え方は、LINE Fukuokaの価値基準「LION」と通ずるものがあり、そのフレームに当てはめて整理をしてみました。

キーワードは、 "Impact" "Ownership"そして"Next"

LINE Fukuokaの価値基準こと「LION」を簡単に紹介します。

1.IMPACT(成果の影響度)
最初にもってきているのは成果です。どのぐらい驚かせたの?やる前とやった後でどんな変化があったの?その大きさは?その範囲は?

2.OWNERSHIP(当事者意識・主体性)
これまでにない新しいことをやろうとしているわけですから、周囲がすぐに理解してくれるわけもなく、そのコミュニケーションも惜しまずやらないと前進しません。これを面倒な調整や折衝と捉えるか、必要不可欠なプロセスだと捉えるか。これは絶対に自分が推し進めて成し遂げるんだという強い当事者意識がないと途中で折れてしまいます。

3.NEXT(次への展開・貢献度)
いまこの瞬間だけ良いという考えではなく、この先もっと良くなるという時間軸まで考えているものなのか。自分さえよければいいとものではなく、それを通じて他者や組織への貢献があるか。

(詳しくは、LINE Fukuoka COO 鈴木優輔のnoteをご覧ください。)

LIONのキーワードである「Impact・Ownership・Next」の3項目を、Smart City戦略室はこのように細分化しています👇

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1.IMPACT

先ほど、私たちが最も重視している要素として「影響範囲(どれだけ多くの市民のためになるか)×変化の大きさ(どれだけ市民の暮らしを便利にできるか)」を挙げました。(ちなみにLINE FukuokaではこれをWOWの大きさと呼んでいます👑)

Impactは、そのWOWの大きさ・PRバリュー・スピードの3軸を基準として、評価しています。なお、PRバリューはさらに4要素(季節性・独自性・新規性・有名性)にわけて評価しており、スピードは3カ月以内にサービスを世に出すことを目標としています。

2.OWNERSHIP

スマートシティ事業を1社で進めることは、ほとんどありません。特にLINEはプラットフォーマーなので、他社様との協業が主です。

さらに、私たちは「市民参加型スマートシティ」の実現を目指しているので、街づくりへの市民の参画意識を高めることは欠かせないミッションの1つです。ですから、Ownershipは自社だけでなく、協業先・ユーザーも持っていただくことを意識しています
「自分以外のOwnershipなんてどうしようもないのでは・・・?」と思われるかもしれません。しかし、自社だけがOwnershipを持っていてもスピード感は生まれませんし、最高のサービスを作り上げることはできないのです。

3.NEXT

「いまこの瞬間だけいい一手」でなく、「次、またその次につながる一手」まで考え抜くのはビジネスの鉄則です。私たちは、次への展開=Nextとして汎用性・将来性・社会性・ステークホルダーへの貢献度の4点に細分化して評価基準としています。

これまで2年、私たちは福岡市でスマートシティ事業を進めてきました。その代表格である「福岡市LINE公式アカウント」はご存じでしょうか?
2017年4月から福岡市と共働で運用を開始し、現在の友だち数は自治体公式アカウントの中で最多の170万人超です。(2020年9月時点)

そんな福岡市LINE公式アカウントの機能を、全国の自治体が汎用的に活用できるように「LINE SMART CITY GovTechプログラム」として無償で提供開始することにしました。(2020年秋頃予定)

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福岡市だけでなく日本全国の未来に貢献できるようなスマートシティ事業を進めるうえで、このNextは大事な指標の1つとなります。

実際のサービスを3軸に沿って評価してみました

ここまで、Impact、Ownership、Nextの3要素について紹介しました。
これらを実際に、今年5月に発表した西日本鉄道様との協業プロジェクト(LINE公式アカウントにて電車・バスの混雑状況が確認できる機能)に当てはめてみます。

1.IMPACT

福岡市民の多くが日常的に利用している西鉄バス・電車の混雑状況をLINEで知ることができることは、影響範囲・変化の大きさともにいい取り組みであったといえます。その利便性は、全国ニュースにも取り上げていただきました。

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そしてこのプロジェクト、実はコミュニケーションは全てオンラインで行われ、発足からプレスリリースまでわずか1週間で実施されました。
Impactとしては申し分ないでしょう。


2.OWNERSHIP

当事者意識は測りにくいものですが、かなり高かったのではと感じています。その根拠はこのプロジェクトに関するブログ記事です↓

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野口様のお話から、どちらも強い当事者意識をもってプロジェクトを進められたことがひしひしと伝わります。(野口様、ありがとうございました!)

3.NEXT

「コロナ禍で人混みは避けたいけれど、通勤や買い物のために電車・バスに乗らなきゃいけない・・・。」そんなコロナ禍において、福岡市で非常に多くのユーザーがいる西鉄電車・にしてつバスの混雑状況をLINEからチェックできる機能は、非常に社会的意義のあるサービスになったと感じております。実際に、直後の友だち登録数は電車約3.3倍、バス約1.5倍へ増加しました。
また、全国の鉄道会社様からも非常に多くのお問い合わせをいただき、全国的なニーズと汎用性の高さを実感いたしました。

福岡市から全国へ、
スマートシティムーブメントを巻き起こす

私たちは2年間、福岡市でスマートシティ事業に取り組んできました。昨今の感染症や自然災害から、私たちは福岡市だけでなく日本全国の問題を解決し、持続可能な社会に貢献すべきだと考えました。

現在は、私たちが今まで福岡市で取り組んできたことをオープンソース化し、全国の自治体で利用可能になるよう取り組んでいます。それと同じく、私たちの2年間60プロジェクトから得られた知見が全国のスマートシティ事業の成功に少しでも役立つことを願い、今回ノウハウを公開しました。

これからも私たちは、市民・企業・団体との共創を通して、福岡市から全国へ、スマートシティムーブメントを巻き起こすためにチャレンジしていきます!

それでは、また次の記事にて。


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