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小規模塾の存在意義は、たぶんほぼこの1つに集約されると思う理由【意外に淘汰されないメリットとガラスの天井のデメリット】
現在、私は小規模塾に勤務しています。
これまでも大きな塾での勤務は避けてきました。理由については、いつか書きたいとは思っていますが、ひとつ言えるのは、スケールメリットを追求する塾は、講師の「個」を認めないという点があります。
それは、当然のことで、スケールメリットを追求することは、サービスの均一化をしなければ成立せず、講師の「個」などは邪魔でしかない。
大規模塾は、提供するサービスが市場性があるかどうかで判断される。その要素に均一性は含まれるため、講師の「個」はノイズでしかない。そのため、サービスを突き詰めて行くと、結果として洗練された情報に行きつくのではと思っています。それが、↓の記事に書いた帰結になるのだと思っています。
大手予備校が提供しているサービスの基本は、「合格できそうな受験生に確実に合格してもらう」ということだからです。
大手予備校には、膨大なデータが蓄積されています。それは、どのような受験生がどのような大学に合格しているかを把握しているということです。
多大な投資をして、このような情報を得ている大手予備校がよく理解しているのは、成績が急上昇するパターンは、ほとんど起こらないということです。
また、大手予備校が結果として「情報提供媒体」となっていくのは、必然なのだと私は理解しています。
もしかすると、将来予備校はライブ授業を廃止し、映像授業にのみ特化し、あとは模試の提供を軸とした情報サービス企業となっていくのではと思っています。
では、私が勤務しているような小規模塾の存在意義は何でしょうか。
それは、大手予備校やスケールメリットを追求している塾ができないことができるからというのが今も昔も変わらない理由なのではと思っています。
それが、基礎学力を上げるということです。
私は、この点にこだわってこれまで仕事をしてきました。だから、大手は最初から選択肢に入っていません。一度、助っ人で中学生の夏期講習に入りましたが、
「これでは、成績が上がるはずもない」と思い知らされた経験も大きいです。
よく、大手が進出しているエリアでは、小規模塾が駆逐されるという説がまことしやかに流れますし、私も一時期そのように考えていた時期もありましたが、最近は役割が違うのであれば、生き残ることは可能であると考えるようになりました。
これはサービス業の面白いところで、基礎学力に問題を抱える生徒や保護者は、最初から大手は選択肢に入っていない。
小さい塾で丁寧にみてもらいたいというニーズは小規模塾を存続させるだけの市場はあるということなのでしょう。
そうであるならば、小規模塾のとる戦略はこの一点に絞っていくことでいいのではと思っています。
一方で、小規模塾の宿命というものもあります。
それは、難関大や医学部などは、大手でないと合格は難しいという先入観は、かなり強固であるということです。
勤務塾でも流出は、上位層に偏る傾向があります。ただ、追跡調査をしても大した結果になっていないのも事実のようです。
多少手前味噌ですが、これまでの基礎学力の向上を意図したカリキュラムを放棄したのですから、学力養成の基盤が崩れていることを理解されていないのかなと思います。
これが大手のブランド力の強さであり、世間的な認知の強固さの証明になっているのでしょうが、それは小規模塾の抱える構造的なデメリットだと割り切るしかないと思っています。
塾選びは、時に人生をも大きく変えるものでもあります。
京都大学に合格された生徒さんのお母様は、ご自分の習い事の帰りに、たまたま見た勤務塾の看板を見て、ホームページにアクセスされたのが縁だったと聞いています。
大手予備校やそれに準じる塾を選んでも、ちゃんと志望校に合格していく人たちはたくさんいます。
ただ、それがお子さんにも当てはまるの見極めは保護者の眼力であるかなと思っています。