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3年0学期導入は、当然の帰結。難化する共通テストが要求する受験勉強スケジュールの問題【#共通テスト2025】
産経新聞が、興味深い記事を出しています。
高校2年生のこの時期を3年0学期と位置付ける学校が増えているということです。
個人的には、何の驚きもなく、学校の先生方の危機感が表に出てきた動きということではと受け止めています。昨今の受験の変化において、この取り組みは当然だと思うからです。今後この動きは広がっていくのではと思います。
記事にもあるように、年内入試という視点で見るととても合理的です。
3年0学期というかたちで早めに進学や受験への意識づけを行う指導は進学校より中堅校と呼ばれる高校で有効なのではないか。試験時期の早い総合型選抜や学校推薦型選抜、いわゆる〝年内入試〟の希望者が多い学校ほど3年ゼロ学期が有効だ
ただ、私は最も合理性が高いと思うのは、やはり一般入試組であり、特に国公立大を中心とした受験生に共通テストへの意識を高めてもらう点が大きいと思っています。
センター試験から共通テストに変わり、違いがはっきりしてきた点も含め、共通テストへの意識は可能な限り早めに高くすべきだと思います。
というのも、私は、共通テストへの具体的かつ効果的な「対策」が年々薄れていると思っているからです。
特に理科について、それが顕著に出ていると思っています。
理由は2つあって、
ひとつは、問題の予想が難しくなったこと。
そして、もう一つは、難易度が上がり、2次・私大対策との境界線が曖昧になっている点です。
前者でいうと、共通テスト理科については、科学現象を与え、それを思考させる問題を重視する傾向があり、このような対策は、問題の予想が難しく、短期的な学習で効果を上げるのは困難です。
特に医学部(医学科)の受験生の場合、ここ数年80%前半の得点率がボーダー近辺である以上、これらの問題が「できない」では済まされない。
また、後者でいうと、2次・私大レベルとの境界が曖昧になっていることは、共通テストを受ける段階で、ある程度の「完成」は求められているということだということです。
従来なら、2月末までに到達すればよかったレベルが、約1か月半程度前倒しになる。それは、理科だけではなく、他の教科でも同じことが言えると思っています。
これは、スケジュールの問題でもあり、スタートを早めるのはやむを得ないところがあります。
高2生のこの時期は、文字通り、入試1年前であり、3年に上がった段階で、「そろそろ受験生だな」という認識では十分ではなく、ましてや「部活を引退してから本格的に受験勉強だ」という認識では、難関大・難関学部では、遅すぎる。
この時期に、学力の問題ではなく、スケジュールの問題で志望に届かない受験生は結構いるのではと私は見ています。
求められる到達点が高く、その時期も前倒しとなっている。これは、センター試験世代の保護者でも実感しにくいのではと思っています。
それだけ、共通テストは入試の常識を塗り替えたのだろうと私は思っています。
であるならば、高校2年のこの時期からのスタートは、早すぎることはなく、スケジュールの問題で負けないためには必須であると言えるのではと思っています。