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国公立大医学部入試を「さらに難しくする」ニュータイプ受験生の存在とは【共通テストが生み出す新しい学力観になりえるか】

共通テストが終わりました。塾には、昨年の受験生も顔を出してくれる方もいます。その中に、進学した大学を中退し、再チャレンジしている方がいます。その方も共通テストのデータをくれたのですが、これが大変興味深い。

その方は、歯学部を目指しているのですが、点数の出方という点では医学部医学科(以下医学部)受験でも当然あり得る展開だろうと思ったので書いてみます。

今年も国公立大中~下位の所謂、地方医学部は、得点率80%前半の攻防になっている印象です。センター試験時代は、90%超が目安のラインだったので、約1割ほど下がっている印象です。

これが新しい受験生を生み出しているのではと思っています。

というのも、先の受験生。理数系の科目は、パッとしないにもかかわらず、英語は満点に迫り、国語と社会が8割台半ば。志望の歯学部は、頭二つ抜きんでてのぶっちぎりのA判定となっています。

このような得点の出方をする医学部受験生は当然存在するでしょう。
例えば
英語R95 英語L95 数学ⅠA75 数学ⅡBC70
国語170 物理80 化学70 社会85 情報85 計825点
で判定(河合塾のバンザイシステム)をかけると

地方医学部の学校でぞろぞろとC判定が出てきます。

もちろん、ボーダーラインの攻防となるように私が数字を調整したモデルでやっているとは言え、この数字のバランスでも医学部の挑戦権は十分得られるということは言えると思います。
(今年度に関しては、化学70点は著しく悪いとは言えませんが)

これまでの常識では、ちょっとありえない展開とも言えます。

その最たる理由が、先ほど述べたように国公立大医学部のボーダーラインが下がっているという効果でしょう。理数系科目の成績上位層がセンター試験時代のようには高得点が取れないことがその理由として大きいと思っています。

これまで医学部入試を席巻していた、理数系で圧倒し、文系教科がほどほどの受験生は、かつてほど無双できず、文系教科の伸び悩みで苦戦する様子を現場で見ていることもあり、医学部入試は新時代に来ているなと感じます。

このようなタイプの医学部受験生が旧帝大以上の医学部に合格できる可能性はほぼないとは思いますが、地方医学部であれば、マネジメント次第で逃げ切れるパターンも出てくるかもしれません。

理数系で圧倒する受験生は男子に偏り、数学で無双することもあり、地道な努力をしない、時には馬鹿にするタイプの方が時々おられますが、そのような方にはすでに逆風が吹き始めています。

一方で、このように、文系教科をハイスコアで固め、理数系科目は、ボーダーに何とか迫るというタイプの受験生にチャンスが広がっている。このようなタイプはやはり女子に多い。

その意味でも今後、医学部の合格者の男女比は1:1に迫っていくのでしょう。

今後の国公立大医学部入試は、さらに「難しい」時代になったと見ています。その「難しさ」の質が大きく変化しているとも言えます。
その意味では、従来の受験産業は、大きな転換点に来ているとも思っています。

私見として映像系ですら、時代に徐々にマッチしなくなっていると思っていますが、このことはさらにその視点を強化させていると感じています。

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