難関大受験生は、化学の「地味な進化(深化)」に気をつけよ【アミノ酸の構造式はどこまでかけるべきか問題】
今回は、化学について。
入試問題は、進化(深化)しているかどうかは、評価が難しいところではありますが、理科については、地味に難易度が上がっているとみています。
その底上げに貢献(?)しているのは、東大(日本最難関)であり、地方旧帝大(地域最難関)であり、そして、共通テストです。
とりわけ、共通テストの影響は大きいと思っています。
今回のテーマに沿うと、化学では、試行問題で、これまで難関大出題カテゴリーとして扱っていいのではと思われた、酸化還元のCOD(化学的酸素要求量)が採用されたことで、様相が一変したと思います。
また、溶解度積もグラフを使った試行問題で扱われたこともあり、パターンに収斂しやすい問題は、標準的な問題という雰囲気がでています。
そんな化学の単元で進化(深化)していると感じるのが、アミノ酸の問題です。アミノ酸が多数結びついた、ペプチドの構造決定は、アミノ酸を情報として確定させる必要から、あまり難易度の高い問題を作れない制約がありましたが、徐々に前提のハードルが上がっている。
ようは、グリシン、アラニン以外の構造も知っておけよという前提でよくね?という雰囲気です。
2019年の名古屋大の問題でいうと、
という前提において、
アミノ酸とエステル化反応したことからアミノ酸にカルボキシ基が2つ存在していることを導いていますから、グルタミン酸にカルボキシ基が2つあることは、解く上で必須の情報になる。
すでに、システインに硫黄が含まれていることは、センター試験に出題されているので、アミノ酸は、徐々に知っておくべき構造の前提のハードルは、上がっていると考えていいのでしょう。
この名古屋大の問題で出てきた、チロシン(ベンゼン環をもつ)、グルタミン酸(二つのカルボキシ基をもつ)、リシン(二つのアミノ基をもつ)は難関大レベルでは、構造がかけるべき「必須アミノ酸」なのではと思っています(塾に来ている受験生には、ロイシン、イソロイシン、バリンも推奨しています)。
昔は、グリシンとアラニンだけで十分という時代もあったように思うだけに、今の受験生は、大変だと感じます。
ちなみにこの名古屋大の問題の後半で出された
ペプチドの構造決定は、実験的考察という点で良問だと思いますので、難関大を目指す受験生は、挑戦する価値があるのではと思っています。