記述模試>共通テスト模試となる謎現象が定着した4年目の共通テスト【みんなが困っているテストを続ける意味は?】
共通テスト模試が今年も「順当に」荒れています。
ある程度、予想はしていたので、衝撃ではないものの、受験生を間違いなく混乱に陥れています。
問題はいろいろあると思いますが、最も問題として大きいものとしては、2点あると思っています。
理系科目の場合、
・出題内容が普段の学習と連動していないこと
(よく言えば、連動していないように見えること)
・時間という視点で、全体のバランスがとれていないこと
が挙げられます。
まず、出題内容が普段の勉強している内容と連動性がないことは、深刻な問題を引きおこしています。勉強の成果を実感できないという徒労感です。
出題されている問題が、普段解いている問題とのは違った形で出題されるので、どうアプローチしてよいのか皆目見当がつかないということが頻発しています。
当たり前ですが、受験生は受験のプロではありません。東大生や医学部生など半プロ化している人もいますが、それでも高校の内容を俯瞰的に理解し、視点を変えて出題されても本質にたどり着けるのは、本当にごくわずかです。
このようなポイントが見えずらい出題は、数学に顕著ですが、数学は大問があるため目立っているだけであり、物理化学も細かな設問をみると大同小異です。
問題は、出題がオリジナリティに固執されるあまり、何を問われているのかわからないとなっている問題が乱発されていることでしょう。
生徒が持ってくる質問に、絶句することが何度もあります。普段の勉強の意味を無力化させるような出題も珍しくない。これでは受験生が気の毒です。
ただ、そんな問題を乱造する出題する側に同情できる部分もあります。
出題する側の疑心暗鬼が見て取れるからです。確固たる考えがあっての出題とは思えない。何とか、過去問から読み取れるところをトレースしている感じが否めません。
そのため、同一の冠の模試でも方向性がバラバラになっている印象があります。結果として、「品質」の安定化ができず、模試ごとに玉石混交状態となっているのかなと感じます。
次に問題と感じるのが、時間配分の設定が崩れている出題が多いという点です。
生徒たちがよく口にするのが、「時間が足りなかった」ということ。
数学の場合、思うように解けない問題あたると大きなタイムロスが生じ、時間配分の失敗で失点するケースが目立つ。これは、大量失点となり、著しく数字を悪化させます。
この場合は、前者との関連があると思っています。
問題のクオリティが十分でなく、成績上位層でも想定される時間内に解けないケースが出ているからです。
その結果、現場で起こっているのは、
成績について、共通テスト模試は乱高下し、記述模試は安定化するという現象です。
これはセンター試験時代にはありえなかったことです。生徒によっては、ずっと共通テスト模試<記述模試という結果になっています。
九大模試でC判定だった生徒が直近の共通テスト模試でE判定という結果はこれまでの常識ではありえなかったことです。
共通テスト模試に不確定要素が模試ごとに存在し、5教科の中で、2~3しくじりポイントがあると一気にE判定に転落するというのが共通テスト模試の現実のようです。
共通テストについては、多くの受験生が不安や不満を抱えている。もちろん、学校の先生もそうでしょうし、塾や予備校業界の人たちもそのなのではと思っています。もちろん、私もです。
今後は共通テスト対策は、模試から対策問題集などに移っていきますが、こちらのクオリティは、模試以上にひどいことが予想されるので、対策演習という名の、もしかしたら、無意味でしかない演習を1か月頑張るのかと思うとやりきれない思いがします。
生徒には点数には一喜一憂せずに、問題というパーツ取りというイメージで対応するようにアドバイスしています。点数にはおそらく意味はないと思われるからです。
共通テストの対策演習の教材を作りながら、そんな暗澹たる気持ちになっています。
共通テストについては、みんなが困っている。
そんなテストをする意味って何なのでしょう。不満は爆発寸前という関係者は私も含め、多いのではと思います。