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センター試験時代の得点分布の復活と新しい学力観【2024年共通テスト化学分析】

この時期は、共通テストの解説を生徒に配布していることもあり、実際に解いて傾向を分析しています。

2024年の共通テスト化学は、いろいろ興味深いなと感じていますので、書いてみます。

まず、こちらで書いた、化学第5問についての見解は、的外れだったなと反省しています。

思考力という武器を使ってアプローチすれば、化学的な知識はさほど必要ない問題でした。

なので、スコアしてきた受験生は、
「難しそうに思ったのに、拍子抜けした感じだった」
「これでいいのかちょっと不安だった」
というコメントをしています。
確かにそうだろうなと感じています。

ただ、これは普段の勉強でいかに科学的視点を獲得しているかが、如実に表れるという問題でもあるのかなと感じます。
このあたりは、今後の課題になるなと思っています。

なので、医学部受験生に時々見られますが、化学に1ミリも興味がないけど、必要だからやるというタイプの受験生は考えを改めないといけないとも思っています。

もう一つ感じたのは、センター試験時代の得点分布が復活したのではないかということです。

センター試験時代は、平均点が上がろうが下がろうが、上位層は高得点というのが定番でした。今回の問題のようなセットならばこうなるということなのでしょう。

言い換えると、大学入試センターの出題担当の先生は、相当苦労してるのでしょうね。あまりに反応がデリケートで、狙い通りに点数をばらけさせるのは、今後も難しくなるのでしょう。

あと、一つ苦言を呈すべき問題があったと感じています。
第3問の問4bです。

これは、与えられた反応式から、CuClとCuCl2を消去した式を作れば簡単に答えが出ます。この解法の場合、CuCl2の40.5kgの情報はダミー数字と化し、まったく使わない。

一方で、反応のメカニズムを丁寧に追う解法は手間がかかり、さらに最後に残ったCuClをもとに戻すという工程を見落として間違ったという生徒もいました。

共通テストの趣旨を考えると、楽な解法を探すという思考の生徒より、化学現象に忠実にアプローチをする生徒を大切にすべきなのではないかなと思います。

一般入試の批判の一つに、問題が簡単に解けるための思考を追求しがちである点があるのではと私は理解しているので、このような問題はそれを助長しかねない。これは悪問といわれても仕方ないのではと感じています。

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