メリットに前のめりになる思考がもたらすものの恐ろしさ【「ダモクレスの剣」を大真面目に作ってしまう大阪万博のカルチャーとは何なのか】
大阪万博で、↓のような施設ができるのだそうです。
今のところ、大阪万博に行くつもりはないので、あくまでよそ様のことではありますが、こんな危ないものを平気で作ってしまう雰囲気がこの「イベント」にはあるのでしょうね。
これは、まるで「ダモクレスの剣」でないかというご指摘があります。
ダモクレスの剣については、寡聞にして知りませんでしたが、このようなことの例えだとか。
あんな巨大な石が、万が一落石したらどうなるのか。
死人が出ても不思議ではない。もちろん、最善の安全対策は施されるのでしょうが、ワイヤー1本で安全を担保するのはあまりに無謀ではないかなと思います。
海沿いの会場なのですから、腐食もありえますし、海風による振動によって、ワイヤーの強度は低下するリスクもある。
風速も読み切れない部分もある。夏を跨ぐ万博なのですから、台風などにより想定外の強風もある(台風一過、ワイヤーの劣化に気が付かない場合もありえる)。
あのような配置では、共振現象も怖いところです。有名なアメリカのタコマ橋の事故もある。想定の3分の1程度の風速で、この橋は落下したそうです。
リスクを第一に考えるのであれば、このような施設を作るべきではないというのが、常識的な発想ではないかなと思いますが、万博関係者には、そのような発想はないのでしょう。
そもそも、安全を脅かすのは、想定を超える現象でもあります。
万博会場の近くという点では、関西国際空港の事故が思い出されます。
万博会場も埋立地なのですから、台風だけなく、地震による液状化もありえます。
どんなにワイヤーによる強度を厳重なものにしても、そうでない要素で落下するれば、大惨事になる。
作るのであれば、万が一ワイヤーが切れても安全が確保されるべきですし、それが難しいのであれば、作るべきではない。
そもそも万博を訪れた人にそこまでのリスクを押し付けてでも作る施設なのでしょうか。このような思考には正直ついていけない。
メリットに前のめりになる思考とは、恐ろしい側面があると痛感させられます。