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ドラマに使われた洋楽について(90年代ドラマとともに..)
今年投稿した「90年代の80年代アイドルたち」や「ダイアナ・ロスと映画主題歌」と地続きな記事です。
近年はリスナーの「洋楽離れ」が話題になることもありますが、自分が20代を過ごした90年代は、まだまだ洋楽が元気だった時代です。
その証拠に、90年代にはドラマ主題歌に使われた洋楽曲が大ヒットするってことがけっこうあったんです。
その先駆けとなったのが、TBS系:金曜ドラマで放送された『想い出にかわるまで』の主題歌で使われたダイアナ・ロスの「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」です。
『想い出にかわるまで』
TBS系「金曜ドラマ」1990.1~
出演:今井美樹、石田純一
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結婚を間近に控えた二人(今井美樹さんと石田純一さん)に、衝撃的なことが起きていくドロドロ系のドラマでした。
姉の婚約者に思いを寄せる妹役に松下由樹さん、今井美樹さんといい感じになるカメラマン役に財津和夫さん!でしたね。
「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」ダイアナ・ロス
通常の流れであれば、主演が今井美樹さんなんで、バーターで主題歌の方も担当するパターンだと思うんですが、思いがけず洋楽曲が使われたんですよね。
当時、ヒット曲を出すには、CMやドラマ主題歌とのタイアップが必須で、ドラマに出演するバーターで主題歌も担当するってケースも多かった時代でした。
詳しい経緯は分かりませんが、ドラマの2年前、別の映画主題歌だった「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」を使うんですから、よほど、この曲がドラマのコンセプトや雰囲気にピッタリだったからだと思うんですよね。
この趣向は大成功して、シングルとして発売されたこの曲は、その年のCDシングル売上チャートで、年間10位にランキングされるほど大ヒットするのです。
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◎国内企画による洋楽主題歌
80年代にもドラマ主題歌に洋楽が使われることはあったのですが、ほとんどが国内シンガーによるカバーだったんです。
ただ「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」の大ヒットを境に流れが変わって、ほんとの洋楽も使われていくようになるんです。
中でも、ドラマの準備段階で、ドラマの内容を踏まえて制作される、いわゆる国内企画の曲が登場してきたのも、この時代の特色なのです。
『もう誰も愛さない』
フジテレビ系「木曜劇場」1991.4~
出演:吉田栄作、田中美奈子、山口智子
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あっという間にストーリーが展開するので、ジェットコースター・ドラマと呼ばれてました。
終盤に主要人物のほとんどが死亡したり、暴力描写もドギツイものが多かったので、現代では制作困難だと思うのですが、その分、自分にとって記憶に残るドラマになっています。
主演の吉田栄作さんがギラギラしてる時代なんですが、当初は脇役としてしか見てなかった山口智子さんの変貌ぶりが震えるぐらい凄かったのです。
あまりにもインパクトがあったので、その後、『ダブル・キッチン』や『29歳のクリスマス』、『ロングバケーション』で、あんなに可愛く見えるなんて思いもしなかったです。
そして、このドラマで使われたのがビリー・ヒューズの「とどかぬ想い」でした。
各話のクライマックスでは、ちょっとした急展開が描かれるのですが、そこに流れるこの曲がピッタリでした!
「とどかぬ想い〜Welcome to the Edge〜」ビリー・ヒューズ
国内企画カテゴリーで紹介していますが、正確に言うと、過去、アメリカのドラマに使われた劇中歌を、Wink がカバーして、それをこのドラマに合わせてビリー・ヒューズ自身がセルフカバーしたものです。
ビリー・ヒューズ自身、日本では無名だったのですが、この曲は大ヒットして、年間チャート18位を記録しています。
ちなみに、原曲を聴いてもらうと分かるのですが、アレンジは、Wink のカバーでの門倉アレンジを踏襲しているので、洋楽カバーを経由した国内企画となってるのです。
「Welcome to the Edge」
「想い出までそばにいて 〜Welcome To The Edge〜」
日本語詞:及川眠子/編曲:門倉聡
歌:Wink
『恋人よ』
フジテレビ系「木曜劇場」1995.10~
出演: 鈴木保奈美、岸谷五朗、鈴木京香、佐藤浩市
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脚本:故・野沢尚による二組の夫婦を中心としたドラマです。
夫婦ものなのに『恋人よ』だし、もう、このポスター自体、その後の展開を想像させるレイアウトになってますね。
ある結婚式場で同日に結婚し、その後、近所で新婚生活を始めた二組の夫婦が実は… みたいな展開でした。
私にとっては、白鳥麗子で赤名リカである鈴木保奈美さんが、とにかく綺麗だった印象で、当初はドロドロかと思わせながら、終わってみれば、純愛もので、泣かされてしまいました。
そして、このドラマで企画されたのが、世界の歌姫セリーヌ・ディオンによる主題歌でした。
「トゥー・ラヴ・ユー・モア」セリーヌ・ディオン
先日のパリ五輪の開会式でも感動的な歌声を聴かせてくれたセリーヌ・ディオンなんですが、この「トゥー・ラヴ・ユー・モア」も心を揺さぶる名曲です。
当時のセリーヌ・ディオンは注目株のシンガーではあったものの、『タイタニック』の前ですからね~、この起用は慧眼です。
この曲、ドラマのためにデイヴィッド・フォスターが書き下ろしたもので、葉加瀬太郎さんをはじめとするクライズラー&カンパニーが参加してるのも話題になりました。
結果としてミリオンを越える大ヒットで、年間チャートでも20位にランキングされています。
『真昼の月』
TBS系「木10ドラマ」1996.7~
出演: 織田裕二、常盤貴子
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正直に言うと、序盤の重たさに耐えられず、自分はリタイアしてしまったドラマです。
健気な常盤貴子さんを支える織田裕二さんが、いつもよりシリアスめに演技していたのが印象的です。
自分にとって、常盤貴子さんに薄幸なイメージあるのは、このドラマの影響なんですかね。
そして、このドラマの主題歌に起用されたのが、なんとスウィング・アウト・シスターでした!
この起用は、ちょっと意表を突かれました。
「あなたにいてほしい」スウィング・アウト・シスター
自分としては80年代後半の「ブレイクアウト」や「サレンダー」あたりのイメージで、90年代になってからは、あまり耳にしてなくて、何か久しぶりに姿を見た感じだったんです。(いつの間にか二人組になってたし…)
ドラマのために書き下ろされたこの曲は、ダウナー系ではあるものの、何とも言えない浮遊感があって印象的ですよね~、大好きでした!
セリーヌ・ディオンほどの大ヒットにはならなかったのですが、それでも30万枚を越えるヒットになっています。
『協奏曲』
TBS系「金曜ドラマ」1996.10~
出演: 田村正和、木村拓哉、宮沢りえ
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当時、TVドラマ業界で主役をはるトップ俳優同士の共演が話題になりました。
様々なドラマで主役を演じてきた田村正和さんと、『ロンバケ』後、飛ぶ鳥落とす勢いだった木村拓哉さんという関係性が、そのまま配役上の関係と相似形を見せていたドラマです。
そして、この二人の間を揺れ動く女性に宮沢りえさんという…
これでヒットしないはずがない!という布陣ですよね。
さて、3人の奏でる協奏曲の結末はどうだったのか?…
「アルフィー」ヴァネッサ・ウィリアムス
このドラマ、全編にバート・バカラックの曲が使われていて、主題歌に使われたスタンダード「アルフィー」についてはヴァネッサ・ウィリアムスが歌ってました。
俳優でもシンガーでも活躍していたヴァネッサ・ウィリアムスの歌声は、豪華な配役に相応しい余韻を残してくれたのでした。
※ 国内企画ではないけれど…
『29歳のクリスマス』
フジテレビ系「木曜劇場」1994.10~
出演: 山口智子、松下由樹、柳葉敏郎
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共同生活を送ってる3人それぞれの恋模様や選択を描いたドラマですが、とにかく共同生活の様子が楽しそうで羨ましかったです。
途中で入る字幕が印象的でしたが、このドラマの結末も、なんともいえず、らしい結末でした。
そして、この名作ドラマの主題歌に使われたのが、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」でした。
「恋人たちのクリスマス」マライア・キャリー
最初に言っておくと、この曲は、国内企画ではありません。
ただ、ドラマが放送されたのは10月20日で、この曲を含むマライアのクリスマスアルバム『メリー・クリスマス』がリリースされたのは10月30日と、ドラマ先行だったんですよね。
言ってみれば、日本国内におけるタイアップだったんです。
マライア・キャリーの当時の勢いと楽曲の良さ、そしてドラマのヒットと、相乗的に「恋人たちのクリスマス」は大ヒットします。
もちろん、世界的なヒット曲で、クリスマスの定番曲となっていくんですが、自分たち世代にとっては、やっぱこのドラマとセットの記憶なんです。
◎野島伸司 ✕ TBS系「金曜ドラマ」の主題歌
さて、国内企画ではないんですが、90年代ドラマでの洋楽主題歌を語る上で、外すことのできないのが脚本家:野島伸司シリーズです。
タブーとされてきた社会問題等を露悪的に描き、センセーショナルなドラマ作りで、常に話題だった野島伸司さんは、90年代を象徴する脚本家さんですね。
野島伸司さんは、出演者のバーターによる主題歌や有名アーティストの新曲などを嫌い、あくまで作品世界に合った曲を選ぶ人だったというのは有名で、そのため、野島作品では過去の曲を主題歌とすることが多く、特に、TBS系「金曜ドラマ」では、70年代の洋楽作品が使われていました。
『人間・失格 -たとえばぼくが死んだら』
TBS系「金曜ドラマ」1994.7~
出演: 赤井英和、桜井幸子、堂本剛、堂本光一
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教師と生徒の禁断の関係を描いた『高校教師』に続いて、野島伸司シリーズ第二弾となったのが、この『人間・失格 -たとえばぼくが死んだら』でした。
このドラマでも、イジメ、体罰、虐待、自殺が露悪的に描かれて、前作以上にドギツいドラマになっていました。
イジメや体罰を受け自殺してしまった息子のため、父親役の赤井英和さんが復讐していく後半もかなりえぐかったです。
そんな救われない内容のドラマの主題歌に起用されたのはフォークデュオのサイモン&ガーファンクルでした。
「冬の散歩道」サイモン&ガーファンクル
ドラマの内容に、サイモン&ガーファンクルは不似合いに思えるのですが、使われた「冬の散歩道」は、ロック色の強い曲で、歌詞なんかを見ると、意外とハマってる感じなんです。
この曲の他に「水曜の朝、午前3時」や「明日に架ける橋」もエンディングに使われることがありました。
『未成年』
TBS系「金曜ドラマ」1995.10~
出演: いしだ壱成、香取慎吾、反町隆史
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野島伸司シリーズ第三弾です。
青春群像劇というか、けっこう鬱屈としていて暗かった印象です。
いしだ壱成さんや香取慎吾さんに加えて、まだ無名だった反町隆史さんや浜崎あゆみさんなんかも出演してました。
そんな暗い感じだったのに、使われたのは幸せの予感溢れるカーペンターズの曲でした。
これって対比的なチョイスだったんですかね。
「トップ・オブ・ザ・ワールド」カーペンターズ
「青春の輝き」カーペンターズ
この二曲の他、挿入歌としても数々のカーペンターズのヒット曲が使われたんですが、ドラマ後に発売されたベスト盤が大ヒットするんです。
それぐらい野島作品は影響があったのです。
『美しい人』
TBS系「金曜ドラマ」1999.10~
出演:田村正和、常盤貴子、大沢たかお
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野島作品の過激さには批判も多かったですが、シリーズ第五弾のこのドラマでは、DVが描かれているものの、かなり大人しめの作品でした。
夫の暴力から逃げてきた常盤貴子さんが、顔を整形したいという事で、田村正和さんが、死んだ妻の顔に似せて整形したことからドラマが始まっていくのです。
主題歌として使われたのはジェーン・バーキン!
「無造作紳士」ジェーン・バーキン
これまた絶妙なチョイスですよね~
原題の ”L'aquoiboniste” の邦題が「無造作紳士」ってのはいただけないのですが、囁くようなバーキンの歌声は、ドラマの雰囲気にもピッタリでした。
他にも、同じくバーキンの「哀しみの影」も使われています。
『ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ』
TBS系「金曜ドラマ」2001.1~
出演:滝沢秀明、深田恭子、内山理名、窪塚洋介
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野島シリーズ第六弾なんですが、この作品は 00年代のドラマです。
まあ、正直に言うと、このドラマはちゃんと観てなかったりするんですが、ポスターの4人に先生役の石田ゆり子さんを加えた5角関係の様子が描かれています。
そして、主題歌には ABBAのヒット曲が使われています。
「S.O.S.」アバ
「チキチータ」アバ
アバの起用も絶妙なタイミングで、これまたリバイバルブームとなりました。
70年代に活躍したグループだったので、私の記憶の奥にも残っていて、ドラマは真面目に観てなかったくせに、ブームにはちゃっかり乗って聴いてました。
『Strawberry On the Shortcake』っていうタイトルが先か、アバの「S.O.S.」が先だったのか、このマッチングの順序を野島先生に聞いてみたいですね。
◎ここで主題歌クイズ
すみません、だいぶ字数が多くなっているのですが、やっぱ最後は恒例のクイズで締めさせてください!(←まとめきれなかった曲を並べてるだけやろッw)
次の①~③の曲が使われたドラマは何でしょう。
①「若葉のころ(First of May)」ビー・ジーズ
②「ムーンライト・セレナーデ」シカゴ
③「トーキョー・ジョー」ブライアン・フェリー
◎ ◎ 答 ◎ ◎
①の答
映画『小さな恋のメロディ』でも有名なビー・ジーズの「若葉のころ(First of May)」が主題歌だったのは、TBS系「金9」で放送された『若葉のころ』(1996.4~)です。
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曲名と同じタイトルなんで、簡単ですよね。
KinKi Kids の二人にとって、CDデビュー前の共演ドラマ第二弾でした。
②の答
シカゴがカバーした「ムーンライト・セレナーデ」が使われたのは、フジテレビ系で放送された天海祐希さん主演の『シングルス』(1997.10~)です。
子供は欲しいが結婚はしたくないという3人の女性を描いたドラマで、俳優に転身して間もない天海祐希さんの演技が印象的でした。
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③の答
ブライアン・フェリーが歌う怪しげな「トーキョー・ジョー」が使われたのは、フジテレビ系「水曜劇場」で放送されたキムタクドラマ『ギフト』(1997.4~)です。
RCの清志郎さんをはじめ、木村拓哉さんの周りを固める役者さんがくせ者ぞろいで、けっこう好きだったんですよね~
ただ、ドラマで登場したバタフライナイフが少年たちに流行し、深刻な事件が起きたため、再放送や長らくDVD化もされなかった作品なのです。
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ドラマ主題歌に使われた洋楽を、90年代ドラマを中心に振り返ってみましたが、けっこう忘れてたけど観てたドラマじゃなかったですか?
実は、この記事、note友のみとんさんとうわの空さんが、ゆる~くやってる「ドラマ談義」とも地続きだったりします。
なんか、昔観てたドラマの思い出を刺激されたんですよね。
note投稿では、80年代カルチャーが中心の自分なんですが、TVドラマになると、やっぱ90年代が中心になってしまいます。
トレンディドラマって言葉や、ヒット曲はドラマ主題歌からっていう定説も登場して、90年代はドラマ隆盛で華やか時代でした。
そんな時代だからこそ、洋楽主題歌が実現したんでしょうね。
さて、今回、紹介したもの以外にも、イーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」が使われたあのドラマや、ジョン・レノンの「 スターティングオーバー」が印象的だったあのドラマ等々、紹介しきれなかったドラマはまだあるのです。
最後に、意外な組み合わせに感じたあのドラマ主題歌を掲載しておきますので、何のドラマだったのか思い出してみてください!
「僕の歌は君の歌」エルトン・ジョン
今回の記事に合わせてプレイリストを組んでますのでご活用ください。
(国内企画の洋楽関係 note )
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