世界の本田美奈子. (アイドルの枠に収まりたくなかったシンガー)
Global HONDA.
今回、”note” するのは
本田美奈子.さんです
あどけない顔立ちや華奢な身体でありながら、その伸びやかなヴォーカルで魅了してくれた方です。
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本田美奈子.さんって、アイドルとして紹介していいのか、ちょっと悩ましいんですよね。
デビュー前は "演歌路線" も想定されていたぐらい、群を抜いた歌唱力の持ち主であったのは間違いないのですが、そのキュートな容貌からアイドルとしてのデビューとなったのだと思います。
が、すぐに、アイドルの枠にハマらなくなってくんですよね。
私たち世代では、楽曲よりも、「へそ出しルック」をはじめとした、美奈子.さんのセクシーな衣装の方が、先に話題になったのです。
■■ セクシー・インパクト! ■■
本田美奈子.さんのセクシー路線、その根本にあったのが、1984年末から『ライク・ア・ヴァージン』で旋風を巻き起こしていた”マドンナ”のイメージだと思います。
本田美奈子.さんが1986年にリリースしたアルバムのジャケットを見ても、なんか、影響を感じますよね。
アイドル然としたアイドルでなく、あくまで個性をもったアーティストとして存在感を発揮すること、そのアピールが、あのセクシー路線だったのだと、今なら分かるんです。
ただ、このセクシー路線がですね~、当時、健全な高校男子だった自分にとってはハードルだったんですよ。
4thシングル『Temptation(誘惑)』の頃は、まだ、アイドルっぽいのですが、次の5thシングル『1986年のマリリン』では、メイクも濃くなって、へそ出し、ミニスカ、セクシーなダンスと、急変していった感じでした。
基本、華奢な感じなので、下品なセクシーさにはならないんですが、6thシングル『Sosotte』では、煽情的なフリもあって、かなり際どかったんですよね。健全な男子にとっては、ちょっと、前のめりには聴けない感じだったんです。
ソングライター陣に、松本隆さん、秋元康さん、筒美京平さんらのヒットメイカーをそろえていて、なかなかのラインナップだし、曲もいいんですけどね…
『Temptation(誘惑)』4th 1985.9
作詞: 松本隆/作曲: 筒美京平/編曲: 大谷和夫
『1986年のマリリン』5th 1986.2
作詞: 秋元康/作曲: 筒美京平/編曲: 新川博
『Sosotte』6th 1986.5
作詞: 秋元康/作曲: 筒美京平/編曲: 鷺巣詩郎
『Temptation(誘惑)』では、男性の誘惑にのるか、受け流すかで揺れ動く女性だったのに、『1986年のマリリン』や『Sosotte』では、その逆の、なかなかスキャンダラスな女性になってるのです。
アイドルではあったのですが、ちょっと、破天荒な雰囲気が、この頃から感じられてました。うん。
■■ ロックシンガーへのステップ ■■
80年代後半は、国内でも女性ロックの人気が高まってきた時代でした。
女性ハードロックグループ "SHOW-YA" や、ロックヴォーカリストの "浜田麻里" さんも活躍し始めた頃なんですよね。
本田美奈子.さんも、そんな動きを先取りするかのように、ロック色を強めていくんです。
『HELP』7th 1986.7
作詞: 秋元康/作曲: 筒美京平/編曲: 大谷和夫
いや、歌声もそうだけど、サウンドもかなりハードロックしてるんで、セクシー路線は抑え気味ながら、インパクト抜群なのです。
"浜田麻里" さんの『Heart and Soul』が1988年、 "SHOW-YA" の『限界LOVERS』が1989年だと思うと、かなり早いと思うんですよね。
『Oneway Generation』9th 1987.2
作詞: 秋元康/作曲: 筒美京平/編曲: 大谷和夫
ドラマ「パパはニュースキャスター」の主題歌で人気のあった曲ですね。この雰囲気であれば、美奈子.さんのセクシー路線にハードルを感じてた人も受け入れられるのです。
本田美奈子.さんには珍しく、明るく元気なトーンなんですが、どうでしょう、なんかバンドっぽくて、この後、1988年頃からブレイクし始める "プリンセス プリンセス" を彷彿とさせませんか?
このバンドっぽい曲調は、その後、12thシングル『孤独なハリケーン』にも継承されていきます。
『あなたと、熱帯』14th 1988.7
MINAKO with WILD CATS
作詞: 松本隆/作曲: 忌野清志郎/編曲: Paradigm Shift
そして、ついには、女性ロックバンド "MINAKO with WILD CATS" を結成します。女性ミュージシャンのロック・フェス「NAONのYAON」にも参加して、いよいよ、アイドルではなくなっていくわけなのです。
ちなみに、菊池桃子さんが "ラ・ムー" を結成したのも、同じ1988年の2月だったので、なんか、アイドル時代に変化の風が吹いてた感じですね。
■■ 海外アーティストとのコラボ ■■
本田美奈子.さんが、ロック色を強めていく過程で外せないのが、海外アーティストとのコラボなんです。
デビュー後、様々な海外アーティストの刺激を受けながら、けっこう洋楽好きになったみたいで、自分のアルバムを、あの "クイーン" に送ったっていう話も有名なことなんです。
『the Cross -愛の十字架-』8th 1986.9
作詞: 秋元康/作曲: Gary Moore/編曲: Guy Fletcher
この『the Cross -愛の十字架-』は、ギター・ヒーロー:ゲイリー・ムーアの提供曲ですからね~。ちょっとびっくりです!
そして、やっぱりムーアのプレイだ!みたいな楽曲なんですよ!、カッコいいです!
『CRAZY NIGHTS』10th 1987.4
作詞: 秋元康/作・編曲: Brian May
『GOLDEN DAYS』10th 1987.4
作詞: 秋元康/作・編曲: Brian May
そして、彼女の夢が実現した、 "クイーン" のブライアン・メイのプロデュースによる両A面シングルです。
『CRAZY NIGHTS』の方は80年代の "クイーン" って感じの曲ですが、『GOLDEN DAYS』の方は、じっくり聴かせるバラードです。
『HEART BREAK』11th 1987.6
作詞: 湯川れい子/作曲: Joe Jackson, Stephen Wilson
/編曲: 大村憲, John Wilson
『HEART BREAK』は、海外発売されたアルバム「OVERSEA」に収録されているシングルなんです。
そして、このアルバムをプロデュースしてる人たちって、実は、マイケル・ジャクソンのスタッフなんですよね。
ラトーヤ・ジャクソンが来日公演した際、本田美奈子.さんとジョイントコンサートを行っていて、その縁で、マイケルを始めとしたジャクソン・ファミリーとも親交を深めていった延長線上なんです。
な、なんか、スゴくないですか?
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本田美奈子.さんの(一応)"アイドル" 時代って、バンドを結成するまでの3年ぐらいしかないんです。
その間、全力で駆け抜けたって感じなのですが、振り返ってみても、その様子は "アイドル" って枠には収まりきらないですね~
短期間で、これだけの海外アーティスト達とコラボできてるのも凄いですが、それって、やっぱり本田美奈子.さんの歌声が魅力的だったからなんだろうなって思います。
シングル『GOLDEN DAYS』で、ブライアン・メイは、過度な装飾を避けて、本田美奈子.さんのボーカルをより聴かせるアレンジをしています。
そのおかげか、この曲って、ちょっと神々しい感じがして、後の『アメイジング・グレイス』を予感させる部分があるんです。
きっと、メイは、シンガー:本田美奈子.さんの魅力を理解してたんだと思うんです。
『アメイジング・グレイス』Minako Honda feat. Brian May
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