「ミステリー・トレイン」の最後に流れた映像は?
Mystery Train
「ミステリー・トレイン」は、1989年に公開されたジム・ジャームッシュ監督作品です。
ジム・ジャームッシュ監督といえば、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」など、洒落たモノクロ映像とオフビートな感じで、80年代後半のミニシアターブームの火付け役となった監督さんの一人ですね。
「ミステリー・トレイン」は、ジャームッシュ監督の ”カラー映画” であると同時に、永瀬正敏さんと工藤夕貴さんが出演することで話題なった映画でした。
この映画は、エルヴィス・プレスリーの聖地 ”メンフィス” のホテルを舞台にして、ホテルを利用する3組の登場人物によるそれぞれの出来事を、「ファー・フロム・ヨコハマ」、「ア・ゴースト」、「ロスト・イン・スペース」の3編のオムニバス形式で描いています。
オムニバス形式と言っても、各編は、”メンフィス” での同じ一夜の出来事だったりするんですよね。
なので、共通する登場人物がいたり、同じ列車、ラジオから流れるプレスリーの歌、明け方の銃声など、各編と共通するシーンが出てきたりするのです。
個人的に、このゆるやかに影響し合うオムニバスというところに、すごく作家性を感じたんですよね~。
やっぱりジャームッシュはすごい! と...
正直、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」については、物語的な魅力は感じなかったんです。
でも、この「ミステリー・トレイン」の仕掛けのある物語構成は大好きで、自分の中では、特に印象的なジャームッシュ映画なのです。
ジャームッシュ監督のオフビート感も、「ミステリー・トレイン」では、ちょうどいい感じ(自分にとってはですが..)で、けっこう笑わせてもらったりもしました。
各編に共通する登場人物である、このフロントの二人なんかは、ホントに面白かったです。
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自分にとって、この「ミステリー・トレイン」が印象的だったのには、もうひとつ理由があるんです。
実は、自分が観に行った映画館には、入口に貼り紙がしてあったんです。
「本編終了後にも映像が流れます。」
中にはエンドロールが始まると席を立つ人もいますからね。
なので、映画館側としては、最後の映像を見逃すことがないように注意書きをしてたんです。
まあ、大きなお世話的な貼り紙と思う人もいるかもしれませんが、自分としては、館の方の映画愛を感じたんですよね。
最後まで、ちゃんと味わってほしいと...
この「ミステリー・トレイン」の最後の映像については、物語に影響するわけではないので、観ても観なくてもみたいな感じなんですよね。
映画によっては、まだ、物語は終わってないんだ的な、オープンエンドを示唆する映像を入れたりするものもありますが、この「ミステリー・トレイン」では、そこまでの影響はありません。
ただ、ジャームッシュ監督が、なぜ、その映像を配したのか、その意図を考える方が面白かったりしたのです。
タイトルの元になったプレスリーの「ミステリートレイン」
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昔、観た「キャノンボール」や「プロジェクトA」みたいに、エンドロール中にNG集が流れたりすると、楽しんで観ることもできるのですが、基本、エンドロールは退屈な部分もありますもんね。
中には、エンドロールが10分以上流れるものあるので、人それぞれの考え方があるのかな...
ただ、エンドロール後に映像を配してることで、この「ミステリートレイン」が、自分にとって、より印象的な映画になったことは間違いないのです。
(関係note)
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何となく、記事が終わったと見せかけて、最後にプレスリーの「ブルー・ムーン」を....
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