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FUJIFILM フィルムシミュレーション 全14種類を使ってみた / X-S10-20 X100Ⅵ GFX100SⅡ
こんにちは。
今回は「写真・カメラ」についての企画モノです。
FUJIFILMのXマウントのミラーレス一眼を使って、フィルムシミュレーション全14種類について紹介します。
1種類につき、2~3枚程度の写真を掲載していきます。
(露光量補正のみで、その他の要素は原則撮って出し)
それぞれの特徴をとらえた上で、使用に適したシーン選びの参考にしてもらえたらと思います。
使用したカメラは以下のとおりです。
▲X-S10からX-S20へと世代を超えて、現在も愛用しています。
私にとってのオールマイティーカメラです。
▲X100ⅥとGFX100SⅡは一時期お借りしていたもので、現在は使用していませんが、どちらもそれぞれの良さがあるカメラでした。
フィルムシミュレーションとは
こちらはFUJIFILM公式サイトでの定義。
フィルムシミュレーションとは、撮影意図に合わせてフィルムを取り替えるように、発色やコントラストを変化させることができる機能です。
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彩度・階調の相関図
撮影シーン・被写体に応じて、イメージに合わせた発色等を撮影時に確認しながら選択することができる機能です。
写真管理ソフトでのレタッチとは違い、写真を撮影時に完成させるイメージですね。
いわゆる「写真品質」を逸脱しないように設定されているので、極端な表現になりにくいのも好感が持てるところです。
プリントして並べたとしても大きな違和感を感じない、そんな自然に近い雰囲気を崩さない仕上がりとなっています。
フィルムシミュレーション全14種類
PROVIA / スタンダード
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model : 芦川玲一さん
プロ用のリバーサルフィルムのスタンダードタイプ「フジクローム・プロビア」がベースとなっている。
多くの人にとっての「心地よい色味」を再現しており、風景から人物までどんなシーンでも使いやすい。
FUJIFILM 画質完全読本では「記憶色」という言葉で紹介されています。
素敵な言葉ですね。
色々なフィルムシミュレーションを使用して、最終的にここに戻ってくる、そんな基本的かつ心地よい色合いが魅力。
Velvia / ビビッド
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ネイチャーフォトで標準的に使用されるリバーサルフィルム「フジクローム・ベルビア」を基とし、鮮やかでメリハリのあるカラーが再現されている。
実際に見て感じた「鮮やかな景色」をしっかりと再現してくれる。
鮮やかと言っても、過度な彩度という感じではなく、色が飽和しないように調整されているあたりがさすがフィルムシミュレーションというところ。
ASTIA / ソフト
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リバーサルフィルム「フジクローム・アスティア」をベースとしているが、より鮮やかな仕上げとなっている。
「Velviaに比べれば(ソフト)である」、FUJIFILM 画質完全読本にはそんな表現で紹介されている。
ソフトという名が付いているが、コントラスト・彩度が低いという意味ではないので誤解の無いように。
肌色再現性と鮮やかさを両立させており、ポートレートで使用すれば血色の良い肌感を表現することができる。
クラシッククローム
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フィルムシミュレーションの中でも特に高い人気を誇っている色調。
抑え気味の彩度に硬めの階調、建物の質感がリアルに再現されるので、ストリートスナップを良い雰囲気に仕上げてくれる。
無機質な場面ではモノクロのような表現にもなるし、風景写真では空のトーンが抑えられ、シックな雰囲気を感じることができる。
PRO neg.std
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肌色を柔らかく再現してくれるので、ポートレートにも使いやすい。
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黄色が卵の黄身のようなパステル調で表現されるのが特色。
スタジオのライティング下での使用がメインの用途、と言われているが、屋外の強い光の下でも活躍してくれる。
軟調かつ忠実な発色により、ポートレートでは綺麗に肌色の再現がなされる。
後処理でカラー調整をするベースとするのにも適したシミュレーション。
PRO neg.Hi
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「PRO neg std」と同じく、「ニュートラル」な発色。
stdよりも硬調な仕上げで、シャドウ部はしっかりと引き締まって再現されるので、メリハリのある写りが期待できる。
ポートレートでは血色を抑えた高品位な肌色を再現することができる。
クラシックネガ
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▲こちらは動画で使用作例。
クラシッククロームと共にフィルムシミュレーションの代名詞となっているもの。
レンズ付きフィルム「写ルンです」の中のフィルムを再現したと言われている。
どこか懐かしい、そしてフィルム感溢れる色味が味わえる。
画質完全読本では、「アルバム色」という言葉が使われているが、まさに的を得た言葉だと思う。
ETERNA / シネマ
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映画用フィルムをベースとした、低彩度・最軟調な仕上がりが特徴。
広いラチチュードによりシャドウ部は非常に粘り強く、動画撮影に適している。
写真で使用しても、青空が特徴的な色味で写り、独特な表現を楽しめる。
ETERNA / ブリーチバイパス
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ETERNAに映画撮影で用いられた「銀残し」を適用した画作り。
低彩度だがコントラストが高く、半白黒の世界が再現されている。
明暗差の少ない場面でも、印象的な仕上がりを期待できる。
ノスタルジックネガ
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アメリカン・ニューカラーの時代と、作家たちのレンズの先にあった”過ぎ去った時間への憧れ”から生まれたルックがNOSTALGIC Neg.です。
写真においてカラー作品が生まれてきた頃のルックが再現された本シミュレーション。
シャドウに温かな感じがあるのが特徴で、この辺りに「ノスタルジー」を感じるのだと思う。
田舎や古い物に良く合うのはもちろんだが、意外とどんなシーンにも馴染んでくれる。
リアラエース
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シャドウは柔らかめ、ハイライトは硬めという特徴を持つリアラエース。
PROVIAと共にスタンダードなルックだが、彩度は少しだけ抑えめとなっている。
気負わずに日常をありのまま写す、そんな使い方にマッチするカラーだと思う。
ACROS
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“世界最高の粒状性 ” と称賛されたモノクロフィルム「ACROS」がベース。
従来のモノクロよりもメリハリの強い印象があり、締まりの良い黒が心地よい。
モノクロ
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こちらは従来の「モノクロ」。
PROVIAをベースにモノクロ化したもので、ベーシックな白黒写真を楽しめる。
▼一見、違いのわかりにくい「ACROS」と「モノクロ」を比較してみた作例記事です。
違いが見て取れると思うので、ご覧ください。
SEPIA(セピア)
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色褪せた懐かしさを感じさせる発色。
昔、使い捨てカメラの「セピアフィルム」を使用していた頃を思い出しました。
今でこそ当たり前に存在する色味ですが、当時はとても新鮮に感じたものです。
私のお気に入り3選
No3 : クラシッククローム
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この写真のコンクリートや空の色がなんとも好みです。
No2 : ACROS
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こんな素敵な後ろ姿が、さらに雰囲気良く写ります。
No1 : PROVIA / スタンダード
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やはりPROVIAの発色はいいですね。
「記憶色」という言葉どおり、心に残るようなルックです。
▲PROVIAで撮影した動画作例です。
やはりムービーにも適したルックですね。
おわりに
FUJIFILMのカメラで撮る時の大きな魅力の一つがこの「フィルムシミュレーション」の存在です。
場所や気分に合わせて色々と選択して楽しめます。
写真も長く続けていると、どうしても飽きがくる時期もありますよね。
そんな時、色々なルックを試していると、再び写真の面白さを認識するきっかけになったりもします。
ライトルームなどでのレタッチが一般的になった現在ですが、このフィルムシミュレーションなどを使用して、撮影時に写真を完成させるのもまた楽しいものです。
今回の作例が参考になれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
▲今回の記事では、この「FUJIFILM 画質完全読本」を参考にしています。
フィルムシミュレーションの情報だけでなく、作例として載っている写真を眺めるだけでもとても参考になります。
是非、ご一読ください。
▲クラシックネガと写ルンですの写真を比較してみました。
ご興味がありましたらご覧ください。