父への伝言
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文章はネガティブですが、筆者は元気ですので安心してください。
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パパへ
体調はいかがですか。
今日も仕事に行ってくれてありがとう。
仕事、嫌やんな。
それなのに毎日何十年も続けてくれてありがとう。
学費、浪人のお金、服のお金、出してくれてありがとう。
パパに感謝していること、いっぱいあるよ。
だから、私もパパのためを思って、20年一緒に暮らした私から、
これからのパパの人生が、少しだけ良くなるかもしれない助言をさせてください。
一度しか言わないから、よく聞いてください。
年始に病気をしてから、回復してるとは聞いているけれど、それでも、あのパパでも、年相応になってきたなあと思っています。
体がずいぶん、小さくなった気がします。
私は大変薄情な親不孝者ですので、
そんなあなたに対して、こう言い放ちます。
私はあなたの老後の面倒を、みません。
ごめんなさい。
パパは忘れていると思うけど、あなたから言われた嫌なこと、されたことは、心に刻み込まれて、たとえあなたが死ぬとなっても消えそうにない。
あなたが私にしてくれたことに対する感謝の気持ちを上からかぶせて、あなたから受けたトラウマを一時的に見えないようにすることはできる。
けれど、その下には、ちゃんと残っている。
恐怖と言うのは本能的なものだから、取り繕いようがないのです。
ですが、そんなことを言おうと思ってこれを書いたんじゃない。
ちゃんと、解決策を用意しています。
その解決策を言う前に、少しだけ聞いておきたい。
パパは、ママのことが好きですか。
ママのことを、愛していますか。
実の娘にこんなことを言われて、腹が立つでしょう。
あと少しだから、もう少しだけ。
パパが私に、トラウマになるようなことをしてきたとき、ママはよく私の相談相手になってくれました。
しかし、最近になって、そうもいかなくなってきた。
私にしたら、とても腹立たしい。
ずっと味方だと思っていたのに、そうじゃなかったと、怒りに似た感情を抱きました。
そこで、気づいたのです。
いや、前からじゃなくて最近そうなったんだと。
私や弟が一人暮らしをするようになって、あなたの面倒を見る人が家の中にいなくなりました。
ママは、あなたが私と弟にかけてた分の圧力を、一人で背負うことになりました。
その戦略の結果が、「あなたの味方になること」だったんだと思います。
帰省するたび、あなたは私が不快な気持ちになるようなことをします。
直接的な時もあるし、間接的な時もある。
けれど以前までママに相談したら共感してくれてたことが、ほとんどなくなっているんです。
その時にママが言う言葉があります。
「パパはかわいそうやねん」
ひどい言葉に聞こえるでしょうか。
私も最初はそう思っていました。
けれど、今のママの言うかわいそうは、
心からあなたの境遇を思って悲しんでいる。
そんな意味合いが正しいと思います。
20年間、パパとママのことを見てきた一家族としてはっきり言いますが、
あなたはママのことを日常的に精神的に苦しめていましたね。
それに対して自分を正当化する言い訳を何時間も言い続けて、謝罪もしませんでしたね。
何かにこきつけて、ママの方が悪い、下だと、嬉しそうに話してましたね。
たくさんの嘘をつきましたね。
それをそばで見ていた身にもなってほしい。
当事者だけでなく、それを見ていた周囲の人たちも、精神的苦痛があるのは、研究で明らかになっています。
でもね。
一番苦しんでいるのは間違いなくママのはずなのに、ママ、なんて言ったと思う?
「ママは慣れてるから。もう平気やねん。大丈夫やで。」
そう言って、
「パパな、小さい時かわいそうやったと思うわ。」
って。
前置きが長くなったけど、私が言いたいのは一つだけ。
残りの時間だけでも、ママのこと、大事にしてあげて。
こんなにもひどいことたくさんされて、
それでもまだあなたのことを許して、
あなたの境遇を悲しんでくれる人、
他にいない。
だから、精一杯、大事にしてあげてほしい。
大事にした方が良い。
そうじゃないと、本当に一人ぽっちになってしまうよ。
偉そうなこと言ってごめんね。
多分すごく怒っていると思うけど、ママはパパの味方やと思うから。
劣悪な環境で育ってきたと思うけど、パパは不幸なんかじゃないと思う。
パパほどの強敵を相手にできる数少ない人と、良い時期に巡り合って結婚できたんだから。
元気でいてね。
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