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FANTASTIC #03 "P.toys"

※これは、2016/10/8にLIKE THIS MAGに掲載していたものを引っ越した記事です。

こんにちはLIKE THIS SHOPのアクツです。
長崎県の大村湾に面した場所にある千綿駅。
駅舎からホームに向かう扉を開くと、大村湾に向けて階段が伸びている。
なんて不思議で美しい光景。
日本でも有数の「海に近い駅」らしい。確かに近い。
こんなにきれいと思った駅は初めてだった。
感動して騒いでいる僕に、連れて行ってくれた友人は一言。
「通学で使ったりしてた駅だから、普通の光景と思ってた」

この友人が東彼杵を拠点に木のおもちゃやドールハウス、家具やツリーハウスなどを製作したり、子供たちから大人たちまで楽しめるワークショップを開催しているP.toysの山田孟(以後マウ)である。
お父さんが立ち上げ、マウは二代目。
26文字セットの販売を開始した、LIKE THISオリジナルのアルファベットブロック「BABEL」の、材の仕入れから製造を受け持ってくれているのがマウだ。
東京で出会い、かれこれ10年くらいの付き合い。
そんなマウの地元に、やっと行くことが出来た。

穏やかな大村湾を望む場所に、築85年くらいの大きな屋敷を借りてマウは住んでいる。
今日のお宿はここ。
使っていない20畳の部屋、急な階段、どでかい金庫(中身空っぽ)、欄間の彫刻、ふむ、すべて「時代」がついている。
「実家はここからもう少し上ったとこで、築120年以上の家だよ」
実家の方が古くて、なんか安心した。
マウのお母さんが食事を用意してくれているという事で、さっそく築120年のおうちへ。

マウの両親と一匹(パッド)に挨拶をすませ、土間に通された。そこはなんていうか自由な空気のする土間だった。水場にかわいいタイル、年季の入ったカマド、パンにスープ、サラダにポテト。
とてもあたたかく、素晴らしいランチだった。
土地の物を食べると、どんどん自分がその土地になじんでいく気がする。
デザートは、近くの農家から頂いた苺がゴロゴロ乗ったお母さん特製のケーキ。
「外のデッキで食べよう」とお父さんがいい、みんなで土間からデッキに移動。
靴を脱がないまま土間で食事をしていたから、「外に出よう」と言われてもすごく気軽に外に出られた。
土足の生活もいいって思えた瞬間だ。

デッキで大きめに切り分けてもらったケーキを食べながら、話を聞く。
このデッキはもともとステージ用に建てたもので、お父さんがいろんなミュージシャンを呼んでライブをしてもらっているらしい。
マウの実家によく居たミュージシャンの一人が高田渡さんだという。
「いつも酔っぱらってるんだけどギター弾くとすごくうまい、と思ってたおじさんが渡さんだった」
という話をマウから聞いたことがある。
すげーいい時間が流れる。居心地がいい。
居着いてしまう理由がわかる。

そんな家の片隅に工房がある。
寝たり起きたりすること、食事すること、風にあたること、音楽を楽しむこと、モノを作ること、全てが平行にある感じがした。印象的だったのが、「いいなと思ったモノを見ると、それをどう作るか考えちゃう」という事。モノづくりの人たちの視点だと思った。

そしてこんな時間が流れる工房でBABELは作られているのだ。


BABEL BLOCK
NPO法人少年山荘

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