
多様な性の在り方とさっぽろレインボープライド2024
今年9月14日(土)、15日(日)の2日間、「さっぽろレインボープライド2024」が開催されました。2日間で約30,000人を動員、パレードには約1,000人が参加されたそうです。イベントを大成功に導いた、さっぽろレインボープライド実行委員長の柳谷由美さんにお話しをうかがいました。
2日間のイベント大変お疲れ様でした。
まず最初に、柳谷さんにとっての「多様な性」とはどのようなものでしょうか。
-移り変わっていくものだと思います。一人ひとりにグラデーションがあって、そのグラデーションはすべての人に当てはまるんじゃないかなと。
自分自身、性自認も性的指向も今現在ゆらぎがあると感じています。私にとってセクシュアリティを決め付けてしまうことは、他者とのかかわりの中でも、生きづらさを感じることになるんじゃないかなと思っています。いろいろな人がいますが、性の在り方を決め付けないで生きていきたいです。
ありがとうございます。
続いて「さっぽろレインボープライド」について教えていただけますか?
-活動内容としては、LGBTQの啓発に関することすべてです。一大イベントは9月に実施した【プライドパレード】です。当事者の存在を可視化したり、当事者同士をつなげたりすることが目的です。
その他、パレードの開催に合わせて関連イベントも実施しています。ジャンルを問わず様々な団体と一緒にLGBTQのことについて発信することを大切にしています。
また、道内の学校や企業、行政、地域への出前講座も行っています。「ジェンダー」「性の多様性」というテーマで呼んでいただくことが多いです。
昨年からは、札幌市が来年度制定を予定している「(仮称)共生社会推進条例」に関わって、「札幌市ユニバーサル推進検討委員会」の委員としても、当事者の声を政策に反映してもらえるように頑張っています。
そうなんですね。
プライドパレードは確かに印象的で、フィナーレのバブルリリースされた景色は感動しました。約1,000人の人が様々な思いを抱えてさっぽろの街を歩いた、ということでしたが、考えさせられるものがあるなと感じています。柳谷さん自身はいつ頃から関わられているんですか?
-2010年に「さっぽろレインボープライド」の前身である「レインボーマーチ」というイベントがあって、その時にボランティアとして関わったのが一番最初です。そのあと、2013年に「レインボーマーチ札幌ファイナル」の時に初めて実行委員として参加しましたが、残念ながらイベントは一度そこで終了となりました。その後、紆余曲折を経て、私が委員長を務める形で2018年に「さっぽろレインボープライド実行委員会」を立ち上げました。
その5年の間(2013年~2018年)でいろいろ社会環境が変わったことを実感しました。一番の大きな変化はアライ(当事者を支援したいと思う人)の存在だと思います。これからは当事者以外の人との相互理解が欠かせないと感じています。少しずつ、様々な年代・様々な立場の人が参加してくれるイベントになっていって、規模感も大きくなってきているんじゃないかなと感じているところです。

プライドパレード以外での変化は何か感じていますか?
-特に今年(2024年)は、当事者を取り巻く環境が大きく変わったなと感じました。「結婚の自由をすべての人に 北海道訴訟」では、札幌高裁にて同性同士の結婚を認めないことは憲法に違反しているという判決が言い渡されました。札幌市役所では、「さっぽろレインボープライド2024」当日にレインボーフラッグを掲げてくださいました。
少しずつ、地域の中に当たり前に当事者がいて、一緒に生きていることが共有されてきているように感じています。
そういった環境の変化もある中で、今後どんなことに力を入れていきたいですか?
-北海道内でも、LGBTQについて未だ十分に可視化されていない地域はたくさんあると思います。こういった地域格差もなくしていきたいです。今後は活動を北海道全域に拡げていきたいです。
わたしたちも人と人をつないでいく一助になる働きかけができるように、今の社会の現状と向き合い続けていきたいと思います。
貴重なお話をありがとうございました。