日本の食糧援助絡みのいろんな話(2)
先日は日本の食糧援助、こと KR の仕組みについてお話ししました。↓
上の記事でも記したとおり、
被援助国にお米が供与されるには、
事前にいろいろなことを
調べておく必要があります。
ここからは調査の段階での
興味深かったやりとりなどを
紹介していきますね。
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アフリカ西岸の小さな島国の受け入れ機関への
インタビューでのことです。
日本側:「お米が届いたら、すぐにそれを保管するための
政府の備蓄倉庫等はありますか」
現地側:「ありません。直接このために契約を交わしている
倉庫や商店のトラックに積んで、それぞれの行先に
持っていってしまいますから」
日本側:「では、そのタイミングを計るためのETA (到着予定時刻)の
周知方法などはどうしていますか」
現地側:「いや、とくに。大体の時期は皆分かっているし、船が
やってくれば皆すぐ気付くので、何の問題もありません」
おいおい、ン億円分のコメの管理がそれかよ!
と言いたくなるレベルですが、
3時間もあれば一周出来てしまう小さな島国でのこと、
よほど港から離れている場所の業者であっても
知人にでも船が入ったら教えてと言っておけば
それで用が足りてしまいます。
ましてや KR米が入ってくるのは、いわば年中行事ですから、
気付かない方がおかしいくらいなのです。笑
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そもそもお米はどのようにして運ばれてくるかというと、
先日PDFをご覧頂いたJICS さんのホームページの写真をお借りしますが、
↓
このような貨物船の船底に
コメ袋が詰められます。
写真説明には「船積み中」とあることから分かるとおり、
これは日本の港で撮られた写真です。
こちら ↓ の記事で説明したように
アフリカの途上国などに向けた貨物船は
このような小さめで
シップギア(船のクレーン)が付いているものが多く、
日本では写真にあるような
スリングバッグと呼ばれる網状の吊るし具を使って
荷積みしますが、
荷物が着いた先では、それすらないこともあり、
その場合、フォークリフト用のパレットにコメ袋を積み上げ、
その四隅にロープを掛けて
バランスを崩さないよう
そろりそろりと荷役作業が行われるため、
作業が果てしなく遅い…
なんてこともざらなのです。
ですから
小さな島国では慌ててトラックを出しても
待たされるだけというのが常識なのです。w
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それにしても
通常はフォークリフトが運ぶ荷物を積むための、
すのこ状のパレットに
かなり適当に手作業で積み上げられた米袋を、
そのパレットの四隅にロープを掛けただけの状態で
船の下で待ち受けるトラックに向けて
シップギアを使って下ろすという作業ですから、
どんなにそろりそろりとやったところで、
一旦パレットが傾けば、
一袋 30 kg ~ 40 kg のコメ袋が
バサバサドサドサと落ちてくることになります...。😱
※ 機械化がある程度進んでいる国でれば 60 kg 入りの袋でも構わないという
場合もありますが、アフリカの途上国では概ね船底でコメ袋をパレットに
乗せるのも、下りてきたパレットからトラックの荷台に並べるのも、全て
人海戦力に頼ることになりますから『荷役労働者に怪我人が出過ぎて困る
から 30 kg 以上の袋は勘弁』などと言ってくる国もあるのです。
また、そのような荷役方法が通常であると、
こんな会話の原因にもなります。
日本側: 「破袋分の予備の袋は10%でよろしいですか」
現地側: 「いや、20%は欲しい…。いやいや、25%だ」
日本側: 「えっ、そんなに?ちょっと多過ぎやしませんか?」
現地側: 「私も願わくば、そこまで使わなくて済めばと思うが、
現場は見て貰ったことがあるだろう。あんなだから
念には念を入れたい」
う~ん…、まあそう言われてしまうと致し方ないのだけれど、
それって袋を何か他に使いまわそうと考えているんじゃないかなぁ…。
そもそも、あのやり方ではロスが多いのも分かるけれど、
そのロスの半分は破袋ではなく水没して
回収不可能になるのではないかとも思われ…
などと思いつつも、
可能な限り、被援助国家側の要望に応える日本側...。
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いやはや、
書き出すと、いろいろ思い出すもので、
もう何回かこれ絡みの話をさせて頂くことになりそうです。
尚、明日は
先方政府の実施機関と消費者との間にある
お米の種類についての
意見の乖離について書かせて頂く予定です。
ひとまずは、ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました!
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↓
※ 「ニャニャッ!大きな袋が落ちそうニャ!!」、否、
「ギクッ ネコ」はこたつぶとんさんの作品です。
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