アンゴラの世界遺産候補 サンミゲル要塞 (Fortaleza de São Miguel de Luanda)
ポルトガル語圏の海沿いの主要都市に
必ずあるものといえば要塞です。
今回は
アフリカはアンゴラ共和国の
「Fortaleza de São Miguel de Luanda」
【フォルタレーザ・ドゥ・サゥン・ミゲール・ドゥ・ルアンダ】
(サンミゲル要塞 [ルアンダ])
をご紹介致します。
サンミゲル要塞は
1576年に完工したポルトガル植民地時代の要塞で、
アンゴラの首都ルアンダの
目抜き通りである湾岸通り、こと
Marginal de Luanda
【マルジナール・ドゥ・ルアンダ】
と
ルアンダ湾
(Baía de Luanda【バイーア・ドゥ・ルアンダ】)
を構成する砂州である
Ilha de Luanda
【イーリャ・ドゥ・ルアンダ】
(ルアンダ島)
の境目、つまり
ルアンダ湾の一番奥に位置します。
また、
この歴史ある建造物は、
1996年にアンゴラの世界遺産候補の
暫定リストに加えられています。
🏰🏰🏰🏰🏰
この要塞は現在
「国立軍事博物館」になっており、
歴史的遺物の数々を初め、
戦車や戦闘機・車両の他、戦時中の写真なども展示されています。
海岸通り側から
細い坂を上り切ると、
要塞の敷地の入り口があります。
すぐ手前に駐車場がありますので、
そこで車を降りて、
歩いて星形の門を潜り抜けたオープンスペースには
既に見ごたえたっぷりの
戦闘機 ↓ や、
戦車 ↓ などが展示されています。
このオープンスペースの先の
博物館の入り口(要塞本体の入り口)を抜けると、
戦前(ポルトガル時代)には街中に設置されていた
ポルトガルの偉人像などが配置されています。
これらは
独立戦争が勃発してまもなく
当時のポルトガル政府が
破壊行為などを恐れて
急遽
要塞へ運び込ませたのだそうですが、
緊急配備できる機材が限られていたこともあり、
4~5等分に切断した上で
運び込まれたものもあります。
いずれにせよ、
その後内戦時代に突入しても
どの像も破壊されるようなことはなく
無事であり続けたことは、
アンゴラ人の温厚さを示しているに他ならず、
あるモザンビーク人が
「アンゴラ人のことは必ずしも好きではないが、
ポルトガル時代の像などを要塞に運び込んで
大切に保管した点については尊敬している。
なにしろ我が国では
そのような歴史的な遺物の大半が
破壊されてしまったのだから…」
と嘆いていたのが強く印象に残っています。
🏰🏰🏰🏰🏰
2番の建物はメインの展示室で、
歴史的文書や武器・道具類が展示されている他、
建物の内壁全体が
アンゴラの歴史や自然を表す
美しいポルトガルのアズレージョで
埋め尽くされています。
こちら ↑ に描かれているのは
アンゴラの国獣でもある
ジャイアントセーブルアンテロープ
こと
「palanca negra【パランカ・ネグラ】」です。
ちなみにこのメイン展示室の
アズレージョは長い年月をかけて
復元されたものです。
私がここを初めて訪れた1997年には
建物全体がボロボロで、
アズレージョも
このような ↓ 状態になっていました。
それが復旧事業の末、
このように蘇りました。
🏰🏰🏰🏰🏰
このメイン展示室の周りの壁沿いに見える
テント状の屋根の下には
独立戦争で実際に使用された
車両や大砲などが展示されています。
🏰🏰🏰🏰🏰
3番の建物は、
独立戦争博物館です。
ここには当時使用された武器や拷問器具の他、
戦争の生々しい写真などが展示されており、
グロいものが苦手な方は
見ない方が良いかもしれません...。
🏰🏰🏰🏰🏰
4番の建物は、
オーシャンビューのレストラン、
Restaurante Marisqueira Forte Velho
【レシタウラントゥ・マリシケイラ・フォルトゥ・ヴェーリュ】
です。
肉料理も魚料理も絶品で、
味良し景色良しのワンダフルスポットです。
🏰🏰🏰🏰🏰
そして最後に
順序が逆になりましたが、
要塞の外側に見える1番の建物について一言…。
この1番の建物は、
これまた当初予定が遅れに遅れて
2020年11月にオープンした
ショッピングセンターの
Shopping Fortaleza
【ショッピン・フォルタレーザ】
です。
今般の流行病の最中のオープンとあって、
直前には職を求める若者がン千人も押し寄せたとかで、
ちょっとしたニュースにもなりました。
また、
それまではショッピングセンターというと、
遥か南の、道が混めば1時間以上かかる
ベラス(Belas)地区にまで行かねばならなかったので、
海岸沿いの人々にとっては
待ちに待ったショッピング施設ではあるのですが、
サンミゲル要塞には似つかわしくない
モダンな造りのこのショッピングモールが
「ルアンダのシンボルである要塞を覆い隠しているのは
断じてけしからん!!」
と、
非難の声をあげるルアンダの古くからの住民も
少なくないのです。
歴史と景観をとるか、
未来都市への一歩をとるかというのは、
どこの国でも
難しい問題のようですね…。
🏰🏰🏰🏰🏰
ちなみに日本語サイトを検索していたところ、
サンミゲル要塞のことを
「ルアンダ湾を囲む砂嘴の付け根にそびえる真っ白な要塞」
と謳っているサイトがありました。
サイトの情報は2017年のもののようですが、
その記事に載せられた写真が
2006年~2008年頃のもので、
事実、
サンミゲル要塞の改修工事の第一弾として
一旦真っ白に塗られてしまったことがあったのです。
しかしそれは
あまりにもそれまでの趣を剝ぎ取ってしまったような
結果であったため、
散々叩かれた挙句に
アズレージョの復元などを含む
大型プロジェクトの前段階に
元の「くすんだ色」を模した色合いに
塗り直されたのです。
このような誤情報が出現すること自体に
如何にアンゴラが
日本人には知られていない国であるかを
思い知らされる次第です。
🏰🏰🏰🏰🏰
「地雷だらけの国」、
「汚職がひどい国」、
「世界で最も貧しい国の一つ」
等々、
何も知らずに調べてみれば、
ろくな評判が見当たらない国ではありますが、
これまた
観光に力を入れていきたいと言いつつ、
プライドの高さも手伝い、
「もう少し良くなってから」、
「あっちの○○も完成してから」
と、
ただでも「宣伝力」の低い
ポルトガル語圏人が
出遅れに出遅れた挙句に
流行病にもタイミングを奪われた
末路だということができます。
今後
気楽に海外に行ける時代が戻って来た暁には
是非アフリカの未知の国アンゴラも
行先の候補に入れて下さる方が
出てきて下さることを
願って止みません。
お読み頂き、誠にありがとうございました!
※ 「未知を追いかけたいネ♪」、否、
「追いかける 子ねこ」はこたつぶとんさんの作品です。
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