ブラジルの「大袈裟な町」、イトゥー
ブラジルはサンパウロ州の
州都サンパウロ市から北西におよそ100キロ行くと、
「ITU【イトゥー】」
という素朴な田舎町があります。
50年程前までは知名度も低く、
見向きもされなかったこの町ですが、
ここで生まれた
Francisco Flaviano de Almeida
【フランシスコ・フラヴィアーノ・ジ・アウメイダ】
という少年が、
町にやってきたサーカスに魅せられ
その団員となり、
やがてテレビで大活躍する人気芸人になったことで
この町の運命が一変します。
「Simplício【スィンプリッスィウ】」という芸名で
一世を風靡したその人物は
1970年代初旬に大人気だった
「大人をおちょくる少年」のキャラクターに続いて
1970年代半ばからは
「Homem de Itu【オーメン・ジ・イトゥー】」
(=「イトゥーの男」)という
新たなキャラクターも大ヒットしました。
この「イトゥーの男」とは
イトゥー出身の大ぼら吹きのキャラクターで、
対話相手が何かを自慢したり、
世界一大きいものについてのうんちくを述べたりすると、
「な~に、そんなもの!
俺の故郷のイトゥーのものを見ていないから
そんなことが言えるんだ!」
と、桁違いの大きさをアピールして
笑いをとります。
この「イトゥーの男」が流行ると、
それまでほとんど誰も知らなかった
イトゥーという町に全国の関心が集まり、
なんでも大きなものは
「〇〇 de Itu【○○・ジ・イトゥー】」
(=「イトゥーの○○」)
と表現するのがブラジル中で流行りました。
日本でいうところの「新語・流行語大賞モノ」
といった感じです。
一方、現地のイトゥーの人達はというと、
よそ者から
「ほら吹き、ほら吹き!」とからかわれるようになり、
当初は快く思っていなかったようなのですが、
スィンプリッスィウの人気は留まるところを知らず、
やがてイトゥー市はこれを契機と捉え、
市を挙げて「大袈裟な町」としての
観光開発に乗り出したのです。
結果、
町の中央広場には
特大サイズの公衆電話が設置され、
信号もビッグサイズになり、
特大サイズのベンチなども置かれ、
今でもサンパウロ州の
はずせない観光スポットの一つとされています。
町を歩けば、
背高ノッポのマネキンに出くわしたり、
「イトゥーの麦わら帽子」をかぶったおじさんにだって
出逢えるかもしれません。
また、土産物にも定評があり、
イトゥーに行けば、
鉛筆だって、
消しゴムだって、
くしだって、
歯ブラシだって、
綿棒だって、
はたまた洗濯バサミだって、
なんと!ペロペロキャンディーまでもが
「イトゥーサイズ」です!👀
更に、お土産屋さんの入り口や店内に設置された
「イトゥーの公衆電話」や、
「イトゥーのブーツ」も
記念撮影スポットとして大人気です♪
ブラジル旅行に行ったなら、
イトゥーへもどうぞお越しくださいね♪
お読み頂き、誠にありがとうございました!
※「カメラマン ネコ」はこたつぶとんさんの作品です。