見出し画像

映画「バグダッド・カフェ」感想

「ハロー、ストレンジャー」

遠くドイツからやってきた女性・ヤスミンにかけられる軽やかな挨拶がこころに残りました。

誰もが異邦人。どこかから来て、どこかへ去っていく。
人生はつらいことのほうが多く、記憶に残りがちだけど、ほんのときどき、ひととひとという光が交錯してやわらかな陰を生み、胸に浸みるような喜びと希望に笑い合う――それが映画「バグダッド・カフェ」です。





今年の目標を少しずつ立てています。そのうちのひとつ、「映画をたくさん観る」を実行すべく、今日はかの名作「バグダッド・カフェ4Kレストア」を観るため池袋まで。

1987年の作品で、映画好きなら一度は通っているだろうという名作。わたしはお恥ずかしながら名前を知っているだけで、うっかり視聴の機会を逃していました。
そんなときに、たまたま高評価のレビューを見かけてぐぐってみたら、いま、4Kレストア版が都内のいくつかのミニシアターで公開されているとのこと。
劇場公開しているのもあってサブスクにはちょうど入っていないタイミングなので、もうこれは行くしかない! とチケットを購入。

ぎりぎりまで、「寒いから家出たくない~」とうだうだしていましたが、せっかくのチケットがもったいないので寒風に身をすくめながら出かけたら……

2025年最推しの映画になりました!

よかった……観てよかった!

砂漠の寂れたモーテルを経営する黒人女性・ブレンダは、不甲斐ない夫や勝手な子どもたち、苦しい生活にいつも激怒。

映画序盤から夫と子どもにギャンギャン怒鳴り散らし、「うお……ちょっと苦手ジャンルかも」と思っていましたが、やはり夫と喧嘩してひとり重いスーツケースをゴロゴロ引っ張ってきたドイツの女性・ヤスミンと出会うことで、ブレンダの膿んだ日常が少しずつ変わっていきます。

ポスターからもわかるとおり、青と黄色が印象的。
トラック野郎とバイカーしか来ないようなパッとしないモーテルを経営している細身のブレンダは、外国からの旅行者で、勤勉かつ綺麗好き、だけどちょっと変わっている大柄なヤスミンを怪訝に思います。

モーテルのオフィスは散らかりっぱなし、子どもたちは言うことを聞かない……そんな日常から目をつぶり、怒り続けるブレンダ。
ある日、彼女が買い出しに出掛けた隙に、ヤスミンは大きな掃除機でいたるところを掃除してしまいます。

ここから目が離せません!
まだまだブレンダは怒りっぱなしで、しまいには猟銃を持ち出すほど笑
思いどおりにならない日常に尖ってばかりのブレンダだけど、まじめでおもしろいヤスミンにだんだんとこころを開き、最後には温かい友情を結びます。

彼女たち以外にもおかしなひとびとがたくさん。
破天荒な娘のフィリス、かわいかったー!
みんなそれぞれに愛すべきところがあって、いびつで、この先どうなっていくんだろうと心地好いセンチメンタリズムを覚えながら、映画は終わります。



地球が爆発するとか、運命の恋がどうにかなっちゃうとかいう類いの映画ではなく、ただただ普通のひとが人生のある一箇所でクロスしていくという普遍的な内容が、なんだかやたら泣けて仕方なかった……。

ブレンダを怒らせたことにしょんぼりしたヤスミンが、ちょっとしたマジックを覚えて披露し、モーテルの客を、最終的にはブレンダを笑顔にしていくというシーンがあまりにも素敵です。
それまで目を三角にしていたブレンダがこんなにキュートに笑うなんて……! みたいな。
笑顔はひとをしあわせにするんだなーとしみじみしてしまいました。


ラストも余韻があって、なんていい作品を観てしまったんだ。
(普段、胸くそ映画ばかり観ていたので……今年はもっといろいろ観たい!)

「すごくいい映画だった!」とレビューを書いていたひとに感謝したいです。

アメリカの広大な砂漠に一度行ってみたい!
若い頃にこれ観ていたら、結構人生観変わってたかもな~と思うような一本。
観てよかったです。

おみやげに、パンフと「バグダッド・カフェ」マグを買ってきました。


いまは、役所広司さんの「PERFECT DAYS」を流しているところ。これも高評価ですよね。

気になるタイトルはどんどん観に行きたい2025年です。

最後までお読みくださりほんとうにありがとうございます!また書きます。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集